火葬まで「待たされる時代」になっている
人は誰でも、いつか必ず死を迎えます。
原因やタイミングは選べませんが、「送る側」になる日は、ある日突然やってきます。
筆者自身も、これまで親族や知人の葬儀に何度か参列してきました。その中で近年、強く違和感を覚えたことがあります。
それは――亡くなってから火葬されるまでの期間が、明らかに長くなっているという点です。
一昔前であれば、
「亡くなる → 1〜2日後に通夜・告別式 → 火葬」
という流れが一般的でした。
ところが最近では、火葬まで5日、1週間、地域によっては10日以上待つことも珍しくありません。
これは決して特殊なケースではなく、今や全国的に起きている問題です。
では、なぜこのような事態が起きているのでしょうか。
近年「火葬待ち」が増えている5つの原因
① 多死社会の本格化による死亡者数の急増
日本はすでに「多死社会」に突入しています。
団塊の世代が75歳以上となった2025年以降、年間の死亡者数は右肩上がりです。
- 2040年頃には年間約167万人でピーク
- 月単位では過去最多を更新する年も増加
つまり、亡くなる人の数そのものが、想定以上のスピードで増えているのです。
② 都市部を中心とした火葬場の絶対数不足
特に深刻なのが、人口の多い都市部です。
- 新設できる土地がない
- 「迷惑施設」というイメージによる住民反対
- 自治体の財政難で建て替え・増設が進まない
結果として、需要は増えているのに、供給はほぼ増えていないという歪な状態が続いています。
③ 火葬炉には「物理的な限界」がある
火葬は流れ作業ではありません。
- 1体あたり約1.5〜2時間
- 24時間稼働できるわけではない
- 定期メンテナンスが必須
さらに、人手不足も深刻です。
葬祭業界の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り、人が足りないことで受け入れ数を増やせない状況も続いています。
④ 冬・年末年始・友引による予約集中
- 冬場(12〜2月)は死亡者数が増加
- 年末年始は休業 → 休み明けに予約殺到
- 友引休業の慣習が残る地域も多い
これらが重なると、一気に火葬待ちが長期化します。
⑤ 直葬(火葬のみ)の増加という皮肉な現象
近年増えている「直葬」は、実は火葬場の混雑を加速させています。
- 午前中など特定時間帯に集中
- 式をしない分、予約が取りやすいと誤解されがち
結果として、火葬場の枠だけが先に埋まるという事態が起きています。
火葬待ちは遺族にどんな影響を与えるのか?
① 経済的負担は確実に増える
火葬まで日数が延びるほど、費用は増え続けます。
- 安置料:5,000円〜30,000円/日
- ドライアイス代:5,000円〜10,000円/日
例えば、
- 4日延びる → 約6〜10万円増
- 10日延びる → 約15〜20万円増
さらに長期化すると、**エンバーミング(15〜25万円)**を勧められるケースもあります。
② 精神的ダメージが長期化する
- 「まだ送れていない」という感覚
- 気持ちの区切りがつかない
- 遺体の状態への不安や後悔
悲しみの時間が引き延ばされることで、いわゆる“葬儀疲れ”が深刻化します。
③ 仕事・日程調整の負担が大きい
- 忌引き休暇が足りない
- 参列者の予定が組めない
- 僧侶・会場・宿泊の再調整
「亡くなった後の手続き」は、想像以上に現実的な負担になります。
火葬待ち時代に、現実的にできる対策
- 安置料込みプランのある葬儀社を選ぶ
- 早朝・夕方など空きやすい時間帯を検討
- 隣接自治体や民営火葬場も視野に入れる
- 事前に「火葬待ちが起きる可能性」を知っておく
これだけでも、金銭面・精神面のダメージはかなり軽減できます。
まとめ:知っているだけで、救われることがある
火葬場は、個人で見れば一生に何度も使う場所ではありません。
しかし高齢化が進む今、社会全体では確実に逼迫しています。
筆者自身も、実際に5日間の火葬待ちを経験しました。
安置費用は想像以上にかかり、精神的にもかなり消耗しました。
亡くなる側は、時間も日付も選べません。
そして送る側は、待ったなしで多くの決断を迫られます。
だからこそ、「知らなかった」で済ませないことが大切です。
この記事が、いざという時の心構えになれば幸いです。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
2月26日
【血液銀行開業記念日】
記念日の由来と歴史
当時の仕組み: 当時は現在のような無償の「献血」ではなく、血液を提供して対価を得る「売血(ばいけつ)」が主流でした。その後、1964年の閣議決定により、現在の献血制度へと移行しました。
日本初の設立: 1951年(昭和26年)2月26日、大阪に日本初の民間血液銀行「株式会社日本ブラッドバンク」(後のミドリ十字、現在は田辺三菱製薬の一部)が設立されました。
設立の背景: GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の指示に基づき、輸血用血液の保存管理と安定供給を目的として誕生しました。