「こども誰でも通園制度」ってどんな制度?月10時間で本当に救世主になれるのか?

子育て中の皆さんは、「こども誰でも通園制度」という制度をご存じでしょうか?

「名前は聞いたことがある」

「気になっているけど、どうやって利用するのか分からない」

「そもそも自分の子どもは対象なの?」

そんな方もいるかもしれません。

これまでの保育制度では、基本的に「保護者が仕事をしている」「病気や介護などで家庭で保育できない」といった保育の必要性が、保育施設を利用するための大きな条件になっていました。

ところが、「こども誰でも通園制度」は、こうした従来の仕組みとは少し違います。

保護者の就労状況などにかかわらず、一定の条件を満たす未就園児が保育施設を利用できる制度なのです。

「それなら子育て世帯にとって救世主じゃない?」

そう思う方もいるでしょう。

一方で、実際には「月10時間」という利用上限や、保育士不足、受け入れ枠の不足など、いくつかの課題もあります。

今回は、そんな「こども誰でも通園制度」について、制度の仕組みから利用状況、そして「月10時間で本当に足りるの?」という疑問まで考えてみたいと思います。

こども誰でも通園制度ってどんな制度?

「こども誰でも通園制度」は、保護者の就労状況や利用理由を問わず、一定の条件を満たす未就園児が時間単位で保育施設を利用できる制度です。

これまでの保育園は、「親が働いている」など、保育の必要性が利用の大きな条件となっていました。

そのため、専業主婦(夫)の家庭や、育児休業中の家庭などでは、「保育園に預けるほどではないけれど、少しだけ子どもを預かってほしい」と思っても、通常の保育園を利用することは簡単ではありませんでした。

そこで登場したのが、この制度です。

「働いていないから保育園には預けられない」

「育休中だから利用できない」

という家庭でも、制度の対象となる子どもであれば、保育施設を利用できる可能性があります。

制度の基本的な仕組み

主なポイントを整理すると、次のようになります。

  • 対象:保育所、幼稚園、認定こども園などに通っていない未就園児
  • 年齢:生後6か月から満3歳未満が基本
  • 利用時間:子ども1人あたり月10時間までが基本
  • 利用方法:時間単位で利用可能
  • 利用料:国が示す標準的な利用料をもとに、自治体・施設が設定
  • 利用施設:自治体から認可・指定された保育所、認定こども園、幼稚園など

ただし、ここで注意したいのが、

「誰でも通園できる=どこの保育園でも、いつでも利用できる」

という意味ではないことです。

実際の利用条件や料金、利用できる施設、予約方法などは自治体によって異なります。

そのため、利用を考えている場合は、お住まいの自治体の情報を確認することが大切です。

なぜ、この制度が作られたの?

では、なぜ国はこのような制度を作ったのでしょうか?

大きな目的の一つが、子どもの育ちを支えることです。

家庭の中だけで過ごすのではなく、保育士などの専門家や同世代の子どもたちと関わることで、さまざまな経験をする機会を作ります。

そして、もう一つ重要なのが保護者への支援です。

子育ては楽しいことばかりではありません。

特に、日中ほぼ一人で子育てを担っている家庭では、

「ちょっとだけ一人になりたい」

「美容院に行きたい」

「病院に行きたい」

「買い物をゆっくりしたい」

「たまには何も考えずに休みたい」

と思うこともあるでしょう。

そんなときに、子どもを安心して預けられる場所があることは、保護者にとって大きな意味を持ちます。

つまり、この制度は単なる「一時預かり」ではなく、

子どもの成長を支えながら、保護者の育児負担も軽減する

という役割が期待されているわけです。

「誰でも使える」なら、かなり便利じゃない?

ここまで聞くと、

「それなら、かなり便利な制度じゃない?」

と思いますよね。

実際、必要としている家庭は少なくないでしょう。

例えば、普段は家庭で子どもを見ているけれど、

  • 通院したい
  • 資格の勉強をしたい
  • 就職活動をしたい
  • 美容院に行きたい
  • 家の用事を済ませたい
  • 少しだけ一人の時間が欲しい
  • 子どもに集団生活を経験させたい

といった場合に利用できれば、保護者にとって大きな助けになります。

特に、「子どもを預ける=仕事をしている親のため」という従来のイメージから一歩進んで、

「働いているかどうかに関係なく、子育てをしている家庭を支援する」

という考え方は、これまでの保育制度とは違った重要なポイントだと思います。

ところが、実際には「利用したくても利用できない」ケースも

ここが、この制度を考えるうえで非常に重要なところです。

制度そのものは魅力的でも、受け入れる側の保育施設に余裕がなければ、利用者は増えません。

保育の現場では以前から保育士不足などが課題となっています。

既存の園児への対応だけでも大変な中、新たに「こども誰でも通園制度」の利用者を受け入れるとなれば、保育士の確保や安全管理、子どもの情報共有など、新たな負担が発生します。

また、普段から園に通っている子どもと違い、制度を利用する子どもは利用頻度が不定期になることもあります。

そのため、

「制度はあるけれど、受け入れられる人数には限りがある」

という状況が生まれてしまう可能性があります。

つまり、

制度を作ることと、実際に利用できる環境を整えることは別問題

なのです。

全国でどのくらい利用されているの?

では、実際にどのくらいの人が利用しているのでしょうか?

現時点では、対象者全体に対する全国一律の「利用率」を判断できる十分な統計が整っているとは言いにくく、制度自体も本格実施が始まったばかりです。

そのため、

「全国の対象者の何%が利用している」

と単純に数字だけで判断するのは難しい段階です。

一方で、制度に対する関心や利用意向が高いことを示す調査もあります。

つまり、

「需要がないから利用者が少ない」のではなく、「制度を知らない」「利用方法が分からない」「近くで受け入れている施設がない」「予約が取れない」など、さまざまな理由で利用につながっていない可能性がある

ということです。

ここは今後、制度が定着するにつれて注目していきたいポイントですね。

最大の疑問?「月10時間って短くない?」

そして、この制度について多くの人が疑問に感じるのが、

「月10時間で足りるの?」

という問題ではないでしょうか。

正直、筆者も「10時間」という数字を見たときに、

「思ったより少ないな……」

と感じました。

例えば、

1回5時間利用すれば、月2回で10時間。

それで月の利用枠を使い切ってしまいます。

もちろん、制度の目的が「フルタイムで子どもを預けること」ではないので、単純に長ければ良いという話ではありません。

しかし、子育て中の家庭からすれば、

「月10時間では、できることが限られる」

と感じるのも無理はありません。

こんな使い方ならどうでしょう?

例えば、

  • 週1回、2~3時間程度利用する
  • 月2回、5時間程度利用する
  • 通院や美容院など、まとまった用事がある日に利用する
  • 子どもが保育施設に慣れるために少しずつ利用する

といった使い方なら、月10時間でも一定のメリットがあります。

特に「毎日預けたい」という目的ではなく、

「月に何度か、子育てから少し離れる時間が欲しい」

という家庭にとっては、貴重な制度になるでしょう。

でも「慣らし保育」で時間を使ってしまう可能性も

一方で、気になるのが子どもの「慣れ」です。

初めて保育施設を利用する子どもなら、最初から何時間も平気で過ごせるとは限りません。

泣いてしまったり、保護者から離れられなかったりすることもあります。

そのため、最初は短時間から始めて、少しずつ施設に慣れていくことになるでしょう。

ところが月10時間しかないと、

「子どもがようやく慣れてきたころには、今月の利用時間をほとんど使ってしまった」

ということも考えられます。

ここは制度の目的と利用時間のバランスを考えるうえで、今後の重要な論点になりそうです。

「ちょっと働きたい」には10時間では足りない?

さらに、個人的に気になるのが、

「少しだけ働きたい」という人にはどうなのか?

という点です。

例えば、

「いきなりフルタイムで働くのは難しいけれど、週に数時間だけ仕事を始めたい」

「資格の勉強をして、将来的に仕事復帰したい」

という人もいるでしょう。

しかし、月10時間では、継続的な就労や本格的な資格取得を支えるには限界があります。

もちろん、この制度はそもそも「親の就労支援」を主目的としているわけではありません。

だからこそ、

「保護者のリフレッシュや子どもの成長支援としては10時間でも意味がある。一方で、就労や社会復帰まで支える制度として考えると物足りない」

という見方ができるのではないでしょうか。

地域によって「使いやすさ」が違う?

もう一つ注意したいのが、地域差です。

制度の全国的な枠組みがあったとしても、実際に利用できる施設や予約方法、料金、受け入れ人数などは自治体によって違います。

そのため、

「隣の自治体では利用できるのに、自分の地域では利用できない」

「制度は始まったけれど、近所の施設では定員いっぱい」

といったことが起こる可能性があります。

また、保育士不足などによって受け入れ枠が限られれば、制度上は「月10時間利用できる」はずなのに、実際には希望する時間に予約できないというケースも考えられます。

これは制度を利用する側からすると、かなり重要な問題です。

「制度があること」と「実際に使えること」は違う。

この点は、今後の制度改善でぜひ考えてほしいところですね。

それでも、この制度には大きな可能性がある

ここまで課題を挙げてきましたが、だからといって「意味のない制度」というわけではありません。

むしろ筆者は、今後さらに改善されれば、子育て世帯にとってかなり重要な制度になる可能性があると思っています。

なぜなら、これまでの保育制度では、

「働いている親を支える」

という側面が強かったからです。

しかし子育てをしている人にとって、仕事をしているかどうかに関係なく、

「少し誰かに頼りたい」

と思う瞬間はあります。

子育ては毎日続きます。

体調が悪い日もあります。

疲れてしまう日もあります。

一人で抱え込んでしまうこともあります。

そんなときに、

「預けてもいい場所がある」

という選択肢があるだけでも、心理的な負担は違うのではないでしょうか。

「救世主」になるためには、まだ改善が必要

では、タイトルの問いに戻りましょう。

こども誰でも通園制度は、子育て世帯の救世主になれるのでしょうか?

筆者の答えは、

「可能性は十分ある。でも、現時点ではまだ救世主と呼ぶには早い」

です。

制度の考え方そのものは、とても意義のあるものだと思います。

保護者の就労状況に関係なく子どもの成長を支え、育児の孤立を防ぎ、保護者が少し休める時間を作る。

これは、これからの子育て支援を考えるうえで大切な考え方でしょう。

ただし、

  • 月10時間という利用上限
  • 保育士不足
  • 受け入れ施設の不足
  • 予約枠の不足
  • 自治体による地域差
  • 制度や手続きの分かりにくさ

など、まだ解決すべき課題があります。

特に「利用したいのに、受け入れ先がない」という状態になってしまえば、制度の存在意義が薄れてしまいます。

これからの制度に期待したいこと

個人的には、今後の利用状況や現場の声を踏まえながら、利用時間についても柔軟に見直されていくことを期待したいです。

もちろん、利用時間を増やせば、それだけ保育士など現場の負担も増えます。

そのため、

「時間だけ増やせば解決」

という単純な話ではありません。

保育士の確保や待遇改善、施設の受け入れ体制の整備など、制度を支える土台も一緒に整えていく必要があります。

そして、自治体によってサービスに大きな差が出ないようにすることも重要でしょう。

「住んでいる場所によって使える制度が全然違う」

という状況になってしまえば、「誰でも通園」という制度の理念とも少し離れてしまいます。

まとめ

「こども誰でも通園制度」は、これまでの保育制度とは少し違った新しい子育て支援の形です。

保護者の就労状況などにかかわらず、一定の条件を満たす未就園児が保育施設を利用できるため、子どもにとっても保護者にとっても新しい選択肢になります。

一方で、現状では月10時間という利用上限や、保育士不足、受け入れ枠の不足、地域差などの課題もあります。

つまり、

「制度ができたから、これで子育ての悩みがすべて解決!」

というわけではありません。

それでも、「ちょっとだけ子どもを預けたい」「少し休みたい」「子どもに家庭以外の環境を経験させたい」という家庭にとって、貴重な選択肢になる可能性があります。

制度は始まったばかりです。

これから実際に利用する家庭が増えれば、見えてくる課題も変わってくるでしょう。

そして、その声を制度に反映させながら、より利用しやすい仕組みに成長していくことを期待したいところです。

皆さんは、この「こども誰でも通園制度」をどう感じますか?

「月10時間でも助かる!」

「10時間では少なすぎる!」

「そもそも近くで利用できるの?」

など、さまざまな意見があると思います。

子育てを社会全体で支えていくためにも、こうした制度が「あるだけ」ではなく、本当に必要としている人が利用できる制度になっていくことを願いたいですね。

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

9月15日

【国際民主主義デー】

「民主主義の原則を推進し、それを維持すること」を目的として、2007年の国連総会で決議されました。

主な目的と意義

  • 現状の再確認:世界各国の民主主義の現状や課題を振り返る機会とする。
  • 基本的人権の尊重:言論の自由、市民の自由、法の支配、人権擁護の大切さを訴える。
  • 参加の促進:定期的な普通選挙だけでなく、市民社会や一人ひとりの積極的な関与を促す。

由来

1997年9月15日に、世界の議会で構成される「列国議会同盟(IPU)」が「世界民主主義宣言」を採択したことにちなんでいます。これを受けて国連が10年後の2007年に正式な国際デーとして採択しました。

毎年、国連からはその時代の国際情勢に合わせたテーマが発表され、近年では「良い統治のためのツールとしての人工知能(AI)の活用とリスク」などが議論の焦点になっています。