「フルーツの女王」多すぎ問題?本当の“女王”は誰なのか調べてみた

皆さんはスーパーで果物を買うとき、商品に貼られたシールや売り場のポップを何気なく見ていますか?

私は先日、果物コーナーを見ていて、ふとこんな疑問が浮かびました。

「……あれ?『○○の女王』って、ちょっと多くない?」

「果物の女王」「ぶどうの女王」「柑橘の女王」など、果物売り場では「女王」という言葉を意外と頻繁に見かけます。

もちろん、それぞれに理由があるのは分かります。

高級感を出したい。
上品な味わいをアピールしたい。
その品種の特別感を伝えたい。

でも、あっちを見ても女王、こっちを見ても女王……。

こうなってくると、

「結局、女王って誰なの?」

と聞きたくなってしまいます。

そこで今回は、果物に使われる「女王」という称号について調べてみました。

そもそも「○○の女王」って何?

まず知っておきたいのは、果物に付けられる「○○の女王」という呼び名には、世界共通の正式なランキングや認定制度があるわけではないということです。

つまり、

「この果物が世界で第1位だから女王!」

というような公式ルールがあるわけではありません。

産地や販売店、メディアなどが、

  • 高級感がある
  • 香りが上品
  • 見た目が美しい
  • 味わいが優雅
  • 希少価値が高い
  • 贈答品として人気がある

といった特徴を表現するために、「女王」という言葉を使っているケースがあります。

そのため、複数の果物がそれぞれ「女王」を名乗ることになります。

これなら「女王が多すぎる!」と感じるのも納得です。

では、その中でも特に有名な「女王」を見てみましょう。

世界的に有名な「果物の女王」はマンゴスチン

「果物の女王」と聞いて、まず名前が挙がる果物の一つがマンゴスチンです。

東南アジアを代表するトロピカルフルーツで、厚みのある赤紫色の皮を割ると、中から白く柔らかな果肉が現れます。

甘さだけではなく、ほどよい酸味もあり、上品な味わいが特徴です。

日本の農林水産省の資料でも、マンゴスチンは「熱帯果実の女王」と紹介されています。

では、なぜマンゴスチンが「女王」と呼ばれるのでしょうか?

ヴィクトリア女王にまつわる有名な逸話

その由来として有名なのが、19世紀のイギリス・ヴィクトリア女王にまつわる逸話です。

当時、東南アジアなどで知られていたマンゴスチンは、非常においしい果物として評価されていました。

ところが、当時は現在のような冷蔵・輸送技術がありません。

マンゴスチンは鮮度が落ちやすいため、遠く離れたイギリスまで「生の状態」で運ぶことは簡単ではありませんでした。

そこで、

「自分の領土にある素晴らしい果物を、生で味わえないのは残念だ」

という趣旨のヴィクトリア女王の逸話が伝えられています。

この「女王が欲しても簡単には食べられなかった果物」というエピソードも、「果物の女王」という呼び名と結びついています。

ただし、こうした逸話には伝承的な部分もあるため、「ヴィクトリア女王が正式にマンゴスチンを女王に任命した」という話ではありません。

ここはちょっと大事なところです。

マンゴスチンの見た目も「女王」っぽい?

マンゴスチンは味だけではなく、見た目もなかなか個性的です。

外側は濃い赤紫色。

そして、果実の上には緑色のガクが残っています。

この姿を見ていると、確かに「王冠をかぶった果物」に見えなくもありません。

皮をむくと、今度は真っ白な果肉が現れます。

外側の濃い色と内側の白い果肉とのコントラストも印象的です。

さらに、マンゴスチンは日本でも「世界三大美果」の一つとして紹介されることがあります。

ただし、「世界三大美果」については選定基準が統一されているわけではなく、資料によって組み合わせが異なる場合があります。

つまり、

「女王」も「三大美果」も、世界共通の公式ランキングというわけではない

という点には注意が必要です。

ところが日本にも「女王」がいる

ここからが今回の本題です。

「じゃあ、マンゴスチンが女王なら、日本のスーパーで見かける『果物の女王』は何なの?」

実は、日本にも堂々と「女王」と呼ばれている果物があります。

代表的なのが、

ラ・フランス
そして
マスカット・オブ・アレキサンドリア

です。

西洋梨の「女王」ラ・フランス

秋から冬にかけて店頭に並ぶラ・フランス。

見た目だけを見ると、正直なところ、それほど華やかな果物には見えません。

ゴツゴツしていて、形も少し不揃い。

ところが、食べてみると印象が一変します。

芳醇な香り、ジューシーな果肉、とろけるような食感。

山形県朝日町も、ラ・フランスについて「果物の女王」と紹介しています。

つまり、

「見た目はちょっと地味。でも中身は非常に上品」

という、まさに女王らしいタイプなのかもしれません。

ちなみにラ・フランスは、収穫してすぐ食べるのではなく、追熟させて食べ頃を迎える果物です。

これも、普通の梨とは少し違う面白いところですね。

ぶどう界の「女王」マスカット・オブ・アレキサンドリア

もう一つ有名なのが、

マスカット・オブ・アレキサンドリア

です。

岡山県などでは、この品種を「果物の女王」と紹介しています。

エメラルドグリーンの美しい粒。

そして、特徴的なのがマスカット特有の華やかな香りです。

岡山市も、上品で豊かな香りや爽やかな味わい、エメラルドグリーンの美しさなどから「果物の女王」と紹介しています。

これはかなり納得感があります。

マンゴスチンが「熱帯の女王」なら、マスカット・オブ・アレキサンドリアは「ぶどう界の女王」。

……と思ったら、こちらも「果物の女王」と呼ばれている。

ここでまた、

「女王が増えた!」

となるわけです。

ではシャインマスカットは?

最近では、スーパーや贈答品売り場で圧倒的な存在感を見せるのがシャインマスカットです。

大粒で皮ごと食べられ、甘みが強く、見た目も美しい。

高級ぶどうとしてすっかり定着しました。

そのため、メディアや販売現場などで「ぶどうの女王」などと表現されることもあります。

ただし、ここは少し整理しておきたいところ。

「ぶどうの女王=シャインマスカット」という公式な称号があるわけではありません。

少なくとも、長年にわたって「果物の女王」として紹介されてきたマスカット・オブ・アレキサンドリアとは、呼び名の背景が違います。

つまり、

「女王」と呼ばれているからといって、すべて同じ種類の称号ではないのです。

さらに「クイーン」を名乗るブランドまで登場

「女王」という言葉は、単なるキャッチコピーだけではありません。

実際にブランド名として使われている例もあります。

その一つが愛媛県の**「愛媛Queenスプラッシュ」**です。

これは愛媛県オリジナル品種の「甘平」の中から、外観や糖度など一定の品質基準をクリアした果実を選び、特別なブランドとして販売しているものです。

つまりこれは、

「なんとなく女王っぽいから女王」

という話ではなく、

「一定の基準を満たした特選品に付けられたブランド名」

という位置づけです。

こうなると、「女王」という言葉にもかなり説得力があります。

結局「フルーツの女王」は誰なの?

ここまで調べると、面白いことが分かります。

実は、

「フルーツの女王はこの果物!」という世界共通の答えはありません。

マンゴスチンは「果物の女王」「熱帯果実の女王」として世界的に知られています。

一方、日本ではマスカット・オブ・アレキサンドリアが「果物の女王」と紹介されています。

ラ・フランスも「果物の女王」と呼ばれています。

さらに、特定のブランドには「クイーン」という名前が付けられることもあります。

つまり「女王」という言葉には、

世界的な呼び名

産地で定着した呼び名

商品・ブランド名

販売店のキャッチコピー

など、いくつかの種類が混在しているわけです。

そう考えると、「女王が多すぎる」という私の最初の疑問も、少しだけ解決したような気がします。

なぜ「女王」という言葉がこんなに使われるの?

では、なぜ果物に「女王」という言葉が使われるのでしょうか?

一番分かりやすいのは、やはり高級感を伝えやすいからでしょう。

例えば、

「甘くておいしいぶどうです」

と言うより、

「ぶどうの女王」

と言ったほうが、なんとなく特別な感じがします。

「高級」「上品」「気品」「美しい」「特別」。

こうしたイメージを一言でまとめて伝えられるのが、「女王」という言葉の強みなのかもしれません。

また、「王様」と「女王」という組み合わせも分かりやすいですよね。

果物の世界では、

王様=ドリアン

女王=マンゴスチン

という組み合わせが有名です。

強烈な香りと濃厚な味わいのドリアンに対して、マンゴスチンは甘酸っぱく上品。

「王様」と「女王」という対比が、なんとも分かりやすいわけです。

でも「女王」が増えすぎると、言葉の価値が下がる?

ここは、今回の記事を書こうと思った一番のポイントです。

スーパーに行って、

「果物の女王!」

「ぶどうの女王!」

「柑橘の女王!」

「○○の女王!」

と次々に見つかったら、最初は「おお、すごい!」と思っても、だんだん、

「また女王か……」

となってしまう可能性があります。

これは「女王」という言葉に限った話ではありません。

「最高級」

「究極」

「極上」

「プレミアム」

「至高」

「絶品」

など、強い言葉を何度も使っていると、消費者にとってはその言葉自体が珍しくなくなってしまいます。

いわば、

「最高級」のバーゲンセール

です。

「女王」より具体的な情報のほうが気になることも

個人的には、最近のスーパーのポップを見るなら、

「○○の女王!」

というキャッチコピーだけよりも、

「糖度○○度」

「○○県産」

「○○農園で栽培」

「今が食べ頃」

「酸味が少なく、甘みが強い」

といった具体的な情報が書いてあるほうが、商品を選ぶ参考になる気がします。

もちろん「女王」というキャッチコピーを否定するつもりはありません。

短い言葉で商品の魅力を伝えるという意味では、とても便利な言葉です。

ただ、

「なぜ女王なのか?」

まで説明されていると、こちらとしても納得できます。

例えば、

「果物の女王」

だけではなく、

「芳醇な香りと上品な甘さから『果物の女王』と呼ばれています」

と書いてあれば、

「なるほど、そういう理由なのね」

となります。

キャッチコピーに「理由」が加わるだけで、言葉の説得力はかなり変わるのではないでしょうか。

「女王」が多いのではなく、「女王の意味」がそれぞれ違う

今回調べてみて、一番面白かったのはここです。

最初は、

「フルーツの女王って一体誰なんだ?」

という単純な疑問でした。

ところが調べてみると、「女王」という言葉は一つの称号ではありませんでした。

マンゴスチンのように、世界的に長く使われている呼び名もある。

マスカット・オブ・アレキサンドリアのように、産地や品種の魅力を表現する呼び名もある。

ラ・フランスのように、地域で定着した呼び名もある。

さらに「Queen」を商品ブランドとして使うケースもある。

そして、スーパーのポップでは、販売店が商品の魅力を伝えるために「女王」という言葉を使うこともあります。

つまり、

「女王が多い」のではなく、「女王という言葉の使われ方が多様」

ということなのかもしれません。

まとめ

スーパーの果物売り場で見かける「○○の女王」。

最初は「女王、多すぎない?」という素朴な疑問でしたが、調べてみると意外と奥が深い言葉でした。

世界的に「果物の女王」「熱帯果実の女王」として知られるマンゴスチン。

日本では「果物の女王」と呼ばれるマスカット・オブ・アレキサンドリア。

そして「果物の女王」と紹介されるラ・フランス。

さらに、一定の品質基準をクリアした特選品に「Queen」という名前を付けたブランドまであります。

こうして見ると、確かに「女王」はたくさんいます。

でも、それぞれに「なぜ女王と呼ばれるのか」という理由があることも分かりました。

そう考えると、スーパーで「○○の女王」というポップを見つけたとき、

「また女王かよ(笑)」

で終わらせるのではなく、

「ところで、なんでこの果物が女王なの?」

と調べてみるのも面白いかもしれません。

そして最終的には、世間が誰を「女王」と呼んでいるかより、

自分にとって一番おいしい果物こそ、自分だけの「フルーツの女王」

なのかもしれませんね。

皆さんは、果物売り場で「○○の女王」というポップを見かけたことがありますか?

そして、皆さんにとっての「フルーツの女王」は何でしょうか?

それではまた別の記事でお会いしましょう

🔗 参考資料


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

10月14日

【焼きうどんの日】

福岡県北九州市小倉のまちおこし団体「小倉焼うどん研究所」が、焼きうどんを全国に広め、地域に根ざした食文化を理解してもらうことを目的に制定しました。

記念日の由来や誕生の背景には、次のような経緯があります。

  • 日付の由来: 2002年10月14日に開催された「焼うどんバトル特別編 ~天下分け麺の戦い~」で小倉が発祥の地として広く知られるようになったためです。
  • 誕生秘話: 1945年頃、食糧難の時代に「だるま堂」の店主が焼きそば用麺の代わりにうどんの乾麺を使って炒めたのが始まりです。