朝、目覚まし時計が鳴る。
「……起きなきゃ……」
そう思いながらアラームを止めて、
「あと5分だけ……」
そして目を閉じる。
次に目を開けたら、
「……え?30分も経ってる!?」
こんな経験、ありませんか?
筆者は子どもの頃から朝起きるのが苦手で、決められた時間にスッキリ起きられないことがよくありました。
社会人になってからも寝坊することがあり、「どうして人間って、二度寝するとあんなに気持ちいいんだろう?」と不思議に思ったものです。
一度目が覚めているのに、もう一度眠る。
たったそれだけなのに、二度寝の布団って妙に気持ちいいんですよね。
今回は、そんな「二度寝」について、
- なぜ二度寝は気持ちいいのか
- 二度寝すると頭がぼーっとするのはなぜか
- スヌーズ機能は使わないほうがいいのか
- 二度寝を防ぐにはどうすればいいのか
- 休日は好きなだけ寝てもいいのか
といった疑問を、睡眠の仕組みから考えてみます。
それでは、いきましょう。
そもそも、どうして二度寝はあんなに気持ちいいの?
二度寝が気持ちよく感じられる理由は、「これさえあれば二度寝が気持ちよくなる」という単純なものではありません。
睡眠不足、体内時計、起床直後の脳の状態、安心感、布団の環境など、いくつもの要素が重なっていると考えると分かりやすいでしょう。
特に重要なのが、「まだ眠い状態で無理やり起こされた」という状況です。
1.本当はまだ眠りが足りないのかもしれない
二度寝が気持ちいい理由として、まず考えたいのが「単純に睡眠時間が足りていない」というケースです。
十分な睡眠時間を確保できていなければ、朝になっても脳や体はまだ休息を必要としています。
そこへ突然、
「ピピピピピ!」
と目覚ましが鳴る。
当然、
「いや、まだ寝たい!」
となりますよね。
つまり二度寝の気持ちよさは、特別な快楽物質だけで説明するのではなく、まだ眠りたいという身体側の欲求が強く残っていることも大きな要因と考えられます。
「二度寝が好き」というより、
「まだ寝足りないから、眠れることが気持ちいい」
という場合も少なくありません。
2.「起きなきゃ」という緊張から解放される
朝、目覚ましが鳴った瞬間には、
「仕事に行かなきゃ」
「学校に行かなきゃ」
「予定に間に合わなきゃ」
という意識が一気に出てきます。
ところが、
「今日はあと10分だけ寝ても大丈夫」
と思った瞬間、起きなければならないというプレッシャーから一時的に解放されます。
この心理的な安心感も、二度寝を気持ちよく感じる理由の一つでしょう。
ただし、ここで「二度寝するとエンドルフィンやセロトニンが大量に分泌されるから気持ちいい」と単純に説明するのは注意が必要です。
二度寝の快感を、特定の脳内物質だけで説明できるだけの十分な根拠はありません。
むしろ、
「まだ眠れる安心感」+「眠気」+「快適な睡眠環境」
などが組み合わさって、心地よく感じていると考えるほうが自然です。
3.朝は「眠り」と「目覚め」の境目にいる
朝の目覚めは、電気のスイッチのように「OFF→ON」と一瞬で切り替わるものではありません。
眠っている状態から覚醒状態へ、徐々に移行していきます。
目覚めた直後には、まだ脳が完全に覚醒していないことがあります。
この状態を、
「睡眠慣性(Sleep Inertia)」
と呼びます。
睡眠慣性とは、簡単に言えば、
「目は覚めたけれど、頭や体がまだ睡眠モードから完全に抜け切っていない状態」
です。
「起きたはずなのに頭が働かない」
「何をしているのか分からない」
「あと5分だけ寝たい」
という、あの状態ですね。
睡眠慣性は、睡眠不足や起床したタイミングなどによって強くなることがあります。
そのため、目覚ましが鳴ってすぐに再び眠りに入ると、まどろみの状態がとても心地よく感じられることがあります。
4.朝の二度寝では「夢」を見ることもある
朝方に二度寝をすると、妙にリアルな夢を見ることがあります。
これは「朝だから必ずレム睡眠になる」という単純な話ではありませんが、睡眠の後半ではレム睡眠の割合が増えるため、起床前後に夢を覚えていることは珍しくありません。
「二度寝したら、短時間なのに変な夢を見た」
という経験がある人も多いのではないでしょうか。
夢を見ながらウトウトする、現実と夢の境目のような感覚。
これも二度寝を「気持ちいい」と感じる理由の一つかもしれません。
5.布団の中が、とにかく快適
そして忘れてはいけないのが、布団です。
一晩寝たあとの布団は、自分の体温によって適度に温まっています。
しかも、
- 横になっている
- 暗い
- 静か
- 暖かい
- 体を動かす必要がない
という、眠るためには非常に快適な環境です。
そんな場所から、
「さあ、起きて活動してください!」
と言われても、
「いや、ここ最高なんだけど……」
となるのは当然かもしれません。
二度寝は、睡眠そのものだけではなく、「布団から出なくていい」という快適さも大きいのでしょう。
二度寝すると、どうして起きたあとにボーッとするの?
「二度寝って気持ちいい!」
と思っていたのに、起きたら、
「……眠い」
「頭が重い」
「何もしたくない」
となることがあります。
これにも「睡眠慣性」が関係しています。
睡眠中は、脳が徐々に眠りの段階を移動しています。
そのため、再び眠りに入ったタイミングや、そのときの睡眠段階によっては、起きた直後に強い眠気を感じることがあります。
特に睡眠不足がある場合、睡眠慣性は強くなりやすいとされています。
つまり、
二度寝そのものが必ず悪いというより、「どのくらい眠れているのか」「どのタイミングで起きるのか」が重要
ということです。
「二度寝は15分まで」は本当?
ここは少し注意したいポイントです。
よく、
「15分以上二度寝すると深い睡眠に入ってしまう」
と言われることがあります。
しかし、実際の睡眠はそんなに単純に「15分」という時間で区切れるものではありません。
睡眠段階は、その日の睡眠不足の程度や体内時計、直前までどれだけ眠っていたかなどによって変化します。
そのため、
「15分を超えたら必ず深い睡眠になる」
と断定するのは適切ではありません。
一方で、二度寝を長く続ければ、そのぶん起床時刻が遅くなり、生活リズムに影響する可能性があります。
「ちょっとだけ二度寝するつもりだったのに、1時間寝てしまった」
という人は注意したほうがよいでしょう。
スヌーズ機能は使わないほうがいい?
スマートフォンや目覚まし時計には、おなじみの「スヌーズ機能」があります。
数分おきにアラームを鳴らして、
「起きる」
↓
「止める」
↓
「また寝る」
↓
「また鳴る」
を繰り返す機能です。
「スヌーズは絶対に悪い」
というイメージもありますが、研究結果はそこまで単純ではありません。
2022年の研究では、スヌーズによって起床直前の浅い睡眠や覚醒が増え、睡眠慣性が長引く可能性が示されました。
一方、2024年に発表された研究では、習慣的にスヌーズを使う人を対象にした実験で、約30分のスヌーズが起床直後の認知パフォーマンスを改善する、あるいは少なくとも悪化させない可能性も報告されています。
つまり現時点では、
「スヌーズ=絶対に悪」
と決めつけるのは少し乱暴です。
ただし、何度もアラームを止めては寝ることで、
「結局、予定の時間に起きられない」
のであれば、スヌーズに頼る方法は見直したほうがよいでしょう。
二度寝を防ぐためにはどうすればいい?
では、ここから実践編です。
「二度寝は気持ちいい。でも寝坊は困る!」
という人は、意志の力だけで戦うより、二度寝しにくい環境を作るほうが現実的です。
1.目覚まし時計を手の届かない場所に置く
これはかなりシンプルですが効果的です。
スマートフォンを枕元に置いていると、
「止める」
↓
「そのまま寝る」
が簡単にできてしまいます。
そこで、ベッドから出ないと止められない場所に置きます。
例えば、
- 部屋の入口付近
- ベッドから数歩離れた場所
- 立ち上がらないと手が届かない場所
などです。
ポイントは、
「目覚ましを止めるために、一度立ち上がる」
という状況を作ること。
一度立ち上がってしまえば、布団の中に戻るハードルも少し上がります。
2.起きたら朝の光を浴びる
朝の光は、体内時計を整えるうえで重要です。
朝に光を浴びることで、体内時計の調整に関わる働きが起こり、覚醒・睡眠リズムを整える助けになります。
そのため、
「起きたらカーテンを開ける」
という習慣はおすすめです。
ただし、
「30秒太陽を見るだけで体内時計がリセットされる」
というような単純な話ではありません。
大切なのは、毎日なるべく同じような時間帯に朝の光を取り入れる習慣です。
なお、太陽を直接見る必要はありません。
窓を開けたり、カーテンを開けたりして、明るい環境で過ごしましょう。
3.起きたらベッドから出る
これも地味ですが重要です。
「目は覚めた。でも布団の中にいる」
この状態が、二度寝への最大の誘惑です。
そこで、
目覚ましを止める → カーテンを開ける → ベッドから出る
という流れを固定してしまいましょう。
「起きるかどうか」を毎朝考えるのではなく、
「アラームが鳴ったら、この行動をする」
というルールにしてしまうわけです。
4.朝に小さな楽しみを作る
朝起きる理由が、
「仕事に行くため」
「学校に行くため」
「嫌な予定に向かうため」
だけだと、布団から出るのが嫌になるのも無理はありません。
そこで、
- 好きなコーヒーを飲む
- 好きな音楽を聴く
- 美味しい朝食を食べる
- 朝に散歩する
- 読みたかった本を少し読む
など、
「起きたら楽しみがある」
という状態を作ってみましょう。
大きなご褒美でなくても構いません。
「朝のコーヒーがちょっと楽しみ」
くらいでも、朝の印象は変わります。
5.そもそも睡眠時間が足りているか確認する
そして、二度寝対策で一番大切なのがこれです。
夜更かししているのに、朝だけ気合いで起きようとしていないでしょうか?
睡眠時間が足りなければ、朝に眠いのは当然です。
「二度寝をやめる方法」を探す前に、
「自分はそもそも十分な睡眠時間を確保できているのか?」
を確認してみましょう。
二度寝を根性で禁止するより、夜の睡眠を確保するほうが本質的な対策になることがあります。
休日は好きなだけ寝てもいい?
ここも気になるところですよね。
「平日は仕事で早起きしているんだから、休日くらい昼まで寝たい!」
そう思う人も多いでしょう。
しかし、毎週休日になると大幅に起床時間が遅くなる生活は、体内時計とのズレを大きくする可能性があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、休日に平日の睡眠不足を取り戻そうと大幅に睡眠時間を延ばす「寝だめ」について、睡眠不足そのものを解消する代わりにはならず、休日の起床時刻が大きく遅れることで「社会的時差ボケ」につながる可能性が説明されています。
「休日は平日+2時間まで」というルールは絶対?
よく、
「休日の寝坊は平日より2時間まで」
と言われます。
これは生活リズムを大きく崩さないための目安としては分かりやすいのですが、すべての人に当てはまる絶対的なルールではありません。
大切なのは、
休日だけ極端に生活リズムを変えないこと。
例えば、
平日:7時起床
休日:11時起床
という生活を毎週繰り返せば、休日と平日で大きな時差が生まれます。
一方、
平日:7時起床
休日:8時〜9時起床
程度であれば、生活リズムの変化を小さくできます。
ただし、平日に睡眠不足が続いているのであれば、休日に長く寝たくなるのは当然です。
その場合は、
「休日に無理やり早起きする」より、「平日の睡眠時間そのものを増やす」
ことが本来の対策です。
休日に眠いなら昼寝という方法もある
「休日の朝に好きなだけ寝る」以外にも、
昼寝を上手に使う
という方法があります。
昼寝をするなら、長時間眠り込むより、短時間の仮眠にするほうが夜の睡眠への影響を抑えやすいでしょう。
例えば、
昼食後から午後の早い時間帯に、20分程度の仮眠
を試してみる方法があります。
ただし、昼寝をしても夜眠れないほど疲れている場合や、毎日のように強い眠気がある場合は、「昼寝の方法」よりも「そもそもの睡眠不足や睡眠の質」に目を向けたほうがよいでしょう。
「何時間寝ても眠い」という人は要注意
最後に、もう一つ大切なことがあります。
二度寝や寝坊は誰にでも起こります。
しかし、
- 十分な時間寝ているのに毎日強い眠気がある
- 朝、どうしても起きられない
- 日中に眠気で仕事や運転に支障が出る
- 大きないびきがある
- 寝ている間に呼吸が止まっていると言われる
- 起床時に頭痛がある
といった状態が続く場合は、単なる「朝が苦手」で片付けないほうがいいでしょう。
睡眠不足だけでなく、睡眠の質や睡眠障害などが関係している可能性もあります。
特に日中の強い眠気が続く場合は、医療機関などに相談することも選択肢になります。
まとめ:二度寝は「悪」ではない。でも、寝坊するなら対策しよう
二度寝は、本当に気持ちいいですよね。
目覚ましを止めて、
「あと5分……」
と布団に戻った瞬間の幸福感。
あの感覚は、単純に「脳内麻薬が出ているから」というだけではなく、
睡眠不足・眠気・起床直後の睡眠慣性・安心感・快適な寝具など、さまざまな要素が組み合わさって生まれている
と考えられます。
そして意外なのが、
「二度寝=絶対に悪」ではない
ということです。
スヌーズや短時間の二度寝については研究によって結果が異なり、場合によっては起床直後のパフォーマンスに悪影響を与えない可能性も報告されています。
とはいえ、
「5分だけ」のつもりが、
10分……
20分……
30分……
「うわっ!遅刻する!」
となるのであれば、話は別です。
二度寝を防ぎたいなら、
①目覚ましを遠くに置く
②起きたらカーテンを開ける
③ベッドから出る
④朝に小さな楽しみを作る
⑤そもそも夜の睡眠時間を確保する
このあたりから始めてみるのがおすすめです。
そして休日も、
「平日の疲れを全部寝て取り戻そう!」
と極端に寝るより、普段との起床時間の差を大きくしないことを意識したほうが、生活リズムは整えやすくなります。
……とはいえ、
休日の朝に布団の中でゴロゴロする時間って、最高なんですよね(笑)。
筆者も、
「健康のために起きなきゃ……」
と思いながら、
「でも今日は休みだし……あと5分……」
となることがあります。
二度寝を完全に敵にするのではなく、
「睡眠不足を補うためのサインかもしれない」
と考えて、自分の睡眠習慣を見直すきっかけにする。
そんな付き合い方も、ありなのではないでしょうか。
さて、あなたは二度寝する派ですか?
それとも、目覚ましが鳴った瞬間にスッと起きられる派でしょうか?
もし「二度寝がやめられない!」という人は、まず明日の朝、
目覚ましをベッドから手の届かない場所に置く。
ここから試してみてはいかがでしょうか。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
10月12日
【ネット銀行の日】
2000年10月12日に、日本初のインターネット専業銀行である株式会社ジャパンネット銀行(現在のPayPay銀行)が営業を開始したことに由来しています。ネット銀行の利便性やメリットをより多くの人に知ってもらうことを目的として、同行が申請し、2013年に一般社団法人 日本記念日協会によって認定・登録されました。
主なポイント
- 日付: 毎年10月12日
- 制定元: ジャパンネット銀行(現・PayPay銀行)
- 由来: 2000年10月12日に、日本で初めてインターネット専業銀行が誕生したこと
この日は「新たな形態の銀行」が日本で初めてスタートを切った、金融業界の歴史的な転換点となった日でもあります。