新NISAがスタートしてから、株式投資や投資信託を始める人が増えました。
NISAの大きな魅力といえば、なんといっても投資によって得られた利益が非課税になることです。
通常の証券口座では、株式の売却益や配当金などに税金がかかります。
ところがNISAなら、一定の条件を満たした投資について、売却益や配当等が非課税になります。
「それなら、NISAで買った株の配当金には税金がかからないんだ!」
そう思ってしまいますよね。
ところが、ここに少し注意したいポイントがあります。
NISAで保有している株なのに、配当金が思っていたより少ない……。
そんなケースがあるのです。
「NISAなのに、なんで税金が引かれてるの?」
今回は、そんな疑問を感じた人に向けて、新NISAの配当金に税金がかかるケースと、非課税で受け取るために確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
新NISAなら配当金は全部非課税……ではない?
まず大前提として、新NISAでは、NISA口座で取得した上場株式等の配当等や売却益が非課税となります。
ただし、配当金については重要な条件があります。
それが、
「株式数比例配分方式」で受け取ること
です。
国税庁も、NISAの非課税対象となる配当等について、非課税口座を開設している金融商品取引業者等を経由して交付されるもの、つまり「株式数比例配分方式」を選択したものに限られるとしています。
つまり、
NISA口座で株を買った
↓
配当金が出た
↓
必ず自動的に非課税
というわけではありません。
ここが今回の最大のポイントです。
日本株の配当金に税金が引かれているなら要注意
たとえば、NISA口座で日本株を100万円分保有していて、年間4%の配当利回りだったとします。
年間配当金は、
100万円 × 4% = 4万円
です。
NISAの条件を満たして配当金を受け取れば、この配当金について国内の20.315%の税金はかかりません。
ところが、配当金の受取方法が「株式数比例配分方式」になっていない場合、NISAの非課税扱いを受けられないことがあります。
すると、配当金から税金が差し引かれ、
40,000円 → 約31,874円
となります。
「NISAなのに約8,000円も減っている!」
となったら、まず確認したいのが配当金の受取方法です。
配当金を非課税で受け取るための「株式数比例配分方式」とは?
では、「株式数比例配分方式」とは何なのでしょうか。
簡単にいうと、
配当金を証券会社の口座で受け取る方法
です。
たとえば、SBI証券で株を保有しているなら、その証券口座に配当金が入金されるイメージです。
NISAで保有している上場株式の配当等を非課税で受け取るためには、この受取方法を選択していることが重要になります。
配当金の受取方法にはいくつか種類がある
配当金の受取方法には、株式数比例配分方式以外にもいくつかの方法があります。
代表的なのが、
- 株式数比例配分方式
- 登録配当金受領口座方式
- 配当金領収証方式
などです。
それぞれ簡単に説明すると、
株式数比例配分方式
証券会社の口座で配当金を受け取る方法です。
NISAで配当金を非課税にするなら、まず確認したい受取方法です。
登録配当金受領口座方式
指定した銀行口座などで配当金を受け取る方法です。
便利ではありますが、NISAの配当金については注意が必要です。
配当金領収証方式
発行会社から送られてくる配当金領収証を使い、郵便局などで配当金を受け取る方式です。
こちらもNISAの配当金を非課税にする受取方法としては適していません。
「銀行口座に入ってくるほうが便利」は要注意
個人的には、ここがかなり紛らわしいポイントだと思います。
「配当金は生活費に使うから、いつもの銀行口座に直接入ってきたほうが便利」
そう考える人もいるでしょう。
たしかに、使い勝手だけを考えれば銀行口座に直接入金されるほうが便利かもしれません。
しかし、NISAで保有している株の配当金を非課税で受け取りたい場合には、単純に「便利だから」という理由だけで受取方法を決めないほうがいいでしょう。
NISAでは「どの口座で株を買ったか」だけでなく、配当金をどの方法で受け取るかも確認しておく必要があります。
もう一つの落とし穴!米国株・米国ETFの場合
ここからが、さらにややこしいところです。
もしNISAで保有しているのが、
- 米国株
- 米国ETF
- 米国REITなど
だった場合、配当金が減っていても、必ずしも設定ミスとは限りません。
なぜなら、
外国で課される税金があるからです。
たとえば米国株の配当金では、米国側で源泉徴収される外国税があります。
日本のNISAは、あくまで日本の税制上の非課税制度です。
そのため、
NISAだから世界中の税金がゼロになる
という制度ではありません。
米国株などの配当金では、米国側で課税された後の金額を受け取ることになります。
「NISAなら米国株の配当も完全に0円課税」ではない
ここは非常に誤解されやすいところです。
たとえば米国株から100ドル相当の配当金が出たとしても、
日本のNISAだから100ドルそのまま受け取れる
とは限りません。
米国側で源泉徴収された後の金額が入金されます。
一方、日本側についてはNISAの非課税制度が適用されるため、通常の国内課税とは仕組みが異なります。
つまり、
NISAで米国株を保有すると「日本側の税金は非課税になるが、外国で課される税金まで消えるわけではない」
と考えると分かりやすいでしょう。
米国株の配当金にかかった外国税は取り戻せる?
ここも重要です。
「外国で税金を取られたなら、確定申告で取り戻せばいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、NISA口座で保有する外国株の配当金については、通常の課税口座とは扱いが異なります。
国税庁の外国税額控除に関する説明では、NISA口座内の上場株式等の配当等に対して課される外国所得税額は、外国税額控除の対象から除かれています。
そのため、
「NISAで米国株を買えば、日本税も米国税も完全にゼロになる」
という理解は間違いです。
ここはNISAで米国株や米国ETFを運用する人なら、ぜひ覚えておきたいポイントです。
配当金が減っていたら、まずどこを確認すればいい?
「実際に自分の配当金が減っているけど、原因が分からない……」
そんな場合は、証券会社の取引履歴や配当金の明細を確認してみましょう。
見るポイントは大きく2つです。
① 日本株なのか?
まず、配当金を出した会社が日本企業なのか確認します。
日本株なのに配当金から税金が引かれている場合、
配当金の受取方法が株式数比例配分方式になっていない可能性
があります。
証券会社の「配当金受取方法」などの設定を確認してみましょう。
② 米国株・外国株なのか?
米国株や米国ETFの場合は、配当金の明細を確認します。
「外国源泉税」などの項目があれば、外国側で課税されている可能性があります。
この場合は、
NISAなのに間違って日本の税金を取られた
とは限りません。
外国株の場合は、国内税と外国税を分けて考えることが重要です。
「20.315%」という数字にも注意
日本の課税口座で上場株式等の配当金を受け取る場合、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせた税負担が一般的に20.315%となります。
そのため、
100,000円の配当金
なら、
約20,315円
が税金として差し引かれ、
約79,685円
が手元に残る計算です。
一方、NISAで条件を満たして受け取る国内株の配当等なら、国内の税金は非課税となります。
だからこそ、
「NISAで買ったはずなのに20.315%引かれている」
という場合は、一度設定を確認したほうがいいでしょう。
株式数比例配分方式への変更はいつまでにすればいい?
ここも注意したいところです。
元記事では「権利確定日の2営業日前まで」としていましたが、証券会社によって具体的な手続き期限や反映タイミングが異なるため、一律に2営業日前と覚えるのはおすすめしません。
配当金の受取方法を変更する場合は、
「次の配当金に間に合うだろう」とギリギリまで待たず、早めに変更手続きをしておく
のが安全です。
また、証券会社側で変更しただけではなく、実際に設定が反映されているかも確認しておきましょう。
特に配当金の権利確定日が近づいてから変更する場合は、利用している証券会社の案内を確認することをおすすめします。
複数の証券会社を使っている人は要注意
「証券会社Aでは株式数比例配分方式だけど、証券会社Bでは別の受取方法」
というように、証券会社ごとに自由に設定できるとは限りません。
株式数比例配分方式は、複数の証券会社で保有する上場株式等の配当金にも関係します。
日本証券業協会の説明でも、複数の証券会社で株式を保有している場合、株式数比例配分方式を選択すると、それぞれの証券会社の取引口座で受け取る仕組みになることが説明されています。
そのため、
「NISAを始めた証券会社だけ設定すればいい」
と考えず、自分が複数の証券会社で株を保有していないかも確認しておきましょう。
特別口座がある人はさらに注意
昔から株式投資をしている人の場合、
「特別口座」
という聞き慣れない口座が残っているケースがあります。
株券電子化の際に、株主名簿上の株式について信託銀行などに特別口座が開設されている場合があります。
日本証券業協会も、特別口座がある場合には株式数比例配分方式を利用できないケースがあるため、証券会社に相談するよう案内しています。
昔に購入した株を長期間保有している人などは、
「自分には関係ない」と決めつけず、一度確認しておく
と安心です。
実際、どれくらい差が出るの?
ここで、簡単なシミュレーションをしてみましょう。
例えば、
- 投資元本:300万円
- 配当利回り:4%
- 年間配当金:12万円
だったとします。
年間12万円の配当金を10年間受け取ると、
12万円 × 10年 = 120万円
です。
これがNISAの条件を満たした国内株の配当金なら、国内の税金はかかりません。
一方、20.315%の税金がかかる状態なら、
12万円 × 20.315% = 24,378円
が1年間の税額になります。
10年間なら、
24,378円 × 10年 = 243,780円
です。
つまり、単純計算では、
約24万円
もの差になります。
もちろん実際の配当金は毎年変動しますし、株価や配当利回りも変わります。
それでも、
「たった一度の設定だから大したことない」
とは言い切れません。
高配当株を長期保有する人ほど、配当金の受取方法はしっかり確認しておきたいところです。
ただし「10年間で必ず24万円損する」という意味ではない
ここは誤解しないようにしておきましょう。
先ほどの24万3,780円という数字は、
「毎年12万円の配当金が10年間変わらず、毎年20.315%課税された場合」
という単純なシミュレーションです。
実際には、
- 配当金が増える
- 配当金が減る
- 株を売却する
- 株を買い増す
- 配当利回りが変化する
など、さまざまな要因があります。
したがって、実際の損失額は人によって変わります。
とはいえ、
NISAで本来非課税にできる国内株の配当金に課税され続けているなら、長期的には無視できない金額になる可能性がある
ということは覚えておいて損はありません。
「NISAだから大丈夫」と思い込まないことが大切
NISAは非常に魅力的な制度です。
売却益や配当等が非課税になることで、長期的な資産形成を後押ししてくれます。
一方で、
「NISA口座を作ったから、あとは全部自動的に非課税」
と考えてしまうと、今回のような落とし穴があります。
特に配当金を目的として高配当株を保有している人にとって、配当金の受取方法は重要です。
今すぐ確認したいチェックリスト
最後に、NISAで配当金を受け取っている人向けにチェックリストをまとめておきます。
✅ NISAの配当金チェック
- □ NISA口座で日本株を保有している
- □ 配当金を受け取ったことがある
- □ 配当金の受取方法を確認したことがない
- □ 株式数比例配分方式になっているか分からない
- □ 複数の証券会社を利用している
- □ 昔から保有している株がある
- □ 特別口座の存在を知らない
- □ 米国株・米国ETFの配当金を受け取っている
- □ 配当金の明細をほとんど確認していない
1つでも当てはまるなら、一度確認してみる価値があります。
まとめ:NISAの「非課税」を最大限活用しよう
今回は、新NISAで配当金に税金がかかるケースについて解説しました。
ポイントをまとめると、
日本株の場合
NISAで保有しているからといって、配当金が必ず自動的に非課税になるわけではありません。
配当金を非課税で受け取るには、原則として株式数比例配分方式を選択していることが重要です。
米国株・米国ETFの場合
NISAを利用していても、外国で課される税金まで非課税になるわけではありません。
また、NISA口座内の配当等に対して課された外国所得税は、外国税額控除の対象外です。
つまり、
「NISA=すべての税金がゼロ」ではない
ということです。
ここを理解しておくことが大切です。
あなたの配当金は大丈夫?
「そういえば、自分の配当金ってどうなっているんだろう?」
そう思った人は、一度証券会社のマイページを開いて、
配当金の受取方法
を確認してみてください。
「株式数比例配分方式」になっているか確認するだけでも、安心材料になります。
また、すでに配当金を受け取っている人は、過去の「配当金計算書」や取引履歴を確認してみるのもおすすめです。
思っていたより少ない金額しか入っていない場合、
「NISAなのに、なぜ?」
という疑問の答えが、そこに書かれているかもしれません。
せっかくNISAを利用して資産形成をするなら、制度のメリットはできるだけしっかり活用したいですよね。
「知らなかった」というだけで、本来受け取れたはずのお金を減らしてしまうのは、ちょっともったいない話です。
NISAを利用している人は、この機会に一度、自分の配当金の受取方法を確認してみてはいかがでしょうか。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
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