災害で車が水没したら保険は使える?車両保険の補償範囲と古い車の見直しポイントを解説

夏になると、台風や集中豪雨、線状降水帯などによる水害がニュースになる機会が増えます。

「自宅周辺は大丈夫だろう」と思っていても、短時間に大量の雨が降れば、道路が冠水したり、駐車場に水が流れ込んだり、河川の氾濫によって車が水没したりすることもあります。

そこで気になるのが、

「もし愛車が水没したら、自動車保険で補償してもらえるの?」

という問題です。

自動車保険には「対人・対物賠償」や「車両保険」など、さまざまな補償があります。

しかし、どの保険に入っていても自分の車が水没したときに保険金がもらえるわけではありません。

また、新しい車なら車両保険を付けるメリットも大きい一方で、10年、15年と乗り続けている車では「そもそも車両保険を付け続ける意味があるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

今回は、車が水没した場合の車両保険の基本から、古い車で車両保険を見直す際の考え方まで、できるだけ分かりやすく解説します。


災害で車が水没したら、車両保険は使える?

結論から言えば、台風・洪水・高潮・集中豪雨などによって車が水没した場合、車両保険の補償対象になるのが一般的です。

例えば、

  • 大雨で駐車場が冠水した
  • 河川が氾濫して車が水没した
  • 台風による大雨で車が浸水した
  • 道路が冠水して走行中に車が水没した
  • 高潮によって車が浸水した

といったケースです。

実際に、現在販売されている自動車保険でも、台風・竜巻・洪水・高潮による水没を車両保険の補償対象としている商品があります。一般補償だけでなく、補償範囲を限定したタイプでも対象となる場合があります。

ただし、ここで注意したいのが、

「自然災害なら何でも車両保険で補償されるわけではない」

ということです。


車両保険でも補償されない代表的なケース

特に注意したいのが、地震・噴火・それらによる津波です。

通常の車両保険では、地震・噴火・津波による車両の損害は補償対象外となっていることが一般的です。

例えば、

「地震が発生」

「津波が発生」

「駐車していた車が津波で流された」

というケースでは、通常の車両保険だけでは補償されない可能性があります。

ただし、保険会社によっては、地震・噴火・津波による損害を補償する専用の特約が用意されています。

例えば三井住友海上では、地震・噴火・津波によって車が全損となった場合に一定額を支払う特約が用意されています。

つまり、

「水害=全部補償される」

ではなく、

「どの原因で水没したのか」

が重要ということです。


車両保険には「一般型」と「限定型」がある

車両保険には、一般的に補償範囲が広いタイプと、補償範囲を限定して保険料を抑えたタイプがあります。

名称は保険会社によって異なりますが、例えば「一般型」「限定型」「エコノミー型」などと呼ばれています。

ここで、

「保険料が安い限定型なら、水害は対象外なんじゃない?」

と思うかもしれません。

しかし、台風や洪水などによる水没については、限定型でも補償される商品があります。

そのため、単純に、

「車両保険を安くしたら水害の補償もなくなる」

とは限りません。

ただし、補償範囲は保険会社や商品によって違います。

現在加入している保険については、保険証券や契約内容を確認しておきましょう。


水没した車、保険金はどのくらいもらえる?

ここも気になるところですよね。

車両保険を使った場合、基本的には損害の程度や契約している車両保険金額などによって支払われる金額が決まります。

大きく分けると、

「修理できるケース」

「全損になるケース」

があります。


修理可能なら修理費用が補償される

水没したものの修理可能と判断された場合は、契約内容に応じて修理費用が補償されます。

ただし、自己負担額として「免責金額」を設定している場合は、その分を自分で負担する必要があります。

例えば、

修理費用:50万円
免責金額:5万円

だった場合、単純化すると、

50万円-5万円=45万円

が保険金として支払われるイメージです。

ただし、実際の支払い条件は契約内容によって異なるため、「必ずこの計算になる」とは限りません。


水没車は「全損」になることも多い

水没で怖いのは、単純に車が動かなくなるだけではありません。

自動車には、

  • エンジン
  • トランスミッション
  • ECUなどの電子制御装置
  • センサー類
  • 配線
  • エアバッグ関連部品
  • オーディオ・ナビ
  • パワーウインドウ
  • 各種電装部品

など、非常に多くの電子部品が使われています。

そのため、一度深く浸水してしまうと、乾燥させれば元通りになるという簡単な話ではありません。

部品交換や分解・洗浄などが必要になり、修理費用が高額になることがあります。

そして、

修理費が車両保険金額を上回る

など、契約上の「全損」に該当すれば、修理費をそのまま全額補償してもらうのではなく、契約している車両保険金額などを基準として保険金が支払われることになります。

損保ジャパンの商品説明でも、修理ができない場合や、修理費が車両保険金額以上となる場合を全損として扱うと説明されています。

ここは非常に重要なポイントです。


「新車」と「10年落ちの車」では車両保険の意味が変わる?

ここからが今回の記事で特に考えてみたい部分です。

例えば、新車で購入したばかりの車と、初年度登録から10年以上経過した車。

どちらにも同じように車両保険を付けるべきなのでしょうか?

筆者は、

「必ずしも同じ考え方をする必要はない」

と思います。

なぜなら、車両保険で受け取れる金額は、新車購入時の価格そのものではなく、契約時に設定される車両保険金額などを基準として決まるからです。


10年落ちの車でも車両保険は使える?

もちろん、年式が古いからといって車両保険が無効になるわけではありません。

車両保険を付けて契約していれば、古い車でも契約条件に応じて補償されます。

ただし問題になるのが、

「いくら補償されるのか?」

という部分です。

車の価値は一般的に年数が経つにつれて低下していくため、古い車では設定できる車両保険金額も低くなる傾向があります。

ただし、これはすべての10年落ち車が同じではありません。

中古車市場で人気のある車や希少車などは、年式が古くても市場価値が高い場合があります。

したがって、

「10年落ち=車両保険金額は○万円」

と一律に考えることはできません。

現在の契約内容を確認することが大切です。


古い車が水没すると「修理費が保険金額を上回る」ことも

例えば、分かりやすく、

車両保険金額:30万円
水没車の修理費:60万円

だったとします。

この場合、

「60万円かけて修理すれば元通りだから、60万円もらえる」

とは限りません。

契約上の車両保険金額などを基準として保険金が支払われるため、車両保険金額を超える修理費用については自己負担が発生する可能性があります。

つまり、古い車では、

「車両保険に入っている=修理費が全部出る」

とは限らないのです。

ここは車両保険を考えるうえで、かなり重要なポイントです。


「愛車だから修理して乗り続けたい」という場合は?

古い車の中には、

「10年以上乗っているけど、この車が好きだからまだ乗りたい」

という人もいるでしょう。

そういう場合には、単純に車両保険を外すのではなく、

修理費用を上乗せできるタイプの特約がないか

確認してみる価値があります。

保険会社によって名称や条件は異なりますが、車両保険金額を超える修理費用や、全損となった場合の再取得費用などを補償する特約が用意されているケースがあります。

例えば損保ジャパンでは、全損となった場合に再取得費用や修理費などを一定の限度額まで補償する「車両全損時復旧費用特約」が用意されています。

ただし、こうした特約は誰でも自由に付けられるわけではなく、車両保険金額や車両の条件などによって加入できるかどうかが決まります。

「古い車だからこそ、特約を付ければ安心」

と単純に考えるのではなく、自分の契約で利用できるのか確認してみましょう。


古い車なら車両保険を外すのも選択肢

では、古い車の場合、

「もう車両保険はいらないんじゃない?」

という考え方は間違っているのでしょうか。

筆者は、そうは思いません。

むしろ、

「車両保険を外す」という選択肢も十分にあり

だと思います。

ただし、重要なのは「古いから外す」ではありません。

「もし明日、車が水没して全損になったら、自分はどうするのか?」

を考えることです。

例えば、

  • 車がなくても生活できる
  • 全損になったら修理せず廃車にする
  • 数十万円程度の保険金がなくても次の車を購入できる
  • 車のローンが残っていない
  • 車両保険を外した分を買い替え資金として貯めている

という人なら、車両保険を外すことを検討してもいいでしょう。

一方で、

  • 車がないと仕事や生活ができない
  • 貯金が少なく、突然車を買い替えるのは難しい
  • ローンがまだ残っている
  • 愛車なので多少高くても修理して乗り続けたい
  • 水害リスクの高い地域に住んでいる

という場合は、車両保険を残しておく意味が大きくなります。


「保険料」と「受け取れる可能性のある金額」を比較してみる

車両保険を見直すときにおすすめなのが、

「年間の保険料」と「万が一のときの補償額」を一度比較してみること

です。

例えば、年間の車両保険料が5万円で、車両保険金額が30万円だったとします。

単純計算で6年間保険を使わなければ、支払った車両保険料だけで30万円になります。

もちろん保険は「得をするため」だけのものではありません。

事故や災害はいつ起きるか分からないため、単純に保険料と保険金だけを比較することはできません。

それでも、

「年間いくら払って、万が一のときに最大いくら受け取れるのか?」

を把握することは、車両保険を続けるかどうかを考えるうえで非常に重要です。


車両保険を外すなら「貯金に回す」という考え方も

車両保険を外して保険料が年間3万円安くなるとしましょう。

その3万円を何となく使ってしまうのではなく、

「車両買い替え用の資金」として貯めておく

という方法があります。

3万円 × 5年なら、

15万円

です。

10年なら、

30万円

になります。

もちろん実際には保険料の差額は人によって異なりますが、車両保険を外すのであれば、その分を「もしものための資金」として積み立てておくのは合理的な考え方です。

いわば、

「保険で備える」のではなく、「自分で資金を作って備える」

という方法ですね。


ただし「車両保険を外せば全部安心」ではない

ここで一つ注意しておきたいことがあります。

車両保険を外したとしても、

対人・対物賠償など、自動車保険の重要な補償まで削ってしまうのは別の話です。

特に対人・対物賠償は、事故の相手に対する補償です。

自分の車の価値が低いからといって、相手への賠償まで軽く考えてはいけません。

また、相手の車との事故で自分の車が壊れた場合も注意が必要です。

相手に過失があったとしても、損害賠償の基本となるのは車の時価額などです。

そのため、古い車では、

「修理費は50万円なのに、車の時価は20万円」

といったケースも考えられます。

この場合、相手側の保険から修理費全額が当然に支払われるとは限りません。

保険会社によっては、相手車両の修理費と時価額の差額に対応する特約を用意している場合もあります。


弁護士費用特約は「車両保険の代わり」ではない

ここも少し誤解しやすいところです。

車両保険を外す場合、

「じゃあ弁護士費用特約を付ければ大丈夫」

というわけではありません。

弁護士費用特約は、事故の相手との交渉や損害賠償請求などで弁護士に依頼する際の費用を補償するためのものです。

つまり、

車が水没したときに、自分の車の修理代や買い替え費用を補償してくれるものではありません。

車両保険と弁護士費用特約は、そもそも役割が違います。

ここはしっかり区別しておきましょう。


水没したら「絶対にエンジンをかけない」

もし車が水没してしまった場合、保険のことを考える前に、まず安全確保です。

そして、

水が引いたからといって、すぐにエンジンをかけないでください。

浸水によって電気系統やエンジン内部が損傷している可能性があります。

無理にエンジンを始動すると、さらなる故障や事故につながる可能性があります。

水没車を動かす必要がある場合は、保険会社のロードサービスやJAF、レッカー業者などに相談しましょう。


水没した車の被害状況は写真で残しておこう

水が引いた後は、可能な範囲で被害状況を撮影しておきましょう。

例えば、

  • 車全体
  • 車内
  • エンジンルーム
  • 水が到達した位置
  • 浸水した駐車場
  • 周囲の道路
  • 河川や冠水状況
  • 車両のナンバープレート

などです。

特に、

「どこまで水に浸かったのか」

が分かる写真は、被害状況を確認するうえで役立ちます。

ただし、撮影のために危険な場所へ近づくのは避けてください。


車両保険を使うと翌年の保険料はどうなる?

台風や洪水などによる水害で車両保険を使った場合、現在の自動車保険では翌年度の等級が1等級下がる扱いとなる商品があります。

いわゆる「1等級ダウン事故」です。

3等級ダウン事故よりは影響が小さいものの、翌年度以降の保険料には影響します。三井住友海上でも、台風・洪水・高潮などによる水害で車両保険を使った場合は1等級ダウンと案内されています。

そのため、

「ちょっとバンパーが壊れただけだから保険を使おう」

と安易に判断するのではなく、

修理費と、保険を使った場合の翌年以降の保険料増加分を比較する

ことも大切です。


車両保険を外すか迷ったら、この5つをチェック

車両保険を継続するか迷っているなら、次の質問に答えてみると判断しやすくなります。

① 車が全損したら、すぐに買い替えられる?

YESなら、車両保険の必要性は相対的に低くなります。

② 車がなくなったら生活できる?

通勤や仕事などで絶対に車が必要なら、突然の買い替え資金を確保しておく必要があります。

③ 車両保険金額はいくら?

「車両保険に入っている」という事実だけでなく、実際にいくら補償されるのかを確認しましょう。

④ 年間の車両保険料はいくら?

車両保険だけで年間いくら支払っているのかを確認してみましょう。

⑤ 車が水没したら「修理」する?「買い替える」?

これが意外と重要です。

「水没したらもう修理せず買い替える」

と決めているのであれば、車両保険の役割は「修理費を全額補償してもらうこと」ではなく、

「買い替え資金の一部を確保すること」

に変わります。


まとめ:古い車の車両保険は「必要・不要」ではなく「自分で判断する」

今回は、水害による車の水没と車両保険について考えてみました。

台風や洪水、高潮などによる水没は、車両保険の補償対象となるのが一般的です。

一方で、地震・噴火・それらによる津波は、通常の車両保険では対象外となることがあるため、必要に応じて特約の確認が必要です。

そして、もう一つ考えておきたいのが、

「古い車にも車両保険は必要なのか?」

という問題です。

10年、15年と大切に乗っている車でも、車両保険そのものは有効です。

しかし、車両保険金額が低くなっている場合、水没などで大きな損害を受けると、修理費が保険金額を上回ってしまう可能性があります。

そのため、

「車両保険に入っているから安心」

ではなく、

「実際にいくら補償されるのか?」

まで確認しておくことが大切です。

そして、

「水没したら修理せず買い替える」
「ある程度の貯金がある」
「車両保険を外した分を買い替え資金として貯める」

という考え方ができるのであれば、古い車の車両保険を外すことも一つの選択肢になるでしょう。

逆に、

「車がないと生活できない」
「突然数十万円~数百万円の出費が発生すると困る」
「愛車なので、多少費用がかかっても修理して乗り続けたい」

という人なら、車両保険を残す意味は十分にあります。

結局のところ、

「古い車だから車両保険はいらない」

とも、

「大切な車だから絶対に車両保険が必要」

とも、一概には言えません。

大切なのは、

「もし明日、愛車が水没して全損になったら、自分はどうするのか?」

を一度考えておくことではないでしょうか。

保険は、何か起きてから考えるものではなく、何も起きていないときにこそ見直しておきたいものです。

「こんなはずじゃなかった……」

とならないためにも、今加入している自動車保険の補償内容を、一度確認してみてはいかがでしょうか。

※この記事は自動車保険について一般的な情報を紹介するもので、保険金の支払いを保証するものではありません。補償内容、免責金額、等級、特約の適用条件などは保険会社・商品・契約内容によって異なります。実際の契約については保険証券や保険会社・代理店の案内をご確認ください。

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

9月6日

【妹の日】

漫画家であり「兄弟型・姉妹型」研究の第一人者でもある畑田国男氏によって1991年に提唱され、一般社団法人 日本記念日協会にも認定・登録されています。

由来と意味

  • 乙女座の中間: 畑田氏は、妹の持つ「誰からも愛される可憐さ」を象徴する星座を乙女座(8月23日〜9月23日頃)とし、その期間の中間の日の前日にあたる9月6日を記念日に選びました。
  • 社会での活躍: 畑田氏の研究によると、スポーツや芸能など社会の第一線で活躍する女性には「妹(末っ子)」が多いという傾向(姉妹型)があり、そうした妹たちの活躍を応援する意味も込められています。

過去には、その年に活躍した妹を表彰する「日本妹大賞」という賞が授与されたこともあり、元マラソン選手の有森裕子さんや、「きんさん・ぎんさん」の蟹江ぎんさんなどが受賞しています。