皆さんはパンを食べますか?
「パン派か、米派か」なんて話題になることもありますが、今回はそんなパン好きの人に関係する家電のお話です。
パンが好きな人なら、町のパン屋さんやスーパー、コンビニなどでパンを買う機会も多いでしょう。
そして、パン好きが高じて、
「家で焼きたてのパンを食べたい!」
と、ホームベーカリーを購入した経験がある人もいるのではないでしょうか。
材料を入れて、スイッチを押す。
しばらく待てば、家の中に焼きたてパンの香りが漂う――。
想像するだけでも、ちょっとテンションが上がりますよね。
ところが一方で、ホームベーカリーには昔から、
「買った直後は使うけど、いつの間にか使わなくなる家電」
というイメージもあります。
筆者の身近にも、昔ホームベーカリーを購入したものの、しばらくすると使わなくなり、最終的には置き物のようになっていた家庭があります。
では、現在のホームベーカリーはどうなっているのでしょうか?
昔のように「一時的なブームで終わった家電」なのか、それとも今も進化を続けているのでしょうか。
今回は、ホームベーカリーの歴史から現在の製品事情、そして今後どんな進化をしていくのかまで調べてみました。
ホームベーカリーは昔のブームで終わった?
ホームベーカリーと聞くと、「昔流行った家電」というイメージを持つ人もいるかもしれません。
実際、日本のホームベーカリー市場には大きなブームが何度もありました。
日本でホームベーカリーが登場したのは1980年代後半。
1987~1988年ごろには大きなブームとなり、初年度には約49万台が販売されたとされています。
ところが、その後は一気に市場が縮小。
当時は現在ほど技術が進んでおらず、
- パンの耳が硬い
- 焼き上がりが安定しない
- 思ったほどおいしくない
- 材料をそろえるのが面倒
といった不満もあり、ブームは急速に落ち着いていきました。
その後、ホームベーカリーは再び息を吹き返します。
インターネットの普及によってレシピや材料の情報を簡単に探せるようになったことや、食の安全・手作り志向の高まりなどが追い風になりました。
そして2010~2011年ごろには再び大きなブームが起こります。
特に、お米からパンを作れる「GOPAN」などが話題となり、2011年には国内出荷台数が約79万台に達したとされています。
つまりホームベーカリーは、
「昔一度流行って、そのまま消えた家電」ではありません。
何度もブームと縮小を繰り返しながら、現在まで生き残ってきた家電なのです。
そして2020年、ホームベーカリーが再び注目される
そしてホームベーカリーにとって、もう一つ大きな転機となったのが2020年です。
新型コロナウイルスの感染拡大によって外出自粛や在宅時間が増え、「おうち時間」を充実させる商品への需要が高まりました。
ホームベーカリーもその一つです。
実際、シロカでは2020年4~5月のホームベーカリー販売実績が前年同期比292%となったと発表しています。
「家でパンを焼いてみよう」
「せっかく家にいる時間が増えたのだから、何か新しいことを始めたい」
そんな需要がホームベーカリーにも集まったわけです。
一時的に品薄になるほど注目されたことを考えると、ホームベーカリーは決して「完全に過去の家電」になったわけではありません。
では、ブームが落ち着いた現在はどうなのでしょうか?
2026年のホームベーカリーは「ブーム」より「定番家電」?
ここは少し面白いところです。
現在のホームベーカリー市場について、過去のような「年間○万台」という大きな数字だけを見ると、2011年や2020年のような爆発的ブームと同じ勢いが続いているとは言いにくいでしょう。
一方で、メーカー各社は現在も新製品を投入しています。
つまり、
「みんなが一斉に買うブーム家電」から、「必要な人が選んで買う定番家電」へ変化した
と考えると分かりやすいのではないでしょうか。
一般社団法人日本電機工業会(JEMA)の国内出荷統計にも、ホームベーカリーは現在も白物家電の一品目として掲載されています。
さらに2026年には、シロカがホームベーカリーのラインアップをリニューアル。
パンケースとパン羽根のコーティングをセラミックコーティングへ変更するなど、新しい方向への進化も見られます。
「昔の家電」というより、地味にアップデートを続けている家電と言ったほうが近いのかもしれません。
昔のホームベーカリーと現在の違い
では、昔と現在では何が変わったのでしょうか?
1.パンを焼くだけの機械ではなくなった
昔のホームベーカリーというと、
材料を入れる→こねる→発酵→焼く→食パン完成
というイメージが強かったと思います。
もちろん現在もこの使い方が基本ですが、それだけではありません。
機種によっては、
- パン生地作り
- ピザ生地
- うどん
- パスタ生地
- おもち
- ジャム
- 甘酒
- ヨーグルト
- 糖質を抑えたパン
- 米粉パン
など、さまざまなメニューに対応しています。
つまり現在のホームベーカリーは、
「食パンを焼く専用機」から「発酵や生地作りまで任せられる調理家電」
へと役割が広がっています。
2.「こねる・発酵」を機械に任せる使い方もある
実はホームベーカリーの便利なところは、最後まで機械に任せることだけではありません。
パン作りで大変なのが「こねる」作業です。
材料を混ぜて、こねて、発酵させて……。
これを手作業でやろうとすると、それなりに時間と体力を使います。
そこで、
「生地作りだけホームベーカリーに任せる」
という使い方があります。
生地が完成したら、
- 生地を取り出す
- 自分で成形する
- オーブンで焼く
という流れです。
これならシナモンロールやあんパン、惣菜パンなど、自分の好きな形のパンを作ることができます。
ホームベーカリーを「食パンを焼く機械」ではなく、
「パン作りで一番大変な部分を代わりにやってくれる機械」
と考えると、かなり便利な存在に見えてきます。
3.小型化も進んでいる
ホームベーカリーの弱点として昔から言われてきたのが、
「大きい」
ということ。
使わないときに収納しておこうと思っても、意外と場所を取ります。
そこで最近はコンパクト化も進んでいます。
パナソニックは2024年に、約0.6斤サイズの「コンパクトベーカリー SD-CB1」を発売しました。
幅18.8cm、奥行28.5cm、高さ24.3cmというコンパクトな設計で、少人数世帯や「キッチンに常設したい」というニーズを意識した製品です。
これはなかなか面白い進化ではないでしょうか。
「大きいから収納する」
↓
「収納すると出すのが面倒」
↓
「出すのが面倒だから使わなくなる」
という、ホームベーカリーが使われなくなる原因の一つを、サイズそのものから解決しようとしているわけです。
4.「計量が面倒」を解決するサービスも登場
ホームベーカリーを使わなくなる理由として、意外と大きいのが、
材料を計量するのが面倒
という問題です。
小麦粉、砂糖、塩、イーストなどを毎回量ってセットする。
パン作りが好きな人なら楽しい作業ですが、単純に「焼きたてパンが食べたいだけ」という人には面倒に感じることもあります。
そこで2026年には、パナソニックがホームベーカリーとパンミックスを組み合わせたサブスクリプションサービスを展開しています。
2026年4月には、0.6斤分のパンミックスを使い切りサイズで届ける内容に改定。
水と一緒に機械へ入れるだけで作れるようにして、計量の手間を減らしています。月額料金も1,980円(税込・送料込み)へ改定されています。
これは個人的にかなり面白いと思います。
ホームベーカリーそのものを進化させるだけではなく、
「ホームベーカリーを使い続けてもらう仕組み」
まで考え始めているからです。
では、ホームベーカリーは本当に「使わなくなる家電」なのか?
ここで本題に戻りましょう。
ホームベーカリーは、
「買ったけど使わなくなる家電」
なのでしょうか?
筆者は、これは半分正解で、半分不正解だと思います。
確かにホームベーカリーは、購入直後は頻繁に使うものの、時間が経つにつれて使用頻度が下がりやすい家電だと思います。
理由はいくつかあります。
使わなくなる理由① 準備が意外と面倒
「材料を入れてスイッチを押すだけ」とはいっても、材料を用意して計量する必要があります。
さらに焼き上がった後は、
- パンケースを洗う
- パン羽根を洗う
- 周辺を掃除する
- パンくずを片付ける
といった作業もあります。
「焼きたてパンを食べたい」という気持ちだけでは、毎回続けるのが難しい人もいるでしょう。
使わなくなる理由② パン屋さんで買ったほうが楽
これも大きな理由です。
最近はスーパーやコンビニでもパンの種類が豊富です。
近所にパン屋さんがあれば、おいしいパンを買って帰ることもできます。
そう考えると、
「数時間かけて自分でパンを作る必要があるのか?」
という話になります。
特に「パンを作ること」そのものが好きではない人にとっては、買ったほうが圧倒的に楽です。
使わなくなる理由③ 節約目的だと期待外れになることも
「家でパンを作れば安くなるのでは?」
と考えて購入する人もいるでしょう。
しかし、ホームベーカリーは本体価格だけでなく、小麦粉、バター、砂糖、イーストなどの材料費もかかります。
さらに電気代や、消耗品・部品交換なども考える必要があります。
そのため、
「スーパーの一番安い食パンより絶対に安くなる」
という家電ではありません。
むしろホームベーカリーの価値は、
「安さ」より「焼きたて」「材料を自分で選べる」「作る楽しさ」
にあると考えたほうがいいでしょう。
それでもホームベーカリーが今も残っている理由
では、なぜホームベーカリーは消えないのでしょうか?
それは、ホームベーカリーにしかない魅力があるからだと思います。
焼きたてのパンが食べられる
これはシンプルですが強いです。
焼き上がったばかりのパンの香りは、パン屋さんで買ってくるパンとはまた違います。
「そろそろ焼き上がるかな?」
と待っている時間も含めて、楽しめる家電です。
自分で材料を選べる
自分で材料を選べるのもメリットです。
小麦粉の種類を変えたり、ナッツやドライフルーツを入れたり、米粉を使ったり。
市販品とは違って、
「自分好みのパンを作る」
という楽しみがあります。
パン作りそのものが趣味になる
ここが一番重要なのかもしれません。
ホームベーカリーを「パンを買わずに済ませるための家電」と考えると、面倒に感じることがあります。
一方、
「パン作りを楽しむための道具」
と考えれば、話が変わります。
料理やパン作りが好きな人にとっては、ホームベーカリーは非常に便利な相棒になります。
実際、シロカも2026年時点でホームベーカリーシリーズを継続して展開しており、シリーズ累計国内出荷台数は150万台を突破したと発表しています。
つまり、誰も使わなくなった家電というわけではありません。
ホームベーカリーは「万人向け」ではなくなった?
ここまで見てくると、現在のホームベーカリーは、
「誰でも買う家電」ではなく、「使う人を選ぶ家電」
になったのではないでしょうか。
例えば、
ホームベーカリーと相性が良い人
- パンが好き
- 焼きたてパンを食べたい
- パン作りそのものが好き
- 材料にこだわりたい
- オリジナルのパンを作りたい
- 生地作りを機械に任せたい
- 家で料理することが苦にならない
こういう人なら、今でもかなり楽しめるでしょう。
逆に、
ホームベーカリーと相性が悪い人
- とにかく安くパンを食べたい
- 洗い物が嫌い
- キッチンに物を増やしたくない
- パンを作ること自体には興味がない
- ボタンを押したらすぐ食べたい
こういう人には、あまり向いていないかもしれません。
結局のところ、
「自分が何のために買うのか」
が重要なんですね。
これからホームベーカリーはどう進化する?
では、ホームベーカリーはこれからどうなっていくのでしょうか?
ここからは現在確認できる製品の進化を踏まえた、筆者なりの予想です。
1.さらに「計量不要」へ
現在でもパンミックスを利用したサービスが登場しています。
今後は、
「材料を量る」
という作業そのものが、さらに減っていくかもしれません。
例えば、
「今日の朝7時に焼き上がるようにセット」
と指定すると、必要な材料を自動で計量・投入してくれる。
そんな製品が登場しても不思議ではありません。
2.AIが好みに合わせてパンを作る?
生成AIとの連携も面白そうです。
例えば、
「今日は甘さ控えめ」
「外はカリッと、中はふわふわ」
「チーズを多めに」
「昨日より少し低糖質に」
などとスマートフォンから指示すると、AIがレシピを提案してくれる。
さらに将来的には、ユーザーの過去の調理履歴をもとに、
「あなたはこの焼き上がりが好き」
と学習してくれるホームベーカリーが登場するかもしれません。
これはあくまで未来予想ですが、AIが家電に組み込まれていく流れを考えると、十分あり得そうです。
3.もっと小さく、もっと静かに
現在すでにコンパクトモデルが登場していることを考えると、今後も小型化は進みそうです。
ホームベーカリーが使われなくなる理由の一つが、
「邪魔だから」
ならば、そこを解決することには大きな意味があります。
炊飯器の横に置けるくらい小さくなれば、
「わざわざ出してくる」
という心理的なハードルも下がります。
そして、こねるときの音も、さらに静かになってほしいところです。
4.健康志向への対応
健康志向への対応も、今後さらに進むでしょう。
現在でも糖質を抑えたパンや米粉パンなど、さまざまなニーズに対応する製品があります。
今後は、
- 高たんぱくパン
- 食物繊維を意識したパン
- 米粉パン
- アレルギー対応
- 個人の栄養目標に合わせたパン
など、より細かいニーズに対応する方向へ進むかもしれません。
ただし、「病気に対応したパン」などについては、家庭用家電だけで医学的な効果まで保証できるわけではありません。
ここは健康家電として過剰な期待をしないことも大切でしょう。
5.環境への配慮も進む?
2026年には、シロカがホームベーカリーのパンケースとパン羽根のコーティングをセラミックへ変更しています。
同社は環境への配慮を理由の一つとして挙げています。
このように、今後は「おいしく焼ける」だけではなく、
「どんな素材で作られているのか」
「長く使えるのか」
「修理できるのか」
といった視点も、家電選びで重要になっていくかもしれません。
ホームベーカリーは「絶滅寸前の家電」ではなかった
ここまで調べてみると、筆者が最初に持っていた、
「ホームベーカリーって、もうほとんど使われていないんじゃない?」
というイメージは、少し違っていたようです。
確かに、2011年のような大規模なブームと比べれば、現在は落ち着いた市場になっています。
しかし、メーカーは現在も新製品を投入しています。
小型化した製品も登場し、材料を計量する手間を減らすサービスまで登場しています。
そしてパンを焼くだけではなく、生地作りや発酵、さまざまな調理までこなすようになっています。
つまりホームベーカリーは、
「一時的なブーム家電」から「必要な人が選ぶ趣味・調理家電」へ進化した
と考えると、しっくりきます。
とはいえ……「買ったけど使わなくなる」は今もある?
ここは筆者として非常に気になるところです。
筆者の親も昔ホームベーカリーを購入し、自宅で焼きたてのパンを作っていました。
購入したばかりの頃は、
「今日は何パンを作ろうか?」
なんて話をしながら使っていた記憶があります。
ところが、いつの間にか使う頻度が減り、最終的にはキッチンの片隅で眠るようになっていました。
これ、皆さんの家庭でもありませんか?
買った直後は楽しい。
何度か使う。
ちょっと飽きる。
しばらく使わなくなる。
そして、
「これ、いつ買ったんだっけ?」
という状態になる。
家電あるあるですよね(笑)。
ホームベーカリーに限らず、ホットプレートやジューサー、たこ焼き器など、「あると便利だけど、毎日は使わない家電」はたくさんあります。
結局、家電は「性能が良いか」だけではなく、
「その家電を使う習慣が自分の生活に定着するか」
が重要なのかもしれません。
まとめ:ホームベーカリーは「買ったら使い続ける家電」ではなくなった?
今回は、ホームベーカリーの現在について調べてみました。
ホームベーカリーは1980年代から何度もブームを経験し、2011年には約79万台の国内出荷を記録。
2020年にはコロナ禍のおうち時間によって再び大きな需要が生まれました。
そして2026年現在は、かつてのような大ブームというより、
「パンが好きな人や料理を楽しみたい人が選ぶ定番家電」
として進化を続けています。
コンパクト化、多機能化、材料の計量を減らすサービス、環境への配慮など、昔のホームベーカリーからは想像できない方向にも進んでいます。
一方で、
「材料を用意する」
「焼き上がるまで待つ」
「使った後に洗う」
という手間がなくなったわけではありません。
だからこそ、
「パンを安く買うための家電」と考えるより、「焼きたてパンを作る時間そのものを楽しむ家電」と考えたほうが、長く使えるのではないでしょうか。
そして何より気になるのが、
皆さんの家のホームベーカリー、今も現役ですか?
それとも……
「そういえば、そんな家電あったな……」
となっていませんか?(笑)
筆者の家では、残念ながら後者でした。
皆さんの家庭ではどうでしょう?
「今でも毎週使っている!」
「買ったけど数回しか使っていない!」
「実家で眠っている!」
など、ぜひ教えてもらいたいところです。
ホームベーカリーは「使わなくなる家電」なのか、それとも「使う人が変わった家電」なのか。
皆さんはどう思いますか?
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
9月22日
【フィットネスの日】
フィットネスの日とは、公益社団法人日本フィットネス協会(JAFA)が制定した記念日です。
フィットネスを通じて国民の健康や体力づくりを進めることを目的としており、JAFAの設立記念日でもある9月22日に登録されました。
フィットネスの日の由来と目的
- 制定の目的: フィットネスを日常に取り入れ、国民全員の健康増進に役立てるきっかけにすること。
- 時期の背景: 9月は厚生労働省が定める「健康増進普及月間」であり、9月22日は夏の暑さが和らいで運動しやすくなる最適な時期であること。
- 活動内容: 運動習慣や生活習慣を見直したり、健康に関するイベントを開いたりする日として活用されています。