ニュースやテレビ番組を見ていると、広大な土地や施設の大きさを表すときに、
「東京ドーム◯個分の広さです」
という表現をよく耳にします。
大規模な太陽光発電所、森林、テーマパーク、災害現場の被害地域など、さまざまな場面で登場するおなじみの表現ですよね。
しかし、ここでふと疑問に思うことがあります。
「東京ドームに行ったことがない人にとって、東京ドーム◯個分と言われても、そんなにピンとこなくない?」
実は筆者自身、東京ドームに行ったことがありません。
そのため、「東京ドーム1個分」と言われても、頭の中に具体的な広さが浮かんできません。
もちろん、「かなり広いんだな」ということは何となく伝わります。
しかし、それは「東京ドーム」という基準を理解しているというより、
「東京ドーム=大きい場所」というイメージを知っているだけ
なのかもしれません。
では、なぜ広さの基準として東京ドームが使われるようになったのでしょうか?
誰かが正式に「これからは東京ドームを基準にしましょう」と決めたのでしょうか?
今回は、ニュースなどでおなじみの「東京ドーム◯個分」という表現について、その理由や実際の広さ、そして「本当に分かりやすい表現なのか?」という疑問について考えてみたいと思います。
なぜ「東京ドーム◯個分」が使われるようになったのか?
まず、東京ドームが広さの基準として使われるようになった背景には、プロ野球とテレビメディアの歴史が大きく関係していると言われています。
「東京ドーム」の前は「後楽園球場」だった
現在の東京ドームが完成する前、現在の場所には「後楽園球場」がありました。
後楽園球場では、プロ野球の試合が数多く開催され、特に読売ジャイアンツの本拠地として、多くの人に知られていました。
当時は今のようにインターネットや動画配信サービスもありません。
テレビは、現在よりもはるかに大きな影響力を持っていました。
プロ野球の試合がテレビで頻繁に放送されていたこともあり、後楽園球場は全国の人々にとって、
「テレビで何度も見たことがある大きな場所」
になっていったと考えられます。
そのため、広い土地の大きさを説明するときに、
「後楽園球場◯個分」
という表現が使われるようになったと言われています。
つまり、最初から「日本全国の人が一番理解しやすい面積の単位」として計算されていたわけではありません。
当時のメディア事情や、国民的なスポーツとの結びつきによって、自然と広さの基準として定着していったのです。
1988年、後楽園球場から東京ドームへ
1988年、後楽園球場に代わって東京ドームが開場しました。
当時、東京ドームは日本初の屋根付きドーム球場として大きな話題になりました。
現在ではドーム球場は珍しくありませんが、当時としては非常に画期的な施設でした。
そして、後楽園球場に代わって新たなランドマークとなった東京ドームが、次第に広さの基準として使われるようになっていきます。
それまで、
「後楽園球場◯個分」
と表現されていたものが、
「東京ドーム◯個分」
へと変わっていったわけです。
こう考えると、「東京ドーム◯個分」という表現は、誰かが厳密なルールを作って決めたというよりも、
時代の変化とメディアの慣習によって定着していった表現
と考えることができそうです。
なぜ東京ドームが全国基準になったのか?
ここには、テレビ局や新聞などのメディアが東京を中心に発展してきたことも関係していると考えられます。
全国放送のテレビ局の多くは東京に拠点を置いています。
そのため、東京にある東京ドームは、番組制作側にとっても身近な存在でした。
また、東京ドームはプロ野球の試合やコンサートなどを通じて、テレビに頻繁に登場します。
実際に東京ドームへ行ったことがなくても、
「名前は知っている」
「外観を見たことがある」
「野球中継で見たことがある」
という人は多いでしょう。
つまり、東京ドームは、
実際に行ったことがなくても、多くの人が知っている場所
だったのです。
そのため、広さを説明する際の基準として便利だったのでしょう。
ただし、ここで一つ問題があります。
「知っている」と「広さをイメージできる」は別物ではないでしょうか?
東京ドーム1個分って、実際どれくらい?
東京ドームの建築面積は、約4万6,755平方メートルです。
数字だけを見ると、やはり少し分かりにくいですよね。
そこで、いくつかの方法でイメージしてみましょう。
正方形に近似すると約220m×220m
東京ドーム1個分の面積を単純に正方形として考えると、
約220m×220m
ほどになります。
もちろん、実際の東京ドームは正方形ではありません。
しかし、「一辺が約220mの土地」と考えると、少しイメージしやすくなるかもしれません。
歩くとどれくらい?
1辺約220mの距離なら、普通に歩いておよそ3分程度です。
もし単純な正方形として外周を歩くなら、
1周約880m
になります。
歩く速さにもよりますが、10分から15分ほど歩く距離と考えると、何となくスケールが見えてくるのではないでしょうか。
筆者としては、正直こちらの方が「東京ドーム◯個分」と言われるより分かりやすい気がします。
他の場所と比べるとどれくらい?
東京ドームに行ったことがない人にとっては、別の身近な場所と比較した方がイメージしやすいかもしれません。
サッカー場なら約6.5面分
国際規格のサッカー場を105m×68mとすると、面積は約7,140平方メートルです。
東京ドーム1個分は、単純計算で、
サッカー場約6.5面分
に相当します。
「東京ドーム1個分」と言われるより、
「サッカー場6面以上の広さ」
と言われた方が、サッカー中継を見たことがある人には分かりやすいかもしれません。
東京ディズニーランドは東京ドーム約11個分
東京ディズニーランドの面積は約51万平方メートルです。
東京ドーム1個分を約4万6,755平方メートルとして計算すると、
東京ドーム約11個分
になります。
東京ディズニーランドに行ったことがある人なら、
「東京ディズニーランドの約半分」
「東京ディズニーランドと同じくらい」
といった説明の方が、広さをイメージしやすいかもしれません。
USJも東京ドーム約11個分
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのパーク敷地も、おおよそ東京ドーム11個分に相当する規模です。
テーマパークに行った経験がある人なら、
「あのテーマパークが約11個分」
と言われた方が、東京ドームより具体的なイメージを持てる人も多いでしょう。
「東京ドーム◯個分」より分かりやすい表現はないの?
ここまで考えると、
「もっと分かりやすい基準があるのでは?」
と思ってしまいます。
もちろん、すべての人にとって分かりやすい基準というのは簡単ではありません。
住んでいる地域や年齢、経験によって、身近なものは変わるからです。
しかし、いくつかの方法は考えられます。
1. 学校のグラウンドで表す
多くの人が通った経験のある場所といえば、学校のグラウンドです。
例えば、
「小学校のグラウンド◯個分」
と表現すれば、東京ドームより身近に感じる人も多いでしょう。
「自分が通っていた学校のグラウンドが10個分くらいか」
と考えられるからです。
ただし、学校によってグラウンドの大きさは大きく異なります。
そのため、基準として使う場合は、
「一般的な小学校のグラウンド約◯個分」
など、ある程度の前提を説明する必要があります。
2. サッカー場で表す
サッカー場はテレビ中継などで見る機会も多く、形も比較的分かりやすい基準です。
「東京ドーム1個分」よりも、
「サッカー場約6.5面分」
と言われた方が、ピッチを知っている人にはイメージしやすいかもしれません。
ただ、サッカー場もサイズに幅があるため、厳密な比較をする場合は注意が必要です。
3. テニスコートで表す
テニスコートなら、さらに小さな単位で比較できます。
東京ドーム1個分は、おおよそテニスコート180面分ほどになります。
ただし、
「テニスコート180面分」
と言われると、今度は数が大きすぎて逆に分かりにくい可能性もあります。
何でも細かく分解すれば分かりやすくなるわけではありません。
ここが面積表現の難しいところです。
4. 「歩いて何分」で表す
個人的には、もっとも直感的なのが「歩く時間」で表す方法です。
例えば、
「端から端まで歩いて約3分かかる広さ」
「一周すると徒歩で約15分かかる広さ」
といった表現です。
人は面積の数字よりも、
「自分がその場所に立ったら、どれくらい歩くのか」
の方がイメージしやすい場合があります。
特に、広大な土地を紹介するときは、
- 面積
- 東京ドーム換算
- 徒歩での距離
- 端から端までの時間
を組み合わせて説明した方が、より分かりやすいのではないでしょうか。
「分かりやすく伝えます」と言いながら東京ドーム?
ニュース番組などでは、
「今日も分かりやすくお伝えします」
といった言葉を聞くことがあります。
もちろん、視聴者に分かりやすく情報を伝えようとしていること自体は、とても大切なことです。
しかし、その直後に、
「東京ドーム◯個分の広さです」
と説明されると、
「それって本当に分かりやすいのかな?」
と感じてしまうことがあります。
筆者だけでしょうか?
もちろん、東京ドームは日本を代表する有名な施設です。
実際に行ったことがなくても、名前を知っている人は多いでしょう。
しかし、
「知っていること」と「大きさをイメージできること」は違います。
例えば、
「東京ドーム10個分です」
と言われたとき、
「東京ドームの大きさが約4万6,755平方メートルだから……」
と頭の中で計算する人は、ほとんどいないでしょう。
多くの人は、
「とにかくものすごく広いんだな」
と受け取るだけです。
それでも十分な場合はあります。
ニュースでは、細かい面積を正確に伝えるよりも、
「非常に広大な場所だ」
という印象を伝えることが目的の場合もあるからです。
しかし、具体的な大きさを理解してもらいたいのであれば、もう一歩工夫があってもいいのではないでしょうか。
なぜ「東京ドーム◯個分」は使われ続けるのか?
では、分かりにくいと感じる人がいるにもかかわらず、なぜこの表現は使われ続けているのでしょうか?
理由の一つは、やはり便利だからだと思います。
「東京ドーム1個分」という基準は、長年使われてきたことで、メディア側にも視聴者側にもある程度定着しています。
また、数字をそのまま伝えるよりも、
「東京ドーム◯個分」
と言った方が、聞いた瞬間に「大きそうだ」と感じてもらいやすいというメリットもあります。
つまり、
正確なイメージを伝えるというより、スケール感を伝えるための表現
として使われているのかもしれません。
そして、長年使われてきた表現だからこそ、
「他にもっと良い方法はないか?」
と考えられる機会が少ないまま、現在まで残っているとも言えそうです。
地域によって基準を変える方法もあり?
全国放送で東京ドームを使うのではなく、地域によって基準を変える方法も考えられます。
例えば、
- 北海道なら札幌ドーム
- 関西なら甲子園球場
- 地方なら地域の有名な公園
- その地域の人なら誰でも知っている駅や施設
などです。
実際、地域のニュースでは、その土地の人に伝わりやすい場所を基準にすることもあります。
これは非常に合理的だと思います。
東京に住んでいる人にとっては東京ドームが身近でも、北海道の人にとっては札幌ドームの方が身近かもしれません。
関西の人なら甲子園球場の方がイメージしやすい人もいるでしょう。
つまり、
全国共通の一つの基準を作るより、地域ごとに「みんなが知っている場所」を基準にする方が、実は分かりやすいのかもしれません。
これからは「東京ドーム◯個分」も変わっていく?
最近では、ニュースや情報番組でも、CGや地図を使って大きさを視覚的に説明する機会が増えています。
例えば、
- 実際の地図上に敷地を重ねる
- 人の大きさと比較する
- 近くの駅からの距離で表す
- 3D映像で広さを再現する
- 地元の有名な施設と比較する
といった方法です。
こうした表現の方が、単純に「東京ドーム◯個分」と言われるより、具体的な大きさを理解できる人も多いでしょう。
もちろん、「東京ドーム◯個分」という表現が完全に悪いわけではありません。
長年使われてきたことで、すでに一種の共通表現になっています。
ただ、
「本当に視聴者に伝わっているのか?」
と考えることは大切ではないでしょうか。
まとめ:「東京ドーム◯個分」は便利だけど、本当に分かりやすいとは限らない
今回は、ニュースなどでよく使われる、
「東京ドーム◯個分」
という表現について考えてみました。
この表現は、後楽園球場の時代から続くプロ野球やテレビメディアの歴史、そして東京ドームの知名度などによって定着したと考えられます。
東京ドームは非常に有名な施設なので、
「名前を知っている人が多い」
という点では、広さを表す基準として便利です。
一方で、
東京ドームに行ったことがない人にとって、具体的な広さをイメージするのは簡単ではありません。
筆者も東京ドームに行ったことがないため、
「東京ドーム◯個分」
と言われても、正直なところ、
「とにかく広いんだな」
という感想になってしまいます。
もちろん、誰にでも分かりやすい基準を作るのは難しいでしょう。
人によって身近なものは違います。
だからこそ、
「東京ドーム◯個分です」
だけで終わらせるのではなく、
「サッカー場なら約◯面分」
「端から端まで歩いて約◯分」
「この地域で言えば、あの公園の約◯倍」
など、複数の表現を組み合わせてくれると、より分かりやすいのではないでしょうか。
「分かりやすく伝えます」と言うのであれば、単に定番の表現を使うだけではなく、
本当に視聴者がイメージできるのか?
というところまで考えてもらえると嬉しいですよね。
皆さんは「東京ドーム◯個分」という表現、分かりやすいと思いますか?
それとも、筆者と同じように、
「東京ドームに行ったことがないから、正直よく分からない……」
と感じますか?
「東京ドーム◯個分より、こう表現した方が分かりやすい!」という意見があれば、ぜひコメントで教えてください😄
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
8月17日
【プロ野球ナイター記念日】
1948年(昭和23年)8月17日に、横浜ゲーリッグ球場(現在の横浜スタジアム)で日本プロ野球史上初となる夜間公式戦(ナイトゲーム)が開催されたことを記念して制定されました。
初めてのナイターの詳細
- 対戦カード: 読売ジャイアンツ(巨人) 対 中部日本ドラゴンズ(現・中日ドラゴンズ)
- 試合結果: 3対2で中日の勝利
- 開始時間: 当時としては遅い午後8時8分にプレイボールとなりました
歴史的なエピソード
- 「ナイター」という言葉の誕生: 「夜間試合(ナイトゲーム)」を意味する「ナイター」という和製英語は、この日の試合の報道から初めて使われ、世間に定着していきました。
- 照明の明るさは10分の1: 当時はアメリカ軍に接収されていた球場の照明設備を使用しましたが、明るさは現在の10分の1程度しかありませんでした。そのためボールが見えにくく、選手が怪我をするなどのハプニングが多発したと言われています。
- レジェンドへの黙祷: 試合直前に、アメリカ大リーグの英雄であるベーブ・ルース氏の訃報が日本に届いたため、試合前に全員で黙祷が捧げられました。