新卒採用で問題化する「オワハラ」とは?就活生を苦しめる大人の事情と売り手市場の落とし穴

読者の皆さんの中には、これから就職活動を始める方や、ご家族が就活を控えているという方もいるかもしれません。

近年の日本は深刻な人手不足が続いており、新卒採用市場は「売り手市場」と呼ばれています。

企業側が人材確保に苦労する一方で、学生は比較的有利な立場にあると言われています。

筆者は就職氷河期世代なので、当時の厳しい就活を思い返すと少し羨ましく感じる部分もあります。

しかし、売り手市場だからこそ生まれた新たな問題もあります。

それが今回取り上げる「オワハラ」です。

一見すると学生が有利に見える現代の就活ですが、その裏側では一部の就職エージェントによる悪質な囲い込み行為が問題になっています。

今回は、この「オワハラ」の実態について見ていきましょう。


オワハラとは何か?

オワハラとは、

「就職活動終われハラスメント」

の略称です。

企業や就職エージェントが、内定を獲得した学生に対して、

「他社の選考を辞退して就職活動を終えてほしい」

と強く迫る行為を指します。

特に近年問題視されているのが、就職エージェントによるオワハラです。

本来であれば学生の就職活動を支援する立場であるはずの担当者が、時には学生を精神的に追い詰めるケースも報告されています。


なぜオワハラが起きるのか?

最大の理由は、就職エージェントのビジネスモデルにあります。

多くのエージェントは成功報酬制です。

学生を企業へ紹介し、その学生が入社した時点で企業から報酬を受け取ります。

報酬額は1人あたり数十万円から100万円以上になるケースも珍しくありません。

つまり、

「内定獲得」

ではなく、

「入社確定」

になって初めて利益が発生する仕組みなのです。

しかし現在は売り手市場です。

学生は複数の企業から内定を得ることも珍しくありません。

エージェントが紹介した企業に入社しなければ、そのエージェントの報酬はゼロになります。

そのため一部の担当者は、

「他社を辞退してください」

「今すぐ就活を終えてください」

と学生へ強い圧力をかけるようになってしまうのです。


実際に報告されている悪質な事例

報道や大学の注意喚起では、次のようなケースが紹介されています。

不安を過剰にあおる

  • 今の内定を辞退したら次はない
  • あなたの実力では他社は受からない

など、学生の不安を利用して判断力を奪おうとします。

金銭を請求する

  • サポート費用を支払え
  • 損害賠償を請求する

と脅すケースもあります。

しかし学生がエージェントへ費用を支払う義務は基本的にありません。

大学や後輩を利用した脅し

  • 大学に報告する
  • 後輩への紹介枠がなくなる

などの発言で心理的圧力をかける事例もあります。


学生が知っておくべきこと

最も大切なのは、

「就職先を選ぶ権利は学生本人にある」

ということです。

日本では職業選択の自由が保障されています。

エージェントに就活終了を強制する権限はありません。

もし強引な対応を受けた場合は、

①毅然と断る

法的根拠のない脅しに屈する必要はありません。

②証拠を残す

メールやLINEの保存、通話の録音などを行いましょう。

③大学や専門機関へ相談する

キャリアセンターや消費生活センターなど、第三者へ相談することが重要です。


昔と今で変わった就職活動

筆者が就職活動をしていた頃と比べると、今の就活環境は大きく変化しています。


求人の探し方

昔は大学の就職課や推薦制度が中心でした。

しかし現在は、

  • 就活サイト
  • スカウトサービス
  • 就職エージェント

などをスマホ一台で利用できます。

便利になった反面、情報量は膨大です。


就職エージェントの存在

現在の学生にとってエージェントは身近な存在です。

履歴書添削や面接対策などの支援を無料で受けられるため、多くの学生が利用しています。

ただし「無料」だからこそ注意も必要です。

無料で利用できるのは、企業側が報酬を支払っているからです。

つまりエージェントもボランティアではなく、利益を求める企業なのです。


なぜ仲介業者が必要になったのか

企業も学生も選択肢が増えすぎた結果、お互いを見つけにくくなっています。

学生は、

「どの企業が自分に合うのか分からない」

企業は、

「学生に自社を知ってもらえない」

という問題を抱えています。

そこで間に入るのがエージェントです。

本来は非常に便利な仕組みなのですが、利益優先の姿勢が強くなると今回のような問題が発生してしまいます。


オワハラは売り手市場が生んだ歪み

興味深いのは、この問題が売り手市場だからこそ起きていることです。

もし就職氷河期のような買い手市場であれば、学生は内定を1社獲得するだけでも大変でした。

企業側やエージェントが学生を囲い込む必要はありません。

しかし現在は違います。

学生が複数内定を持つ時代だからこそ、エージェントは内定辞退を恐れるようになりました。

その結果、一部の担当者が強引な手段に走ってしまうのです。


オワハラは結局誰のためにもならない

短期的にはエージェントが利益を得られるかもしれません。

しかし長期的に見れば自らの首を絞める行為です。

現代の学生はSNSを活用しています。

悪質な対応はすぐに共有されます。

大学側も問題のある業者には警戒を強めています。

信頼を失ったエージェントは、やがて学生からも企業からも選ばれなくなるでしょう。


まとめ

就職活動の仕組みは昔と比べて大きく進化しました。

スマホ一台で企業探しから面接対策までできる便利な時代になった一方で、その裏には複雑なビジネス構造も存在しています。

オワハラは、その構造が生み出した負の側面と言えるでしょう。

就職エージェントそのものが悪いわけではありません。

実際には学生のために真剣にサポートしている担当者も数多くいます。

しかし、どんな便利なサービスにもメリットとデメリットがあります。

これから就活を始める学生の皆さんは、エージェントを利用する際にも「最終的に進路を決めるのは自分自身である」ということを忘れないでください。

皆さんは今回の「オワハラ」問題についてどう感じましたか?

ご自身の就職活動と比べながら考えてみると、時代の変化がより見えてくるかもしれません。

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

6月24日

【ドレミの日】

西暦1024年のこの日、イタリアの修道士であり音楽教師でもあったグイード・ダレッツォが、現在使われている音階の原型を定めたとされています。

誕生の由来と歴史

当時は楽譜が存在せず、聖歌隊はすべてのメロディを聴いて暗記しなければなりませんでした。歌を覚えるのに苦労する人々を見たグイードは、より簡単に音楽を指導・記録する方法を考え出しました。

  • 聖ヨハネ賛歌がきっかけ:6月24日の「洗礼者ヨハネの祭」に向けて雑学ネタ帳、彼が聖歌隊に「聖ヨハネ賛歌」を指導していた際、フレーズごとに音が1音ずつ上がっていく規則性に気づきました。
  • 歌詞の頭文字を音名に:各小節の冒頭の歌詞から「ウト・レ・ミ・ファ・ソル・ラ(Ut, Re, Mi, Fa, Sol, La)」を取り出し、これを発声練習の基準(音階)としました。

現在の「ドレミ」への変化

グイードが考案した当時は「ド」ではなく「ウト」であり、「シ」の音も存在しませんでした。その後、以下のような歴史を経て現在の形になりました。

  • 「Ut(ウト)」から「Do(ド)」へ:17世紀頃、発音しにくい「Ut」が、キリスト教の「主(Dominus)」の頭文字に由来する「Do」へ変更されました。
  • 「Si(シ)」の追加:のちに「聖ヨハネ賛歌」の最後の歌詞(Sancte Johannes)の頭文字から「Si」が加えられ、7つの音階が完成しました。

グイードはこのとき、音階だけでなく「五線譜」の原型となる「四線譜」による記譜法も発明しており、まさに世界の音楽教育の基礎が作られた日と言えます。