改正個人情報保護法で何が変わる?AI・子ども・生体データ・罰則まで徹底解説

皆さんは、自分の個人情報をしっかり守れていますか?

インターネットを利用していると、「偽サイトに個人情報を入力してしまった」「個人情報が流出した」といったニュースを目にすることがあります。

名前や住所、電話番号、メールアドレスなど、自分に関する情報が知らないところで利用されたり、悪用されたりするのは、誰でも不安になりますよね。

そんな私たちの個人情報を守るための重要な法律が、個人情報保護法です。

この法律は時代の変化に合わせて見直されており、2026年(令和8年)には大きな改正が行われました。

今回の改正法は2026年7月10日に国会で可決・成立し、7月17日に公布されています。

では、今回の改正で一体何が変わるのでしょうか?

AIの発展やデータ活用を意識した「利用しやすくする方向」と、子どもの情報や顔などの生体データを守る「規制を強化する方向」。

一見すると逆方向に見える2つの動きが、今回の改正の大きなポイントです。

今回は、できるだけ難しい法律用語を使わず、私たちの生活に関係しそうなポイントを中心に見ていきます。


改正個人情報保護法で何が変わる?

今回の改正を大きく整理すると、次のようなポイントがあります。

  1. AI開発や統計作成など、データを活用しやすくなる
  2. 子どもの個人情報をより慎重に扱う
  3. 顔の特徴など、生体データに対する規制が強化される
  4. 委託先の事業者に対するルールが強化される
  5. 個人情報の不正利用に対する課徴金制度などが導入される

つまり、

「安全なデータ活用は進める。でも、リスクの高い利用については規制を強くする」

という方向性です。

個人情報保護委員会も、今回の改正について、AI活用などを含むデータ利活用を促進する一方、個人の権利利益を守るための規律を強化する内容としています。

では、それぞれ詳しく見ていきましょう。


1.AI開発や統計作成などでデータを利用しやすくなる

今回の改正で特に注目したいのが、データの利活用に関するルールの変更です。

AIの発展によって大量のデータを利用する機会が増えています。

例えば、

「大量のデータを分析して、新しいサービスを作りたい」

「医療データを分析して病気の研究に役立てたい」

「AIの開発や機械学習にデータを活用したい」

といったケースです。

これまでは、個人データを第三者に提供する場合など、原則として本人の同意を得る必要がありました。

しかし、今回の改正では、一定の条件を満たして統計情報などを作成する場合、本人の同意を不要とする仕組みが設けられました。

ここには、統計作成として整理できるAI開発なども含まれます。

ただし、

「本人の同意がなくても、企業が好き勝手に個人情報を使えるようになった」

という意味ではありません。

ここは非常に重要なポイントです。

利用できるケースや目的には法律上の条件があり、何でも自由に利用できるわけではありません。


「本人の同意なし」と聞くとちょっと怖い……

ここは私自身も気になるところです。

「えっ、本人が知らないうちに個人情報を使えるの?」

と思う人も多いでしょう。

今回の改正では、統計情報等の作成に利用する場合などについて本人同意を不要とする仕組みが設けられていますが、利用目的や提供方法などについて一定のルールがあります。

また、単純に「名前を消せば何でもOK」という制度でもありません。

例えば、

  • 何のためにデータを利用するのか
  • どのようなデータを利用するのか
  • どこに提供するのか
  • 統計情報等の作成に利用するという目的に沿っているのか

など、法律上の条件を満たす必要があります。

つまり、

「同意不要=無制限に利用可能」ではない

ということです。


2.「本人の意思に反しない」場合のルールも見直される

今回の改正では、本人の取得時の状況などから見て、本人の意思に反しないことが明らかで、本人の権利利益を害するおそれがない場合について、一定の同意取得を不要とする仕組みも設けられています。

例えば、サービスを利用するうえで当然に情報が共有されるケースなどが想定されています。

これは、

「本人が明らかに了承していると考えられるのに、形式的な同意手続きを何度も求める」

といった場面を簡素化する狙いがあります。

ただし、これも「本人の同意がなくても何でもOK」という意味ではありません。

あくまでも、本人の意思に反しないことが明らかで、権利利益を害するおそれがないことなど、法律上の条件があります。


3.医療・研究分野でのデータ活用も進められる

医療分野でもデータ活用は重要です。

例えば、

「過去の患者データを分析して病気の傾向を調べる」

「新しい治療方法の研究にデータを活用する」

といったことは、医学の発展につながる可能性があります。

今回の改正では、学術研究に関する例外について、医療の提供を目的とする機関や団体が対象となることが明示されました。

個人のプライバシーを守ることはもちろん重要ですが、データを適切に活用することで医療や科学技術の発展につながる可能性もあります。

今回の改正は、こうしたデータ活用と個人情報保護のバランスを取ろうとしているともいえます。


4.16歳未満の「こどもの個人情報」がより重視される

今回の改正で、私たちの生活に身近なポイントの一つが子どもの個人情報保護です。

改正法では、本人が16歳未満の場合、個人情報の取扱いに関する同意取得や通知などについて、法定代理人を対象とすることが明文化されました。

さらに、子どもの個人情報などを取り扱う際には、本人である子どもの最善の利益を優先して考慮することが求められる仕組みも設けられています。

インターネットやスマートフォンが当たり前になった現在、子どもの個人情報がネット上で扱われる機会も増えています。

そのため、

「大人と同じように考えていいのか?」

という問題が以前から指摘されていました。

今回の改正では、子どもの立場をより重視する方向へルールが明確化されたわけです。


5.顔の特徴など「生体データ」の規制が強化される

最近では、顔認証システムを利用するサービスも増えています。

スマートフォンのロック解除、入退場管理、防犯対策など、顔の特徴を利用する技術は私たちの生活に入り込んでいます。

便利な一方で、

「自分の顔の情報がどこで使われているのか分からない」

という不安もありますよね。

今回の改正では、身体の一部の特徴に係る情報を含む個人情報について、本人による利用停止等の請求に関する仕組みが強化されるほか、特定生体個人情報について一定の規律が設けられます。

特に顔認証などの技術が広がる中で、

「便利だから使う」だけではなく、「本人がどうコントロールできるのか」

という視点が重要になってきています。


6.電話番号などの「連絡可能個人関連情報」にも新たな規律

今回の改正では、電話番号など、個人への連絡に利用できる情報についても新たな規律が設けられます。

個人情報というと、

「名前や住所」

を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、現代では電話番号やメールアドレスなどだけでも、本人に直接連絡したり、他の情報と組み合わせたりすることができます。

こうした情報が不正に取得・利用されることを防ぐため、今回の改正では「連絡可能個人関連情報」についての規律が導入されます。


7.個人情報を扱う「委託先」にもルールが強化される

企業が個人情報を扱う場合、すべてを自社だけで管理しているとは限りません。

例えば、

  • クラウドサービス
  • データ処理会社
  • 顧客管理システム
  • メール配信サービス
  • 外部の事務代行会社

などに業務を委託することがあります。

そこで問題になるのが、

「預かった個人情報を委託先が勝手に別の目的で使ったらどうするの?」

ということです。

今回の改正では、こうした委託先に関する規律も見直されます。個人情報保護委員会の資料でも、「委託先に係る規律の導入」が改正項目として示されています。

個人情報を預ける企業だけではなく、その情報を実際に扱う委託先まで含めて管理することが重要になっているわけです。


8.違反した企業への「課徴金制度」が導入される

今回の改正で大きく注目されているのが、課徴金制度です。

これまで個人情報保護法には、違反行為に対する刑事罰などがありました。

今回の改正では、個人情報の違法な取扱いによって財産上の利益を得た場合などを対象として、個人情報保護委員会が課徴金の納付を命じる制度が設けられました。

これは企業にとってかなり大きな意味があります。

個人情報を扱う企業に対して、

「情報管理をきちんとしないと、会社として大きな負担を負う可能性がありますよ」

という強いメッセージになるからです。

ただし、課徴金については「違反で得た利益と必ず同額」という単純な制度ではありません。

対象となる違反行為や課徴金の算定方法など、法律上の要件に基づいて運用されます。


9.個人情報を扱うのは大企業だけじゃない

ここで、意外と知られていないポイントも確認しておきましょう。

個人情報保護法は、

「大企業だけが守る法律」ではありません。

現在は、昔のような「5,000人分を超える個人情報を扱う事業者だけが対象」という件数基準はありません。

そのため、規模の小さな企業や個人事業主などでも、事業のために個人情報を取り扱えば、個人情報保護法上のルールが関係してきます。

例えば、

  • 顧客の名前や電話番号を管理する小さなお店
  • 顧客名簿を持つ個人事業主
  • 従業員の情報を管理する会社
  • 会員情報を管理する団体

なども対象になり得ます。


「1件だけなら個人情報保護法は関係ない」は本当?

では、

「顧客が1人しかいないんだけど、それでも法律の対象になるの?」

と思う人もいるかもしれません。

重要なのは、人数の多さだけで判断するものではないということです。

例えば、事業として顧客の氏名や連絡先をデータベースなどで管理・利用しているのであれば、少人数だからといって「個人情報保護法は関係ない」と考えるのは危険です。

一方で、完全に個人の私生活のために利用している場合は、個人情報保護法の適用対象外となる「個人情報取扱事業者の例外」に該当します。

例えば、

  • 家族の連絡先をスマートフォンに登録している
  • 友人の住所を個人的に管理している
  • 年賀状を出すために個人的な住所録を作っている

といったケースです。

つまり、

「何件あるか」だけではなく、「誰が、何のために、どのように個人情報を扱っているのか」

が重要なのです。


では、私たちの個人情報は勝手に使われるの?

ここまで読んで、

「結局、本人の同意がなくても個人情報を使えるようになったんでしょ?」

と不安になった人もいるかもしれません。

確かに今回の改正では、一定の条件のもとで、本人の同意を不要とするデータ利用の仕組みが拡大されています。

しかし、

「本人の同意なし=企業が好き勝手に使っていい」

という制度ではありません。

今回の改正のポイントは、むしろ、

「AIや医療など、社会にとって有益なデータ活用は進めたい。でも、個人の権利利益を守るためのルールは強化する」

というバランスにあります。

個人情報保護委員会も、今回の改正について、データ利活用の促進と個人の権利利益の適切な保護を両立させることを趣旨として掲げています。


改正個人情報保護法を簡単にまとめると?

今回の改正をざっくりまとめると、こんなイメージです。

🟢 利用しやすくなる方向

  • AI開発や統計作成などのためのデータ活用
  • 一定の条件下で本人同意を不要とする仕組み
  • 医療・学術研究分野でのデータ活用
  • 本人の意思に反しないことが明らかな場合の手続きの簡素化

🔴 守りが強くなる方向

  • 16歳未満の子どもの個人情報
  • 顔の特徴などの生体データ
  • 連絡可能個人関連情報
  • 個人情報を扱う委託先
  • 違法な個人情報利用によって利益を得た事業者への課徴金制度

こうして見ると、

「規制を緩めた法律」でも「規制を強化した法律」でもなく、リスクに応じてメリハリをつけた改正

と考えると分かりやすいでしょう。


施行はいつから?

ここも注意が必要です。

2026年7月17日に公布された改正法は、一部を除き、公布日から起算して2年以内で政令で定める日から施行されることになっています。

そのため、

「2028年7月に必ず施行される」

と断定するのではなく、

「2028年7月までに施行される可能性があるが、具体的な施行日は今後政令で定められる」

と理解しておくのが正確です。

2026年8月時点でも、個人情報保護委員会は政令・規則・ガイドラインなどの整備を進めています。


私たちはどうすればいい?

今回の改正は、企業側にとってはもちろんですが、私たち個人にとっても無関係ではありません。

インターネットを利用すれば、

  • 名前
  • メールアドレス
  • 電話番号
  • 住所
  • 購入履歴
  • 閲覧履歴
  • 位置情報
  • 顔などの生体情報

など、さまざまなデータを提供する機会があります。

だからこそ、

「無料だから」「便利だから」と何でも個人情報を渡すのではなく、何の情報を、誰に、何の目的で提供するのかを意識すること

も大切です。

特に最近は、偽サイトやフィッシング詐欺などによって、自分から個人情報を入力してしまうケースもあります。

法律が整備されても、私たち自身が情報を守る意識を持つことも重要です。


まとめ

今回の個人情報保護法改正は、

「個人情報をもっと自由に使えるようにする」

という単純なものではありません。

AIや医療など、社会に役立つデータ活用については一定の条件のもとで利用しやすくする一方、

子ども・生体データ・不正利用など、リスクの高い部分については規制を強化する。

これが今回の改正の大きな方向性です。

特に「本人の同意がなくてもデータを利用できる場合がある」という部分は、私たち利用者からすると少し不安に感じるかもしれません。

自分の知らないところで、自分に関する情報が利用されるのは、正直あまり気持ちのいいものではありませんよね。

一方で、AIの発展や医療研究などを考えれば、すべてのデータ利用に対して一人ひとりの同意を求めることが、必ずしも社会にとって最善とは限りません。

だからこそ重要なのは、

「データを活用すること」と「個人の権利を守ること」をどう両立させるのか

ということなのではないでしょうか。

今回の改正によって、私たちの個人情報は本当に安心して守られるのでしょうか?

それとも、便利さを優先するあまり、知らないうちに自分の情報が利用される社会になってしまうのでしょうか?

皆さんは今回の個人情報保護法改正について、どう感じますか?

「これなら安心できる」

「本人の同意なしで利用できるのは、やっぱり不安」

など、ぜひ皆さんの意見も聞いてみたいところです。

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

9月25日

【10円カレーの日】

10円カレーの日とは、毎年9月25日に東京・日比谷公園の洋風レストラン「日比谷松本楼」が開催している、カレーを格安で提供し売上や募金を寄付するチャリティーイベントのことです。

由来と歴史

  • 焼失と再建: 1971年(昭和46年)に松本楼が全焼する火災に見舞われましたが、2年後の1973年9月25日に全国からの励ましを受けて新装再オープンを果たしました。
  • 感謝の行事: その時の全国からの支援に対する感謝の気持ちを込めて、毎年9月25日に記念行事として始まったのが由来です。
  • 10円の意味: 「無料ではお客様としてもてなしすことにならない」という創業者の考えから、あえて10円(近年は物価高騰等に伴い金額変更や「以上の募金」とする形式へ移行)を受け取る形で行われています。

イベントの特徴

  • 寄付の実施: 集まった売上金や募金は、交通遺児育英会や日本ユニセフ協会、被災地支援などに寄付されています。
  • 親しまれる愛称: 正式な行事名は「10円カレーチャリティ」ですが、一般には「10円カレーの日」として広く親しまれています。