相続放棄が急増している理由とは?「負動産」が日本の空き家問題を深刻化させる

相続放棄するケースが急増?原因は「負動産」にあるのか

皆さんは「相続」を経験したことがありますか?

「まだ自分には関係ない」と思っている人も多いかもしれません。しかし、相続は資産家だけの話ではなく、ほとんどの家庭でいつか必ず訪れる問題です。

相続と聞くと「財産を受け取れるもの」というイメージがありますが、近年はそうとも言えなくなっています。

実は今、日本では相続放棄を選ぶ人が急激に増えているのです。

なぜ、せっかくの相続を放棄する人が増えているのでしょうか。

今回は、その背景にある「負動産(ふどうさん)」問題や空き家問題について考えてみたいと思います。

それでは見ていきましょう。


相続放棄は約20年で3倍近くに

最高裁判所の司法統計によると、相続放棄の受理件数は年々増加しています。

  • 2004年:約11万件
  • 2024年:30万件超

約20年間でおよそ3倍近くまで増えている計算になります。

以前は、

「親に多額の借金があった」

というケースで利用されることが多かった制度ですが、現在では借金がなくても相続放棄を選ぶ人が珍しくありません。

では、なぜここまで増えているのでしょうか。


相続放棄が増える3つの理由

① 「負動産」の増加

最近よく耳にするようになった言葉が

負動産(ふどうさん)

です。

これは文字どおり、

持っているだけでお金がかかる不動産

を意味します。

例えば、

  • 地方の空き家
  • 過疎地の土地
  • 利用予定のない山林
  • 古い別荘

などです。

本来、不動産は資産ですが、

需要のない地域では、

  • 買い手がいない
  • 固定資産税だけかかる
  • 草刈りや管理が必要

という状態になり、「資産」ではなく「負債」のような存在になってしまいます。


② 親族関係の変化

昔は親族同士のつながりが強く、

相続も家族みんなで協力して進めるケースが一般的でした。

しかし現在では、

  • 核家族化
  • 少子高齢化
  • 親族との交流減少

によって、

「面倒な相続に関わりたくない」

という人も少なくありません。

さらに、長年連絡を取っていなかった親族の相続人になるケースも増えています。


③ 高齢化による死亡者数の増加

日本は超高齢社会です。

当然、死亡者数も増加しているため、

相続そのものの件数も増えています。

つまり、

相続放棄が増えた理由は

  • 相続件数の増加
  • 負動産の増加

この2つが重なった結果とも言えます。


相続放棄するときに知っておきたい注意点

相続放棄には重要なルールがあります。

① 手続きは3か月以内

原則として

相続開始を知った日から3か月以内

に家庭裁判所へ申し立てる必要があります。

期限を過ぎると放棄できない可能性があります。


② 財産に手を付けると放棄できないことも

例えば

  • 預金を引き出す
  • 家を売却する
  • 財産を処分する

などを行うと、

「相続を承認した」

と判断される場合があります。

軽い気持ちで片付けを始めることも注意が必要です。


③ 借金は次の相続人へ

自分が放棄すると、

借金も含めて次順位の相続人へ移ります。

兄弟姉妹や親族へ影響することもあるため、

事前に情報共有しておくことが大切です。


相続したらすぐ売れば解決?

「相続したらすぐ売ればいい」

そう思う人も多いでしょう。

もちろん、

売れる物件なら、それが一番良い方法です。

しかし問題は、

売りたくても売れない不動産

が全国に大量に存在することです。


タダでも売れない土地

地方や過疎地では

「0円でもいらない」

と言われる土地もあります。

不動産会社から

「仲介できません」

と断られるケースも珍しくありません。


売る前に数百万円かかることも

売却には様々な費用が必要です。

例えば、

  • 遺品整理
  • ゴミの撤去
  • 解体費用
  • 境界測量

これだけで数百万円になることもあります。

しかも、

お金をかけても売れる保証はありません。


一度相続すると後戻りできない

名義変更を行えば、

あとから相続放棄はできません。

つまり、

「とりあえず相続して様子を見る」

という考えは非常に危険なのです。


相続登記義務化も影響している

2024年4月から、

相続登記が義務化されました。

これまでのように

「そのまま放置」

ができなくなり、

正当な理由なく登記を怠ると過料の対象になる可能性があります。

この制度変更により、

最初から相続放棄を選ぶ人も増えていると考えられています。


相続放棄が増えると空き家問題も深刻化

相続放棄が増えることで、

空き家問題はさらに悪化する可能性があります。

所有者が決まらなければ、

建物は放置され、

老朽化が進みます。

倒壊や景観悪化だけでなく、

害虫や火災、不法侵入など地域全体へ影響を及ぼすこともあります。


放棄しても管理義務が残る場合がある

「相続放棄したから終わり」

ではありません。

状況によっては、

次の管理者が決まるまで適切に管理しなければならない場合があります。

この点は誤解されやすいポイントなので注意が必要です。


国も簡単には引き取らない

放棄された不動産が

自動的に国のものになるわけではありません。

最終的には

相続財産清算人の選任など、

家庭裁判所での手続きが必要になります。

さらに、

予納金が必要になるケースもあり、

費用面から断念する人もいます。


国も対策を進めている

もちろん、

国も何もしていないわけではありません。

所有者不明土地法の整備や、

相続土地国庫帰属制度など、

空き家・所有者不明土地を減らすための制度が次々と導入されています。

しかし、

全国には膨大な数の空き家や利用されない土地が存在しており、

すべてを国が引き取ることは現実的ではありません。

また、日本国憲法では財産権が保障されているため、

私有財産を一方的に没収することもできません。

そのため、

現在は

「所有者に責任を持って管理してもらう」

という方向で制度が整備されつつあります。

一方で、専門家の間では「一定期間放置された土地を所有権放棄とみなす制度」など、新たな仕組みについても議論が進められています。今後、制度がどのように変わっていくのか注目されるところです。


まとめ

昔は、

「家を相続できるなんて羨ましい」

と言われる時代でした。

しかし現在では、

家や土地が資産ではなく負担になってしまうケースも少なくありません。

相続は突然やってきます。

その時になって慌てないためにも、

  • 実家の価値はどのくらいあるのか
  • 売却できそうなのか
  • 維持費はいくらかかるのか
  • 相続人は誰になるのか

こうしたことを家族で話し合っておくことが大切です。

相続は「お金を受け継ぐ」だけではなく、「責任を受け継ぐ」ことでもあります。

いつか来るその日に備えて、今のうちから少しずつ知識を身につけておくことが、自分自身や家族を守ることにつながるのではないでしょうか。

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

8月3日

【八丁味噌の日】

八丁味噌(はっちょうみそ)の日は、愛知県岡崎市の「八丁味噌協同組合」が制定した記念日です。

2018年に一般社団法人・日本記念日協会によって認定・登録されました。

日付の由来

  • 語呂合わせ:「8」で八丁(はっちょう)の「八」、「3」で味噌(みそ)の「三」を連想できることから選ばれました。
  • 季節性:八丁味噌は夏場にも使いやすい味噌であるため、8月という時期がぴったり重なっています。

制定の目的

伝統的な製法で造られる八丁味噌の美味しさや奥深さを、より多くの人に知ってもらうために制定されました。
また、八丁味噌には良質なタンパク質、ミネラル、ビタミン、アミノ酸が豊富に含まれているため、エアコンによる冷えや「夏バテ防止の切り札」として夏こそ味噌汁を飲んでほしいという願いも込められています。

現地での取り組み

毎年8月3日を迎えると、愛知県岡崎市では様々なイベントが開催されます。

  • ウォーキングイベント:徳川家康の生誕地である「岡崎城」から、西へ「八丁(約870メートル)」離れた旧八丁村(現在の八帖町)にある味噌蔵までを実際に歩く体験が行われています。
  • 蔵元でのイベント:八丁味噌の老舗であるカクキューまるや八丁味噌などの工場見学や、限定のDIY体験・特別イベントが企画され、多くの人で賑わいます。