日本で愛され、ベルギーでは評価が低い?
「フランダースの犬」といえば、日本では子供から大人まで幅広く知られる感動作。
特に1975年に放送されたアニメ版は、高い作画クオリティと切ないストーリーで多くの視聴者を涙させました。
ところが、舞台となったベルギー・フランダース地方では、この作品はあまり歓迎されていないという事実があります。
では、なぜ原産国では評価が低いのでしょうか?
ベルギーで不評な理由
ベルギーでの評価が低い背景には、いくつかの要因があります。
- 悲劇的すぎる結末
ネロとパトラッシュが雪の中で命を落とすラストは、日本では「泣ける名シーン」として有名ですが、ベルギーでは暗すぎる物語と受け取られることが多いようです。
「子どもに見せる物語としては救いがない」という意見もあります。 - 社会批判的な描写
原作には、アントワープを「汚い、陰気な市場」と表現したり、ルーベンスの絵を見るのに料金を取る描写など、ベルギーの社会や文化を批判的に描いた部分があります。
こうした描写は、地元民には快く受け入れられなかった可能性があります。 - 国民性との不一致
ベルギーでは「明るく希望のある物語」が好まれる傾向があり、社会的弱者の悲劇を真正面から描く作風はあまり共感を得られなかったとも言われています。
日本での「逆輸入」現象
日本での人気を受け、ベルギー・ホーボーケン村にはネロとパトラッシュの銅像が建てられました。
しかし、現地でも日本人観光客にも賛否両論。
「原作を深く理解せずに作られたのでは?」という指摘もあります。
原作とアニメ版の違い
- コンクールに出品する絵
- 原作:ミシェルおじさんの肖像画
- アニメ:おじいさんとパトラッシュの絵
- パトラッシュの外見
- 原作:ブービエ・デ・フランダース(大型犬、毛長)
- アニメ:柴犬やセントバーナードを参考にした可愛らしいデザイン
- 結末の描き方
- 原作:救いのない最期
- アニメ:悲劇ではあるが、演出をやわらげ、感動に重点を置く
- 登場人物の性格
- 原作:ジェハンおじいさんは寝たきりで芸術理解も乏しい
- アニメ:活動的でネロの芸術への情熱を理解している
作者ウィーダの意図
作者のウィーダ(イギリス人)は、産業化と商業化の中で失われつつあった人間らしさ、そして貧困や格差の厳しさを描きたかったと考えられます。
しかし、そのメッセージはベルギーでは社会批判として受け取られ、日本では純粋な感動物語として浸透した――その差が評価の違いを生んだのでしょう。
まとめ
「フランダースの犬」は、日本では涙なしには見られない感動作として長年愛されてきました。
しかし、原産国ベルギーでは、悲劇性や批判的な描写が国民感情に合わず、不人気という意外な評価を受けています。
国や文化が違えば、同じ物語でもこれほど受け止め方が変わる――これは作品の面白さであり、国際的な価値観の違いを知る良いきっかけでもあります。
あなたは、どちらの視点でこの物語を見ますか?
それではまた別の記事でお会いしましょう
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