なぜ通り魔事件は起こるのか?背景にある“見えない不安”とは
日本は、世界的にも治安が良い国として知られています。しかし、時折ニュースで目にする「通り魔事件」は、その印象とは裏腹に私たちの不安を強く刺激します。「なぜ、こんな事件が起きるのか?」「防ぎようがないのでは?」と感じたことのある方も多いのではないでしょうか。
近年、通り魔事件が増えているような印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、警察庁の統計などを見ると、実際に通り魔事件の件数が大幅に増加しているという明確なデータは見られません。それでも、社会全体に広がる“将来への不安”や“閉塞感”が、こうした痛ましい事件の背景にある可能性は否定できません。
今回は、通り魔事件がなぜ起きるのか? その背景にある要因を、社会的・個人的・メディア的な観点から紐解いていきます。
通り魔事件に潜む「社会の影」
社会的な背景
- 孤独感や社会不安の増大
不安定な雇用、低賃金、長時間労働といった社会構造が、人々に漠然とした不安や孤独感を与えています。頼れる家族も友人もいない…そんな中で生まれる絶望感は、やがて社会への敵意に変わることもあります。 - 経済格差の拡大
一部の富裕層と、日々の生活に追われる多くの人々。この格差が「自分は取り残された存在だ」と感じさせ、不満を募らせる温床になっています。 - “居場所”の喪失
地域のつながりや家族の絆が薄れ、自分の存在を肯定してくれる場がない。そんな環境が心の安定を奪っていきます。
心の闇と個人的要因
- 精神的な疾患やトラウマ
統合失調症やパーソナリティ障害など、精神疾患が事件の背景にあるケースもあります。さらに、幼少期の虐待、いじめ、機能不全家庭といった体験が、社会に対する強い敵意を生む原因になることもあります。 - 自己肯定感の欠如
「自分には価値がない」「社会に必要とされていない」と感じる気持ちは、人を攻撃的にさせてしまうこともあります。周囲の無関心が、それをさらに悪化させるのです。
メディアとネットが生む「模倣」と「孤独」
- センセーショナルな報道
大きな事件が連日報道されることで、「模倣犯」が出現する危険性も指摘されています。また、視聴率や注目度を優先した報道が、加害者に“注目される快感”を与えてしまうことも。 - インターネット上の過激な情報
SNSや掲示板では、誹謗中傷、極端な思想、犯罪を肯定するような情報が溢れています。孤独な人がそれらに触れることで、感情を歪めてしまうリスクもあります。
景気の悪化と心の余裕の喪失
通り魔事件の背景には、社会全体の「景気の悪化」も関係していると考えられます。失業や収入の減少は、日々の生活の中にストレスや不安をもたらします。そうしたストレスが蓄積され、何かの拍子に“暴発”してしまうというケースも少なくありません。
経済的に追い詰められることで、社会とのつながりが絶たれ、孤立が深まり、そして自己価値の低下につながっていく…。それが他者への攻撃という、最も悲しい形で表面化することがあるのです。
通り魔事件は「社会の鏡」かもしれない
このように通り魔事件は、「個人の問題」ではなく「社会が抱える問題の一端」である可能性があります。つまり、私たち全体の心の状態や社会構造のゆがみが、事件として表出しているともいえるのです。
再発を防ぐために、社会ができること
- 地域社会や学校などでの**“孤立を防ぐ仕組み”**づくり
- 精神的ケアやカウンセリングを気軽に受けられる制度の拡充
- メディア報道の在り方の見直しと、模倣犯対策
- 子どもたちへの感情教育や自己肯定感を育てる教育
自分を守るために「知ること」から始めよう
「通り魔事件なんて、どう気をつければいいの?」
そんな声が聞こえてきそうです。たしかに、完全に防ぐことは難しいかもしれません。
しかし、「社会にこういう問題がある」「人は孤独や不安で極端な行動に走ることがある」と知るだけでも、自分や身の回りの人への接し方が変わってくるかもしれません。何より、自分の心を守る術を身につけることが、第一の自己防衛になります。
最後に
物価高、紛争、気候変動、そして不安定な社会情勢。私たちが抱える問題は、決して“誰かだけの問題”ではありません。通り魔事件は、そんな社会の中で「助けを求める声が届かなかった結果」とも言えます。
政府や自治体の支援策に期待すると同時に、私たち一人ひとりができること——誰かの孤独に気づくこと、自分の心のケアを怠らないこと——も、事件を未然に防ぐための大切な一歩かもしれません。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
🗓 5月28日:花火の日
1733年のこの日、隅田川で水神祭の一環として初めて花火が打ち上げられたことに由来🎆
当時は慰霊と悪疫退散を祈る目的だったんだとか。
現代では夏の風物詩だけど、実はとても意味深い背景があるんだね。
目には一瞬、心にはずっと残る――花火って、ちょっと人生にも似てる気がするよね☺️