はじめに
世界には誰もが知る「一流ブランド」が数多く存在します。CHANEL、Louis Vuitton、Gucci、Apple、Nike…。どれも世界中で愛されるブランドですが、ふと考えると日本発の“世界的ブランド”ってあまり思い浮かばない人も多いのではないでしょうか?
もちろん、ユニクロや任天堂、トヨタなど、グローバルで活躍している企業はあります。しかし、「ブランド」としての“ラグジュアリー性”や“アイコニックさ”という点で見ると、海外ブランドのような強烈な存在感は少ない印象です。今回は、その理由について日本と海外の文化や価値観の違いを切り口に掘り下げてみましょう。
1. ブランドに対する価値観の違い
欧米では「ブランド=自己表現の手段」として確立しています。ファッションにおいても、持ち物においても「私はこういうスタイル・価値観です」というメッセージを込めてブランドを選ぶ傾向があります。
一方、日本では「控えめであること」「周囲と調和すること」が重視される文化が根強いです。ブランドを前面に出すことが「自己主張が強すぎる」と捉えられることもあり、ブランド=“静かなる信頼”という形での消費が主流になりがちです。
このような文化的背景が、「見せるブランド作り」への熱意の違いに繋がっているのかもしれません。
2. ストーリー性とアイコン性の欠如
CHANELにはココ・シャネルというカリスマ的創業者がいて、彼女の生き方そのものがブランドの物語になっています。Appleで言えば、スティーブ・ジョブズの哲学とともに製品が語られています。
日本のブランドは「品質第一」であることが多く、製品は非常に優秀ですが、「物語性」や「創業者の思想」といった“ブランドを象徴するストーリー”が弱い傾向にあります。
ブランドは“単なる商品”ではなく、“物語”と“象徴”によって人の心を動かすもの。その点で、海外ブランドに比べて「記号性」が弱くなってしまうのかもしれません。
3. グローバル戦略への投資意識の差
多くの海外ブランドは、初めから「世界市場」を狙ってブランド戦略を構築しています。ロゴのデザイン、パッケージ、広告、全てがグローバルな視点で作られており、「どうすれば世界中の人の心をつかめるか?」を常に意識しています。
一方、日本の企業は「まずは国内市場で評価されてから海外へ」というスタンスが多く、内向きな戦略に陥りがちです。結果として、世界に向けた“ブランディング”が後回しになり、知名度を得るタイミングを逃してしまうことも。
4. 教育と文化に見る“空気を読む”社会
日本では「出る杭は打たれる」という言葉があるように、目立つことに対してどこか遠慮がちな価値観が根付いています。この影響は教育や企業文化にも表れ、「個性を伸ばす」よりも「集団と調和する」ことが優先される傾向に。
このような環境では、独自の世界観を強く打ち出すような“型破りなブランド”が育ちにくくなるという一面もあるでしょう。
5. 未来に向けたヒントとは?
とはいえ、日本には世界に誇る技術や伝統、美意識があります。和の精神や職人の技、緻密なデザインや繊細な感性は、世界中に愛されるポテンシャルを持っています。
例えば「MUJI(無印良品)」は、シンプルなデザインと日本的な“余白”の美学で、今や世界各国で親しまれています。伝統工芸やサブカルチャー、アニメやゲームなどもブランドとしての要素を十分に持っています。
必要なのは、それを「ブランド」として育て、世界に打ち出すビジョンと戦略かもしれません。
おわりに
「なぜ日本から世界的ブランドが育たないのか?」という問いには、文化、価値観、戦略など、さまざまな要素が絡んでいます。でも、それは逆に言えば“伸びしろがある”ということ。
世界に通じる日本発ブランドが、これからの時代にどんな形で生まれてくるのか。私たち自身の価値観の変化と共に、その芽が育っていくかもしれません。
「ブランド」って育つのに時間が掛かるのは仕方ないとは思います。しかし、考え方ひとつで大きく変わるモノもあると思います。日本を代表するメーカーでなくても「ブランド」は育つ環境が今の時代には揃っていると私は思います。誰でも世界に発信できるツールがあり、生成AIの進化も早い現代において素晴らしいストーリーをもった世界に愛される、そんな企業がこれからの日本から生まれる事は充分にあると私は考えています。皆さんはどう感じますか?
それではまた別の記事でお会いしましょう