なぜブームは終わった?高級食パンが衰退した本当の理由

■ 一世を風靡した「高級食パン」ブーム

数年前、「○○にしか出せない味」「耳までふわふわ」「1日○本限定」などと話題になった“高級食パン”。専門店が次々に登場し、連日行列を作るほどの人気を集めました。

しかし2023年以降、「あの店、気づいたら無くなってた」「最近食べてないな…」という声も増え、勢いが明らかに陰ってきたのです。
では、なぜかつての人気者が“衰退”の道を歩んでいるのでしょうか?今回は皆さんが一度は食べた事がある「高級食パン」について触れてみたいと思います。当時と重ねて読んで頂けたら、面白いかもしれませんよ。


■ 原材料高騰の直撃

まず大きな原因のひとつが、原材料の高騰です。

高級食パンは、小麦粉やバター、生クリーム、蜂蜜など、一般的な食パンに比べて多くの高価な素材を使用しています。
そのため、2022年頃からの物価上昇や円安の影響をモロに受け、仕入れコストが急上昇。

価格を上げれば売れなくなり、価格を据え置けば利益が出ない…。そんなジレンマに直面し、経営が圧迫された店舗が少なくありません。


■「贅沢品」への意識の変化

当初は「自分へのご褒美」や「ちょっとした贈答品」として人気だった高級食パン。しかし、消費者の財布のヒモが締まるにつれ、
「食パン1本で800〜1,000円は高い」
「それならスーパーのパンでいいや」
という現実的な選択が主流になりつつあります。

高級志向からコスパ重視へのシフトは、食パンに限らず外食業界全体に見られる傾向です。


■ 差別化できなかった“味”

高級食パンブームでは、「ふわふわ」「甘みがある」などの特徴が話題になりましたが、店舗ごとの明確な差別化は難しい部分でもありました。

見た目も味も似通った商品が乱立し、消費者の間では
「どれを選んでも大して変わらない」
という印象が広がり、飽きが生じたとも言われています。

つまり、リピートを促す決定打に欠けたのです。


■ ビジネスモデルの限界

専門店の多くは、テイクアウト専門で立地に頼らない“省スペース型”のビジネスモデルを採用していました。
しかし、このモデルは「話題性」が落ちると途端に集客が難しくなるのも事実。

加えて、大量出店→ブランドの希少価値の低下→競争激化という悪循環により、収益性の低下も避けられませんでした。


■ それでも「生き残る店」はある

とはいえ、すべての高級食パン店が苦戦しているわけではありません。
以下のような工夫を取り入れた店舗は、今もなお根強い人気を保っています。

  • 地元食材を使った地域密着型の製法
  • SNSや口コミを活かしたブランディング戦略
  • 食パン以外の商品(ジャム、焼き菓子など)との組み合わせ販売

つまり、「ただの高級パン屋」で終わらず、“+α”を提供できるかがカギとなっているのです。


■ まとめ:ブームは終わり、今は「実力勝負」の時代へ

高級食パンブームの衰退は、「高価格=高品質」だけでは通用しない時代の流れを象徴しているのかもしれません。
これからは、本当に価値あるものだけが残る時代へと突入しています。

高級食パンも例外ではなく、「どんな価値を届けられるか?」を見直す必要があるのです。
「贅沢」から「日常」へとシフトする今、パン屋も進化を求められています。

逆に個人経営のパン屋さんって新規オープンもしてますし、既存店も未だに残っています。店主さんの想いが詰まった個性豊かなパンの数々がお客さんをしっかり掴んでいる様に感じます。高級食パンの経営モデルとしては、敢えて高級路線でいこうとしたばかりに、限界が早く見えてしまった様に感じるのは私だけでしょうか?皆さんはどう感じられますか?

それではまた別の記事でお会いしましょう