はじめに:その「副業」、本当に大丈夫?
皆さんは「マルチ商法(連鎖販売取引)」、いわゆるネズミ講をご存じでしょうか。
「友人や知人を紹介すれば、あなたも儲かりますよ」という、あの仕組みです。
近年、物価高や将来不安の影響もあり、
「少しでも収入を増やしたい」「今のうちに稼ぐ力を身につけたい」
そう考える若い世代が増えています。
その心理を巧みに突いてくるのが、今回取り上げる**「後出しマルチ」**です。
最初は
・稼げる副業
・スキルアップ講座
・投資(FX・占い・AIなど)
といった“もっともらしい顔”をしています。
しかし、いざ始めてみると——
**「実はマルチ商法でした」**というケースが後を絶ちません。
今回は、この巧妙で悪質な「後出しマルチ」について、仕組み・危険性・対処法まで詳しく解説します。
「後出しマルチ」とはどんな商法?
後出しマルチとは、
最初はマルチ商法であることを隠して契約させ、
あとから「人を勧誘すれば儲かる仕組み」を明かす商法です。
実態はマルチ商法(連鎖販売取引)そのものですが、
**“マルチであることを後から出す”**点が最大の特徴です。
主な特徴と典型的な流れ
① 巧妙な勧誘(入り口)
勧誘の多くは、
・SNS
・マッチングアプリ
・オンラインコミュニティ
など、日常的に使っているツールから始まります。
「副業に興味ない?」
「これで月10万円増えた」
「海外旅行の資金をこれで作った」
こうした言葉で信頼感を与え、
数十万〜100万円前後の教材・システム・講座を契約させます。
この時点では、マルチ商法の話は一切出てきません。
② 契約後に明かされる「後出しの仕組み」
実際に始めてみると、
・思ったほど稼げない
・借金の返済が苦しい
・不安や焦りが強くなる
そんなタイミングで、こう言われます。
「友人を紹介すれば紹介料が入るよ」
「実は、紹介ビジネスの仕組みもあるんだ」
ここで初めて、マルチ商法の構造が明かされるのです。
なぜ「後出し」にするのか?
理由はシンプルで、
法律の規制を避けるためです。
最初からマルチ商法として勧誘すると、
特定商取引法による厳しいルール(書面交付・クーリングオフなど)が課されます。
それを避けるために、
「副業」「講座」「投資」という別の顔で近づいてくるのです。
最も危険なポイント
被害者が
「元を取るために友人を勧誘する」
→ 被害者が加害者になってしまう
ここが、後出しマルチの一番恐ろしい点です。
「マルチ商法」「ネズミ講」との違いは?
後出しマルチと一般的なマルチ商法の違い
| 項目 | 一般的なマルチ商法 | 後出しマルチ |
|---|---|---|
| 勧誘時の説明 | 最初からマルチであると説明 | マルチであることを隠す |
| 契約内容 | 商品+勧誘ビジネス | 高額契約→後から勧誘 |
| 法律対応 | 条件付きで合法 | 違法と判断されやすい |
マルチ商法とネズミ講の違い
| 特徴 | マルチ商法 | ネズミ講 |
|---|---|---|
| 法律上 | 条件付き合法 | 完全に違法 |
| 収益源 | 商品・サービス販売 | 金銭のみ |
| 破綻 | 理論上は可能 | 必ず破綻 |
後出しマルチは、
「合法スレスレ」ではなく、ほぼ詐欺的手口と見なされるケースが多いのが実情です。
なぜ若い世代の被害が多いのか?
① 被害の中心は20代
国民生活センターの相談では、
マルチ商法関連のトラブルは20代が最多。
成人年齢引き下げ以降、
18〜19歳の相談も増えています。
② 若者が狙われる理由
・将来への不安
・「タイパよく稼ぎたい」意識
・SNS・マッチングアプリの利用率が高い
・貯金が少なく借金させやすい
これらが重なり、ターゲットにされやすいのです。
③ 真面目な人ほど危ない
「契約した以上、責任を取らなきゃ」
「紹介すれば元が取れると言われた」
こうした真面目さや責任感が、
抜け出せなくなる原因になることも少なくありません。
もし被害に遭ってしまったら
・「返金不可」と書いてあっても
・契約書にサインしていても
違法性が認められれば、返金できる可能性は十分あります。
一人で悩まず、
消費者ホットライン 「188」 に早めに相談してください。
おわりに:甘い話には必ず裏がある
どの時代にも、詐欺まがいの商法は存在します。
そして残念ながら、手口は年々巧妙化しています。
「自分は大丈夫」と思っていても、
相手は言葉巧みに、あなたの不安や願望に入り込んできます。
だからこそ、
事前に知っておくことが最大の防御です。
この記事が、
「ちょっと怪しいかも?」と立ち止まるきっかけになれば幸いです。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
2月13日
【苗字制定記念日(名字制定記念日)】
由来
1875年(明治8年)2月13日に、明治政府が「平民苗字必称義務令(へいみんみょうじひっしょうぎむれい)」という太政官布告を公布したことに由来します。これにより、すべての国民が苗字(名字・姓)を名乗ることが義務付けられました。
背景
- 平民苗字許可令(1870年9月19日): この5年前に平民も苗字を持ってよいという許可が出されていましたが、当時は「税金を課せられるのではないか」という警戒心などから、なかなか普及しませんでした。
- 義務化の目的: 戸籍の整理を迅速に進めるため、政府は改めて「必ず苗字を名乗るように」と義務化を決定しました。
なお、これに関連して、許可令が出された9月19日は「苗字の日」とされています。