■ はじめに:今「墓じまい」を考える人が増えている理由
近年、「墓じまい」という言葉を耳にする機会が確実に増えています。
少子高齢化、地方の過疎化、家族の形の変化…。
こうした社会の変化は、お墓のあり方にも大きな影響を与えています。
お墓は作ったら“終わり”ではありません。
維持管理費がかかり、掃除や法事の手配も必要で、誰かが継承していく必要があります。
しかし、
- 子どもがいない
- 子どもが遠方で暮らしている
- 管理を引き継ぐ人がいない
- 将来負担をかけたくない
こうした理由から、「今のうちに墓じまいしておこう」と考える家庭が増えています。
今回は、そんな身近な課題でありながら話しづらい“お墓の問題”について、
墓じまいの費用・手続き・心理的ハードルまで、わかりやすく整理して解説します。
■ 増え続ける墓じまい──費用が高額になる理由は?
墓じまいの費用は、一般的に「30万円〜300万円」と非常に幅があります。
この金額差が生まれるのは、複数の費用が重なるためです。
● ① 墓石の解体・撤去費用
墓じまい費用の中で最も大きな割合です。
墓石は重機と専門技術が必要で、
- 墓地が山の中で重機が入れない
- 坂道や階段がある
などの状況により料金が跳ね上がります。
● ② 寺院への「離檀料(りだんりょう)」
寺院墓地の場合、檀家を離れる際にお布施として支払う慣習があります。
相場は 3万〜20万円 ほどですが、明確な基準がなく、金額トラブルも発生しやすい項目です。
● ③ 新しい納骨先の費用
墓じまいは「お墓をなくすこと」ではなく「新しい供養先へ移すこと」。
永代供養・納骨堂・樹木葬・散骨など、方法によって費用差は大きく、
合葬墓で5万円〜、樹木葬で50万〜70万円、納骨堂なら30万〜150万円と幅があります。
● ④ 閉眼供養(魂抜き)のお布施
墓前で僧侶に読経してもらうためのお布施で、相場は 3万〜5万円。
● ⑤ 行政手続きの費用と手間
改葬許可証など書類の発行自体は数百円程度ですが、
自治体・寺院・新しい受け入れ先の三者間を行き来するため、時間と労力がかかります。
■ 墓じまいの相場はどれくらい?費用の目安まとめ
▼ 現在のお墓を撤去するまでの費用
| 費用項目 | 相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 墓石の解体・撤去 | 10万~15万円(1㎡あたり) | 広さ・立地で大きく変動 |
| 閉眼供養 | 3万~5万円 | 僧侶へのお布施 |
| 離檀料 | 3万~20万円 | 寺院との関係による |
| 行政手続き | 数百円~数千円 | 書類発行費用 |
▼ 新しい供養先の費用
| 供養方法 | 相場 | 特徴 |
|---|---|---|
| 永代供養墓・合葬墓 | 5万~30万円 | 費用が抑えやすく人気 |
| 樹木葬 | 50万~70万円 | 自然志向の人に人気 |
| 納骨堂 | 30万~150万円 | 都市部で需要増 |
| 散骨 | 2万~20万円 | 海洋散骨などが一般的 |
| 手元供養 | 1,000円~ | 遺骨を自宅で供養 |
100万円を超えるケースは、
- 樹木葬や高額な納骨堂を選択
- 離檀料が高額
- 墓石が大きい
このような場合に起こりやすいです。
■ 墓じまいを「したいのにできない家庭」が多い理由
実は、墓じまいは「考える人>実行する人」という構図が顕著です。
理由は大きく5つあります。
● ① 費用が思った以上に高い
先述の通り、まとまった費用が必要なので踏み切れない家庭は多いです。
● ② 親族の反対・意見の不一致
最も大きな問題点です。
- 「先祖に失礼だ」
- 「自分の代で墓をなくすのは嫌だ」
- 「費用を誰が出す?」
など感情・金銭・慣習すべてが絡むため、話し合いが難航しがちです。
● ③ 心理的な抵抗
「お墓をなくす」行為に罪悪感を覚える人も多く、気持ちが整理できず保留になるケースが多いです。
● ④ 手続きが複雑で時間がかかる
役所、寺院、石材店、新しい供養先。
連絡先が4カ所以上になることもあり、仕事をしながら調整するのは負担が大きいのが現実です。
● ⑤ 寺院との関係性の問題
離檀トラブルや「お寺に言いづらい」という心理的ハードルもあります。
■ まとめ:あなたなら、どうする?
墓じまいは、お金だけの問題ではなく、
家族関係・価値観・人生観が深く関わるテーマ です。
短期的には高額な出費でも、
「将来、子どもや親族に負担を残さない」という考え方もありますし、
「先祖代々のお墓を守りたい」という意見ももちろん尊重されるべきです。
「正解」は家庭ごとに違うので、
“自分たちの家族はどうしたいか?”を早めに話し合っておくことが大切です。
もし今あなたがその立場になったら、どう判断しますか?
遠い未来のようでいて、実はいつ向き合うことになるか分からない問題です。
少しずつでも考えておくと、後で慌てずに済むかもしれません。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
12月9日
【障害者の日】
日本では、毎年12月9日が「障害者の日」と定められていました(現在は「障害者週間」の一部)。
- 由来: 1975年(昭和50年)12月9日に、国連総会で「障害者の権利宣言」が採択されたことを記念して制定されました。
- 変遷: 1981年(昭和56年)の国際障害者年をきっかけに日本の厚生省(当時)がこの日を「障害者の日」とすることを決定し、1993年(平成5年)の障害者基本法改正により法的に位置づけられました。
- 現在: 現在は、12月3日から9日までの1週間が**「障害者週間」**として設定されています。この期間中、国や地方公共団体、民間団体が協力して、障害者福祉に関する様々な啓発事業を実施しています。