地球温暖化で日本も危険地帯に?知られざる「チクングニア熱」の脅威
「蚊に刺されて痒いだけでしょ?」――多くの人がそう思うかもしれません。
しかし、実は“蚊”は世界で最も多くの命を奪う生き物のひとつです。
痒みの背後には、命に関わる感染症が潜んでいます。
日本でも夏になると蚊が増えますが、近年では地球温暖化の影響により、かつて熱帯地域でしか見られなかった感染症が日本にも広がる可能性が指摘されています。
今回は、そんな“蚊が媒介する感染症”のひとつ「チクングニア熱」について詳しく見ていきましょう。
🦟蚊が媒介する主な感染症とは?
蚊を媒介として感染する病気には次のようなものがあります。
- デング熱:急な発熱、発疹、激しい頭痛、関節痛など。重症化すると命に関わることも。主にヒトスジシマカが媒介。
- マラリア:高熱や悪寒を伴い、放置すると重症化して死亡する危険も。ハマダラカ属の蚊が媒介。
- 日本脳炎:高熱や頭痛、意識障害を起こすウイルス感染症。コガタアカイエカが媒介。
- ジカウイルス感染症:軽度な発熱や発疹が中心だが、妊婦が感染すると胎児に影響する場合がある。
- チクングニア熱:発熱と強烈な関節痛が特徴。ヒトスジシマカやネッタイシマカが媒介。
いずれも「熱帯・亜熱帯地域」の病気として知られていますが、日本国内でも発生リスクは年々高まっています。
🇯🇵実際に日本でも起きた「デング熱の国内感染」
日本では2014年、東京都の代々木公園周辺で約70年ぶりとなるデング熱の国内感染が確認されました。
その後、162名が感染。感染源は“海外から帰国した感染者を媒介蚊が刺し、別の人に広がった”というものでした。
この出来事は、「海外の病気」と思われていた感染症が日本の蚊を通じて広がりうることを示しました。
そして今、同じリスクが「チクングニア熱」にも迫っています。
🌍チクングニア熱とは?
チクングニア熱は、チクングニアウイルスによって引き起こされる感染症です。
ウイルスを持った蚊(主にヒトスジシマカ、ネッタイシマカ)に刺されることで感染します。
病名の由来は、アフリカの現地語で「前かがみになって歩く」という意味。
これは、感染者が激しい関節痛により身体を丸めるように歩く姿を表しています。
🔥主な症状
- 突然の高熱
- 激しい関節痛(最も特徴的)
- 頭痛、筋肉痛
- 発疹
- 倦怠感、吐き気、食欲不振、腹痛など
多くの症状はデング熱に似ていますが、チクングニア熱は特に関節痛が強いのが特徴です。
症状は数日から1週間ほどで軽快しますが、関節痛が数ヶ月~数年続くケースもあります。
🧬感染経路と自然宿主
感染は蚊を介して起こり、人から人へ直接うつることは基本的にありません。
自然宿主はサルとされており、蚊がそれらを吸血してウイルスを保有するようになります。
🇯🇵日本でも感染の可能性はあるのか?
現時点で日本国内でのチクングニア熱の感染事例は確認されていません。
しかし、「輸入症例」(海外で感染して帰国後に発症するケース)は毎年報告されています。
問題は、日本にもこのウイルスを媒介できるヒトスジシマカが広く生息していること。
つまり、「感染者が帰国 → 日本の蚊に刺される → その蚊が別の人を刺す」という流れで、
国内感染が起こる可能性は十分にあるのです。
これは2014年のデング熱と同じシナリオです。
🌡地球温暖化と感染症の関係
地球温暖化によって平均気温が上昇すると、蚊の生息域が北上・拡大します。
本来は熱帯地域にしかいなかったネッタイシマカが、今や日本の南部地域でも確認されるようになっています。
つまり、温暖化が進むほど日本は「熱帯型感染症」が発生しやすい環境に近づいているのです。
このまま気温上昇が続けば、チクングニア熱やジカ熱、デング熱などが“国内常在化”する可能性も否定できません。
🧍♀️感染を防ぐためにできること
私たちが今すぐできる対策は、シンプルですが非常に効果的です。
① 蚊に刺されない工夫をする
- 長そで・長ズボンを着る
- 虫よけスプレーを使用
- 就寝時は蚊帳や網戸を利用
② 蚊の発生源をなくす
- 植木鉢の受け皿、古タイヤ、空き缶などに溜まった水を捨てる
- 家の周囲の水たまりをチェック
③ 海外渡航時の注意
- 渡航前に感染症情報を確認
- 帰国後も数日間は蚊に刺されないように注意
🧭まとめ:たかが蚊、されど蚊
「蚊に刺されただけ」と軽視されがちですが、
その一刺しが命に関わる感染症を運んでくることもあります。
地球温暖化が進む今、日本でも“熱帯の病気”が他人事ではなくなっています。
夏の虫刺され対策――それは、実は未来の感染症予防でもあるのです。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
12月3日
【プレイステーションの日】
1994年12月3日に初代家庭用ゲーム機「プレイステーション」が日本国内で発売されたことを記念して、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント)が制定した記念日です。
この日には、プレイステーションの歴史を振り返ったり、SNSでのキャンペーンが行われたりするなど、様々な記念企画が実施されることがあります。