護身用でも注意!催涙スプレーの所持が罪になるケースと正しい扱い方

催涙スプレーは護身具?それとも凶器?

近年、街頭や住宅街での犯罪ニュースを耳にする機会が増えています。特に女性や高齢者からは「護身用に何か持ち歩きたい」という声も多く、その代表的なアイテムが催涙スプレーです。

しかし実は、この催涙スプレーを正当な理由なく携帯していると、軽犯罪法違反に問われる可能性があることをご存じでしょうか。護身のために持っていたはずが、逆に法律違反となるケースもあるのです。

本記事では、催涙スプレーの基本的な仕組みから、携帯が罪に問われる境界線、そして犯罪に悪用される現状までを詳しく解説します。


催涙スプレーとは?

催涙スプレーは、相手の目や鼻、喉などの粘膜を強力に刺激し、一時的に行動を封じるための護身用アイテムです。
主な目的は、相手を制圧することではなく、逃げる・助けを呼ぶための時間を作ることにあります。

  • 主成分は唐辛子由来のOC(オレオレシン・カプシカム)ガスや、化学物質を主体としたCNガス
  • 噴射されると強い痛み・咳・涙・呼吸困難を引き起こし、相手は視界を失い動けなくなります。
  • 効果は一時的で、通常は20分~1時間程度とされています。

もともとは警察や軍の制圧用として開発されましたが、護身用として市販されるようになった歴史があります。


主な成分と特徴

成分特徴長所短所
OC(オレオレシン・カプシカム)ガス唐辛子の辛味成分カプサイシンを使用自然由来で後遺症リスクが少ない強風下では飛散しにくいが、風向きで使用者にかかる可能性あり
CNガス化学合成物質気化しやすく広範囲に効果を発揮炎症・呼吸器障害を起こす可能性や、薬物中毒者に効きにくい

スプレーには**ストリーム型(液体を直線状に噴射)・フォグ型(霧状)・コーン型(中間型)**などがあり、屋外や室内など状況に合わせて選ぶことが重要です。


法律上の注意点:携帯は違法になる?

ここが最も重要なポイントです。
日本では催涙スプレーを所持するだけでは違法ではありません。

しかし、外出時に携帯すると軽犯罪法違反に問われる可能性があるのです。

軽犯罪法第1条第2号

正当な理由がなくて、刃物、鉄棒その他人の生命を害し、または人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者

催涙スプレーも「人の身体に重大な害を加える器具」に該当するため、正当な理由なく持ち歩くと処罰の対象になります。

違法となる例

  • 「夜道が怖いから」と日常的にバッグに入れて持ち歩く
  • カバンやポケットに入れて外出(=隠して携帯しているとみなされる)

違法とならない例

  • 自宅・会社・店舗に備え付けておく
  • 山林での野生動物対策など、客観的に見て正当な理由があると判断される場合

⚠️ 重要ポイント
護身目的だけでは正当な理由と認められにくく、逮捕例もあります。
判例では、携帯の目的・場所・状況によって判断が分かれるため、「大丈夫だろう」という自己判断は非常に危険です。


なぜ犯罪に悪用されるのか?

催涙スプレーは本来護身用ですが、その効果を逆手に取って犯罪に利用されるケースが増えています。

  1. 相手を一時的に無力化できる
    強烈な刺激で目を開けられず、呼吸困難を引き起こすため、犯人は抵抗を受けずに金品を奪いやすい。
  2. 入手が容易
    護身用として市販されているため、特別な許可や資格が不要で、拳銃などに比べて警戒されにくい。
  3. 証拠が残りにくい(と誤解されている)
    効果が一時的で回復するため、「致命的な証拠が残らない」と思い込む犯人もいる。
    ただし、近年はUV塗料入りのスプレーが販売され、犯人特定に役立つ場合もあります。
  4. 護身具というイメージを悪用
    相手が警戒心を抱きにくい道具であるため、不意打ちに利用されるケースがあります。

使用時の注意点

  • 逃げるために使うもの:相手を倒すことが目的ではない
  • 風向きに注意:逆風だと自分にかかる危険がある
  • 誤噴射への備え:万が一自分にかかった場合は冷水で洗い流す
  • 携帯前に法律を確認:必要に応じて地元警察に相談するのも安心

まとめ

  • 催涙スプレーは自宅保管は合法だが、携帯には制限がある
  • 護身目的だけでは「正当な理由」とされにくい
  • 安易な持ち歩きは、自衛どころか加害者とみなされるリスクがある
  • 犯罪への悪用も増えており、取り扱いには慎重さが求められる

最後に

日本は世界的に見れば比較的安全な国ですが、通り魔事件など予測不能な犯罪も増えています。
護身具を持つこと自体は安心材料になるかもしれませんが、法的リスクを知らずに携帯すると、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。

「いざという時の備え」は大切ですが、同時に法律を守ることが自分と周囲の安全を守る第一歩です。
護身用アイテムを検討する際は、必ず法律・使用目的・保管方法を確認し、正しく備えましょう。

それではまた別の記事でお会いしましょう

🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

10月26日

【柿の日】

「柿の日」は、毎年10月26日です。この記念日は、俳人の正岡子規にちなんで制定されました。 

制定の由来は以下の通りです。 

  • 1895年(明治28年)の10月26日、正岡子規が奈良を旅した際に「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」という有名な句を詠んだ。
  • この句にちなみ、柿の販売促進と消費拡大を目的に、全国果樹研究連合会カキ部会が2005年(平成17年)にこの日を記念日に定めた。
  • また、この時期は多くの種類の柿が旬を迎える時期であることも理由の一つです。 

柿の日にちなんで、柿の産地である奈良県などでは、柿の無料配布といったPRイベントが開催されることがあります。