報道でよく聞く「M&A」とは?──“企業買収”から呼び方が変わった理由を解説
ニュースや新聞で頻繁に目にする「M&A」。
経済関連の言葉だと分かってはいても、「結局何のこと?」と思っている方も少なくないでしょう。
今回は、M&Aの基本から、かつて使われていた「企業買収」という表現がなぜ変わったのかまで、初心者にも分かりやすく解説していきます。
🔎 M&Aとは何か?
M&A(エムアンドエー)とは “Mergers and Acquisitions” の略で、日本語では「合併と買収」を意味します。
- 合併(Merger):複数の企業が一つにまとまること
- 買収(Acquisition):ある企業が別の企業を買い取ること
この2つをまとめて指す言葉がM&Aです。
近年では、単なる買収ではなく、企業同士の成長や事業承継のための手段 として幅広く用いられています。
⚙️ M&Aの主な手法
M&Aにはいくつかの方法があります。代表的なものを整理してみましょう。
- 株式譲渡
売り手企業の株主が保有する株式を買い手企業に売却し、経営権を譲渡する方法。
👉 中小企業のM&Aで最も多く用いられる手法です。 - 事業譲渡
会社全体ではなく、特定の事業部門や店舗などを切り出して売買します。 - 合併
複数の企業が一つに統合されます。さらに2種類に分かれます。- 吸収合併:存続会社が消滅会社の権利・義務を引き継ぐ
- 新設合併:複数の会社が解散し、新たに設立した会社に統合される
🎯 M&Aが行われる目的
M&Aは、単なる買収ではなく、企業の成長戦略や経営課題の解決手段 として活用されます。
- 市場シェアを拡大して競争力を強化する
- 新しい事業や市場へ参入する
- 統合によるコスト削減・業務効率化を実現する
- 独自の技術や優秀な人材を獲得する
- 中小企業が後継者不足を解決し、事業を存続させる
近年では特に、事業承継を目的としたM&A が増えており、地域経済や雇用維持のためにも重要な役割を果たしています。
✅ M&Aのメリットとデメリット
買い手側のメリット
- 短期間で事業規模を拡大できる
- 新しい技術・ノウハウを取り込める
- 市場シェアを強化し、競争力を高められる
買い手側のデメリット
- 想定外の簿外債務やリスクを引き継ぐ可能性がある
- 多額の資金が必要になる
- 企業文化の違いから統合がスムーズに進まないケースもある
売り手側のメリット
- 創業者や株主は株式売却で利益を得られる
- 従業員の雇用を維持しやすい
- 経営基盤が強化され、事業の成長が期待できる
売り手側のデメリット
- 希望条件で売却できない場合がある
- 取引先との関係に影響が出ることがある
- 従業員の不安感がモチベーション低下につながることも
💡 なぜ「企業買収」ではなく「M&A」と呼ばれるようになったのか?
かつては「企業買収」という言葉が一般的でしたが、次のような理由でより中立的・前向きなイメージのある「M&A」 が広まりました。
- ネガティブイメージを和らげるため
「企業買収」には“乗っ取り”“身売り”といった強引で敵対的な印象がありました。
M&Aという言葉は、より円満で対等なパートナーシップを想起させます。 - 手法の多様化・複雑化
買収だけでなく、合併や事業譲渡など多様な形態が登場し、「企業買収」という言葉では網羅できなくなりました。 - 目的の変化
成長戦略や事業承継など、必ずしも“弱い企業が買われる”わけではない取引が増えました。 - 専門家・メディアでの定着
コンサルタントや会計士、報道機関などが広くM&Aという言葉を使い始めたことで一般にも浸透しました。
🌱 M&Aをどう捉えるべきか
「企業買収」という言葉からは、ややダークで攻撃的な印象を受ける人もいるでしょう。
しかし、実際のM&Aは企業の成長や存続を支える手段 として重要な役割を果たしています。
もちろん専門用語が増えると難しく感じるかもしれませんが、M&Aは現代のビジネス環境において避けて通れないキーワードです。
あなたはM&Aをどのように感じますか?
ネガティブなイメージを払拭しつつ、その本質を理解することで、ニュースもより深く読み解けるはずです。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
10月22日
【平安遷都の日】
794年(延暦13年)のこの日、桓武天皇が長岡京から平安京(現在の京都)へ都を移しました。これを記念して、10月22日は「平安遷都の日」とされています。
京都三大祭りの一つである時代祭は、この平安遷都1100年を記念して1895年(明治28年)に始まったもので、毎年10月22日に行われています。