パーパス経営とは?雇われる側から見る“存在意義”の力と落とし穴

はじめに

今回は少し専門的なテーマですが、現代の働き方や企業のあり方を考えるうえで欠かせない話題です。
その名も 「パーパス経営」

「名前は聞いたことがあるけど詳しくは知らない」という方も多いのではないでしょうか?
逆に、「最近よく耳にするよ」という方は、きっと社会の変化や企業経営に関心の高い方だと思います。

この記事では、パーパス経営の基本から、雇われる側(従業員)にとってのメリット・デメリットまで、わかりやすく整理してお伝えします。
働く私たち一人ひとりにとっても無関係ではないテーマなので、ぜひ最後まで読んでみてください。


パーパス経営とは?

パーパス経営とは、企業が「なぜ存在するのか(存在意義=パーパス)」を明確にし、その実現を経営の中心に据える手法です。

これまでの経営は「利益を上げる」ことが最優先でしたが、パーパス経営では、

「自社はどのように社会に貢献し、人々に価値を届けるのか」
という根本的な問いが出発点になります。

つまり、パーパス経営は利益だけを追わず、社会的価値と経済的価値の両立を目指す経営スタイルなのです。


なぜ注目されるのか

パーパス経営が注目されている背景には、現代社会の急速な変化があります。
特に次のような要因が大きいといわれています。

  • VUCA時代の到来
    世界は「変動性(Volatility)」「不確実性(Uncertainty)」「複雑性(Complexity)」「曖昧性(Ambiguity)」という予測困難な時代に入りました。短期的な利益追求だけでは変化に対応できません。
  • 社会課題や環境問題への意識の高まり
    SDGs(持続可能な開発目標)の広がりもあり、企業は利益だけでなく、環境保護や多様性の尊重など、社会的な責任を果たすことが求められています。
  • 従業員の価値観の変化
    給与や安定性だけでなく、「仕事を通じて社会にどのように貢献できるか」を重視する人が増えています。

パーパス経営のメリット(企業視点)

パーパス経営を取り入れることで、企業は次のようなメリットを得られます。

  • 企業価値の向上
    社会的意義を掲げる企業は、消費者や投資家から信頼されやすくなり、ブランド価値が高まります。
  • 従業員のエンゲージメント向上
    「自分の仕事が社会に役立っている」という実感が、モチベーションや働きがいを高めます。
  • イノベーションが生まれやすい
    パーパスという軸があることで、新しいアイデアが判断されやすくなり、挑戦が促進されます。
  • 迅速な意思決定
    共通の価値観があるため、経営や現場での意思決定がスムーズになります。
  • 優秀な人材の確保・定着
    企業の理念に共感する人材が集まり、離職率の低下にもつながります。

パーパスと企業理念の違い

しばしば混同される「パーパス」と「ミッション・ビジョン」ですが、次のように整理できます。

  • パーパス
    社会において何のために存在するのかという“存在意義”を示すもの。対外的な視点が強い。
  • 企業理念(ミッション・ビジョン)
    企業としてどこを目指すのか、どのような価値を提供するかを示すもの。パーパスを実現するための具体的な道筋です。

雇われる側から見たパーパス経営

では、私たち従業員や求職者にとって、パーパス経営はどのように影響するのでしょうか。
良い面と注意すべき点の両方があります。


メリット

  • 仕事への意味づけとモチベーションの向上
    自分の仕事が社会の役に立っていると実感でき、日々の業務がやりがいのあるものになります。
  • 主体性・エンゲージメントの向上
    共通のパーパスを持つことで、自分の判断で動ける場面が増え、組織への愛着も強まります。
  • 組織の一体感と連帯感
    部署や役職を超えて共通の目標に向かうことで、連携がスムーズになり、帰属意識が高まります。
  • 意思決定のスピードアップ
    行動の基準が明確になるため、自律的に判断しやすくなります。
  • 採用ブランドの向上
    社会貢献や価値観を重視する若い世代にとって魅力的な企業となり、優秀な人材が集まりやすくなります。

デメリット

  • 「パーパスウォッシュ」による不信感
    理念だけ掲げて行動が伴わない場合、従業員は会社への信頼を失います。
  • 個人の価値観とのミスマッチ
    企業の掲げる目的が自分の仕事観と合わないと、共感できずモチベーションが下がります。
  • 浸透の難しさ
    経営層だけが掲げても現場に浸透しなければ、単なるスローガンで終わってしまいます。
  • パーパスに縛られる窮屈さ
    あまりに理念に縛られると、自由な発想や柔軟な働き方がしづらくなることがあります。
  • 本業とのバランスの難しさ
    社会貢献を重視しすぎて収益性が損なわれると、企業の安定性が揺らぎ、不安を感じる人も出てきます。

成功の鍵は「実践と浸透」

パーパス経営が本当に意味を持つかどうかは、次の2点にかかっています。

  1. パーパスが組織全体に浸透しているか
    ただ掲げるだけではなく、経営判断や現場の行動に結びついていること。
  2. 実際の企業活動と整合しているか
    理念と現実の乖離がないこと。行動が伴って初めて信頼されます。

単なるお題目ではなく、社員一人ひとりの仕事に生きているとき、初めてパーパス経営は力を発揮します。


おわりに:働く私たちへの問い

人口減少が進む日本では、企業は単なる利益追求ではなく、社会や働く人たちにとって持続可能な価値を生み出すことがますます重要になります。
同時に、働く側も「会社に雇われている」だけでなく、自分がその企業を通じてどんな価値を社会に届けたいのかを考える時代に入ってきています。

あなたが働く会社は、どんな存在意義を掲げていますか?
そして、そのパーパスに共感できていますか?

それではまた別の記事でお会いしましょう


🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

🌼10月20日

【頭髪の日】

頭髪の日とは、毛髪に関する知識の普及と頭髪・頭皮の健康への関心を高めることを目的とした記念日で、主に10月20日(日本毛髪科学協会制定)と、毎月18日(全国理容生活衛生同業組合連合会制定)が該当します。語呂合わせで「とう(10)はつ(8・20)」と読めることから名付けられ、関連企業や団体が啓発キャンペーンや無料相談会などを実施します。

主な「頭髪の日」

  • 10月20日:日本毛髪科学協会が制定した記念日です。この日を中心に、毛髪衛生月間として毛髪・頭皮に関する知識の普及活動が行われます。
  • 毎月18日:全国理容生活衛生同業組合連合会が制定しました。こちらも「とう(10)はつ(8)」の語呂合わせに由来し、髪の健康を気遣うことを目的としています。

記念日の目的

  • 毛髪や頭皮に関する正しい知識を広めること。
  • 人々に髪の健康を気にかけるきっかけを作ること。
  • 頭髪に関する問題を解決するための情報やサービスを提供する機会とすること。