はじめに
最近、新築住宅の屋根にソーラーパネルが載っている光景を目にすることが増えてきました。
再生可能エネルギーの普及が進んでいる証拠ですが、それでもまだ普及率は高いとはいえません。
環境省の2021年度調査によると、家庭用ソーラーパネルの設置率は全国平均で6.3%。
地域によっては、東海・四国・九州などで10%を超える地域もありますが、都市部では依然として低めです。
近年、家庭用ソーラー発電は「売電で稼ぐ」から「自分で発電した電気を使う」時代へと変わりつつあります。
この記事では、家庭用ソーラー発電の現状と将来性、そして売電から自家消費・蓄電へのシフトの背景について解説します。
家庭用ソーラー発電の現状
1. 売電から自家消費へ
かつては固定価格買取制度(FIT)により、高い価格で電力会社に売電できるのが太陽光発電の魅力でした。
しかし近年は売電価格が下落し、逆に電力会社から購入する電気代が上昇しています。
そのため、発電した電気を売らずに自宅で使う「自家消費」型へとシフトが進んでいます。
2. 初期費用の低下
太陽光パネルの大量生産と技術の進歩により、設置費用は年々下がっています。
これにより導入のハードルは低くなりましたが、同時に売電価格も下がり「売って儲ける」時代は終わりつつあります。
3. 蓄電池とのセット導入が主流に
発電した電気を昼間に使いきれない場合、従来は余剰分を売電していました。
しかし、近年は蓄電池を導入し、余剰電力をためて夜間に使用する家庭が増えています。
これにより、電力会社からの購入電力を減らすことができ、電気代の節約効果がアップします。
また、停電や災害時の非常用電源としても心強い存在です。
4. 中古市場の拡大
ソーラーパネルや蓄電池の中古市場も拡大中です。
中古設備を活用すれば初期費用をさらに抑えられるため、導入を後押しする要因になっています。
家庭用ソーラー発電の将来性
1. 技術革新による効率向上
- 高効率化: 発電効率は年々改善され、より少ない面積で多くの電力を生み出せるようになっています。
- ペロブスカイト太陽電池: 軽量かつ柔軟で、窓や壁にも設置可能な次世代パネルとして期待されています。ただし耐久性と長寿命化が課題です。
2. 自家消費・災害対策の強化
- 蓄電池の普及: 太陽光発電との組み合わせにより、停電時でも家庭の電力を確保できます。
- V2H(Vehicle to Home): 電気自動車を“走る蓄電池”として家庭の電力に活用する仕組みが普及しつつあります。
3. スマートホームとの連携
AIやIoTを活用し、発電・蓄電・消費を最適に制御する「スマートハウス」が実用化し始めています。
これにより、電気代のさらなる節約や効率的なエネルギー利用が可能になります。
4. ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の推進
国はZEHの普及を支援しており、補助金や優遇制度が整備されています。
これにより、新築住宅ではソーラー発電の導入がさらに加速すると見られます。
5. リユース・リサイクルの課題
- 2040年問題: 2010年代に設置されたパネルが寿命を迎え、大量廃棄が予想されています。
- リサイクル技術の発展: 廃棄パネルを資源として再利用する仕組みの確立が急務です。
売電から「ためて使う」へシフトする理由
経済的要因
- FIT価格の下落: 初期の高価格から大幅に低下。売電のうまみは減少しました。
- 電気代の高騰: 発電した電力を家庭で使うほうが経済的メリットが大きくなっています。
- 卒FIT世帯の増加: FIT期間を終えた家庭では、蓄電して自家消費するほうが得になるケースが増えています。
自家消費・蓄電のメリット
- 電気代の削減
- 災害時の非常用電源としての活用
- ピークシフト(電気料金の安い時間にためて、高い時間に使う)によるコスト削減
- CO₂排出削減による環境貢献
まとめ
家庭用ソーラー発電は、「売る時代」から「ためて使う時代」へシフトしています。
初期費用の低下、技術革新、蓄電池や電気自動車との連携、国の支援制度により、今後も導入は進むでしょう。
一方で、パネルの大量廃棄に備えたリサイクル体制の整備が急務です。
これから導入を検討する家庭は、経済性だけでなく持続可能性の観点からも情報を集め、最適な選択をすることが求められます。
物価高騰のいまこそ、電気代を抑えられる自家消費型ソーラーのメリットが注目されています。
あなたは「売る」よりも「ためて使う」時代の波に乗りますか?
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
10月16日
【世界食料デー】
- 世界食料デー(World Food Day)
- 1945年10月16日に国連食糧農業機関(FAO)が設立されたことにちなみ、1981年に国連が制定しました。
- 世界から飢餓や貧困をなくし、すべての人が食料を得られるよう、啓発と行動を促す日です。