ヒグマの駆除問題とは?私たちはどう向き合うべきか
近年、全国でクマによる人身被害が急増しています。特に北海道のヒグマは体格も大きく、人への脅威となる存在です。ニュースでも「またクマによる被害が…」と報じられることが増えていますが、なぜ被害は減らず、むしろ増えているのでしょうか?
今回はヒグマの駆除問題を軸に、被害の実態と今後の課題について整理してみます。
ヒグマ被害は全国で過去最多レベルに
かつて北海道開拓時代には大規模な事故が報告されていましたが、近年も再び被害が深刻化しています。
- 2023年度:全国で197件の人身被害が発生し、被害者は218人。そのうち6人が死亡しました。どんぐりの不作が影響し、エサを求めて人里に出没したことが一因とされています。
- 2025年度:4月~8月末までに69人が被害に遭い、5人が死亡。2023年に匹敵するペースで推移しています。
北海道だけを見ても、1962年度以降の約60年間で159件の人身事故が報告され、59人が死亡、122人が負傷しています。まさに「毎年被害が出ている」のが現状です。
なぜ被害が増えているのか?
被害拡大の背景には、複数の要因が重なっています。
- 個体数の増加:駆除数が減り、人を恐れない個体が増えた。
- 生息域の拡大:過疎化や里山放棄で、人里との境界が曖昧に。
- エサ不足:森でエサが不足すると、生ごみや農作物を食べに人里へ。
- 温暖化の影響:分布域の拡大にもつながっているとの指摘。
つまり「ヒグマの数が増え、人間の生活圏との距離が縮まっている」ことが大きな原因です。
ヒグマの駆除が進まない理由
被害が深刻化しているにもかかわらず、駆除は思うように進んでいません。その背景には次のような課題があります。
1. 駆除の担い手不足
- 猟友会の高齢化により若手が育っていない。
- 高度な知識や技術が必要だが、専門人材の育成が遅れている。
2. 駆除の精神的・金銭的負担
- 「かわいそうだ」といった抗議や誹謗中傷を受けるケースがある。
- 報酬が十分でなく、燃料費や道具代をハンターが自腹で賄うことも多い。
3. 技術的・物理的な困難
- ヒグマは知能が高く、捕獲は容易ではない。
- 市街地では銃の使用が制限され、誤射リスクもある。
駆除だけでは解決できない現実
過去には「春グマ駆除」が行われすぎて絶滅の危機を招いたこともあり、単純に「捕まえればいい」という話ではありません。
そのため現在は 「駆除+予防」 の両立が求められています。
- 電気柵の設置
- 生ごみ・果樹・農作物残渣の徹底管理
- 集落周辺の藪刈りによる緩衝帯の整備
- 出没情報の迅速な共有
これらの取り組みは地味に見えますが、最も効果的だとされています。
今後に必要なこと
被害を減らすためには、次のような多角的な取り組みが不可欠です。
- 個体数管理の強化:環境省はヒグマを「指定管理鳥獣」に指定し、計画的な管理を可能に。
- 緊急銃猟制度の導入:市街地に出没した場合、自治体判断で駆除可能に。
- 人材育成とインセンティブ:捕獲技術者の育成や報酬改善で、担い手不足を解消。
- 地域社会の協力:過疎化や里山放棄といった背景問題にも取り組む必要がある。
おわりに──人とヒグマは共生できるのか?
ヒグマ被害の背景には「人間が自然を変えてきたツケ」という側面もあります。とはいえ、命を守るために駆除は避けられない現実もあります。
大切なのは「駆除か保護か」の二者択一ではなく、
- 被害を減らす仕組みを整えること
- 地域全体で安全を守ること
- 長期的に人とヒグマが共生できる環境を探ること
こうしたバランスを見つけていくことではないでしょうか。
皆さんは「ヒグマとの共生」についてどう考えますか?
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
🍠10月13日
【さつまいもの日】
「さつまいもの日」は、埼玉県川越市の「川越いも友の会」が1987年に制定した、10月13日の記念日です。さつまいもが旬を迎える時期であることと、江戸時代にさつまいもが「栗(九里)より(四里)うまい十三里(13)」と呼ばれていたことに由来しています。
「十三里」の由来
江戸時代に、洒落好きな江戸っ子の間で「栗よりも美味しい」という意味を込めて、さつまいもを「十三里」と呼ぶようになった言葉です。当時、美味しいさつまいもの産地として知られていた川越が、江戸から十三里(約52km)の距離にあったことも、この呼び名が定着した一因とされています。