なぜ今、パワハラを考える必要があるのか
あなたは職場で「パワハラ」を受けた、または見聞きしたことがありますか？
近年、働き方改革やハラスメント防止法の施行により、これまで見過ごされてきた職場の問題が表面化するケースが増えています。
どうせ働くなら、誰もが気持ちよく、安心して働きたいはずです。
しかし、現実には「上司からの指導」と「パワハラ」の境界線が曖昧になり、
「これは注意なのか、それともハラスメントなのか？」と悩む場面も少なくありません。
この記事では、
- パワハラと正しい指導の違い
- パワハラが起こるメカニズム
- 職場でできる防止策
をわかりやすく解説します。
1. パワハラと指導の違い
最大の違いは 「目的」と「手段」 にあります。
| 項目 | 正しい指導 | パワハラ |
|---|---|---|
| 目的 | 相手の成長・能力向上 | 相手に精神的苦痛を与える、萎縮させる、辞めさせる |
| 手段 | 業務に必要な範囲で、適切な方法を用いる | 人格否定、威圧、無視、業務に関係ない要求 |
| 特徴 | 改善点を具体的に指摘し、改善策を提示 | 私生活や人格を否定、感情的に怒鳴る、過大要求 |
例：
- 指導：「この資料、前回より良くなっています。さらにこの部分を詳しく書くともっとわかりやすくなりますよ」
- パワハラ：「何回言ったらわかるんだ！お前は本当に使えないな！」
2. パワハラと指導の線引き
線引きの目安は次の3つです。
- 業務上の必要性・相当性
内容が業務に必要で、方法や程度が社会通念上妥当か。 - 目的
相手を成長させたいのか、傷つけたいのか。 - 言動の態様
人格否定や威圧的態度がないか。
3. パワハラが起こるメカニズム
パワハラは「個人の要因」「職場の要因」「両者の相互作用」によって発生します。
（1）行為者側の要因
- ストレス発散のために攻撃的言動をとる
- 自己中心的・攻撃的な性格
- 怒りをコントロールできない
- 「自分だけ不当に扱われている」という被害意識
（2）職場環境の要因
- 上下関係が厳しく、意見を言いにくい
- 公平なリーダーシップの欠如
- 責任と権限の不明確さ
- 閉鎖的・同質的な組織風土
- 成果主義や過剰な規律
- コミュニケーション不足
- パワーバランスの不均衡
（3）相互作用
攻撃的な性格の人が閉鎖的な組織にいると、パワハラがエスカレートする…といったように、要因が重なって悪循環が生まれます。
4. パワハラ防止のための具体策
パワハラは個人の問題だけでなく、組織全体で取り組むべき課題です。
- 定義の周知：従業員全員に正しい知識を共有
- 研修の実施：感情コントロール・対話スキル向上
- 心理的安全性の確保：意見や相談が言いやすい雰囲気づくり
- 相談窓口の設置：匿名・安全に相談できる体制
- 行為者への個別対応：再発防止指導や研修
- 組織文化の改善：パワハラを容認しない明確なメッセージ
まとめ：健全な職場は「指導」と「尊重」の両立から
パワハラと指導は、似ているようで目的も方法もまったく異なります。
- 指導は未来をつくるためのもの
- パワハラは信頼と人材を壊すもの
もし自分が受ける側なら、自分を守る手段を知ること。
もし指導する立場なら、自分の言動を振り返ること。
そして企業は、パワハラが発生しない環境を整えることが大切です。
職場は人が育ち、人が支え合う場所。
「尊重」と「成長」が両立する職場づくりが、組織の未来を守ります。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー：「明日って何の日？」
🌞 8月31日🌞
野菜の日（やさいの日）
8月31日は「野菜の日」です。これは、「や（8）さ（3）い（1）」の語呂合わせから、野菜の重要性や魅力を再認識してもらうために、食料品流通改善協会や全国青果物商業協同組合連合会などが1983年に制定した記念日です。
野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素が豊富で、生活習慣病の予防や免疫力向上に役立つとされています。
野菜の日には、全国各地で野菜の消費拡大に向けたイベントやキャンペーンが開催され、野菜をたくさん食べることの大切さを呼びかけています。