金融教育がない国、日本。なぜ“お金の知識”を学ばないのか?

皆さん「お金」は好きですか?嫌いって方は多くないとは思います。近年の物価高騰や賃金が上がらずに停滞している事など様々な事が原因で国民の暮らしが厳しくなっているのは実感していると思います。そこで今回は皆さん大好きな「お金」について考えてみたいと思います。

日本の「お金」にまつわる教育があまりに貧弱なのでは?

日本の教育で「お金」について体系的に学ぶ機会が少ない背景には、いくつかの要因が考えられます。

1. 歴史的な背景と価値観:

  • 「勤勉・倹約」の美徳: 戦後の復興期から高度経済成長期にかけて、「勤勉に働き、質素倹約に励む」という価値観が強く根付いてきました。お金儲けや投資といった行為は、どこか「不労所得」のようなネガティブなイメージを持たれることもありました。
  • 金融教育への意識の低さ: 政府や教育機関においても、国民全体の金融リテラシー向上という視点が、比較的近年まで強く意識されていませんでした。どちらかというと、金融機関や専門家が行うものという認識が強かったかもしれません。
  • 安定志向: 日本社会全体に、リスクを避け安定を重視する傾向が強く、積極的な資産運用よりも貯蓄を好む人が多いことも、金融教育の必要性が強く認識されにくい一因かもしれません。

2. 教育現場の状況:

  • カリキュラムの制約: 学習指導要領には、お金に関する具体的な内容が十分に含まれていませんでした。家庭科などの一部で触れられる程度で、体系的な学習には至っていません。
  • 教員の専門性: 金融に関する専門知識を持つ教員が少ないという現状があります。そのため、教員自身が自信を持ってお金の教育を行うことが難しい場合があります。
  • 指導時間の不足: 既存の教科で多くの内容を扱う必要があり、新たなテーマに十分な時間を割く余裕がないという側面もあります。

3. 社会の変化と今後の動き:

近年、以下のような社会の変化を受け、日本でも金融教育の重要性が認識され始めています。

  • 少子高齢化と年金制度への不安: 公的年金だけで老後の生活を賄うのが難しいという認識が広まり、自助努力による資産形成の必要性が高まっています。
  • 金融商品の多様化と複雑化: 投資信託やNISAなど、多様な金融商品が登場し、消費者が自ら判断し選択する必要性が増しています。
  • 成年年齢の引き下げ: 2022年4月からの成年年齢引き下げにより、18歳から自身で契約や金融取引を行う機会が増え、若年層への金融教育の必要性が高まっています。

このような背景から、近年では高校の家庭科を中心に金融教育が必修化されるなど、教育現場でも変化が見られています。今後は、より体系的で実践的なお金の教育が、日本の教育に取り入れられていくことが期待されていますが、なんか釈然としないのは私だけでしょうか?

日本と海外で「お金」の教育にどれくらいの差があるのか?

日本と海外の「お金」の教育格差は、一般的に大きいと言われています。特に、体系的な金融教育が学校教育の中でどの程度組み込まれているかという点で、大きな違いが見られます。

海外の状況:

  • 義務教育における金融教育の導入: アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどの国々では、小学校や中学校から金融教育を必修科目、あるいは重要な学習領域の一部として導入しているケースが多く見られます。
  • 体系的なカリキュラム: これらの国々では、年齢や発達段階に応じて、お金の基本的な概念から、貯蓄、予算管理、クレジットカード、ローン、投資、保険、年金といった幅広いテーマを段階的に学べるカリキュラムが整備されています。
  • 実践的な学習: 座学だけでなく、ロールプレイング、シミュレーション、ゲーム、地域社会との連携などを通して、実践的な学びを取り入れている例が多くあります。
  • 教員の専門性向上: 金融教育を担当する教員の育成や研修制度が充実している国もあります。
  • 政府・関係機関の積極的な推進: 政府や金融機関、NPOなどが連携し、教材開発、教員支援、啓発活動などを積極的に行っています。

日本の状況:

  • 体系的な金融教育の遅れ: 日本では、近年まで学校教育において「お金」について体系的に学ぶ機会は限られていました。家庭科などの一部で触れられる程度で、系統的なカリキュラムは存在していませんでした。
  • 2022年からの高校家庭科での必修化: 2022年度から、高校の家庭科において「資産形成」の視点を取り入れた金融教育が必修となりました。これは大きな一歩ですが、始まったばかりであり、その内容や教員の準備状況など、課題も指摘されています。
  • 金融リテラシーの国際比較: OECDの調査などによると、日本人の金融リテラシーは、他の先進国と比較して低い傾向にあります。また、金融知識に対する自信も低いというデータがあります。

格差の大きさ:

具体的な数値を比較することは難しいですが、以下の点で日本と海外の格差が大きいと言えます。

  • カリキュラムの体系性と網羅性: 海外では幼い頃から段階的に、幅広いテーマを学ぶことができるのに対し、日本では始まったばかりで、まだ十分とは言えません。
  • 学習時間と深度: 海外では多くの時間を割いて、より深くお金について学ぶ機会が提供されていることが多いです。
  • 教員の専門性と指導力: 海外では専門的な知識を持った教員による指導が行われている場合があるのに対し、日本では教員の育成が課題となっています。
  • 国民全体の意識と関心: 海外では金融教育の重要性が広く認識され、家庭や地域社会でもお金に関する会話や学びが活発な場合があります。

今後の展望について

日本でも、高校での金融教育必修化を皮切りに、今後、小中学校や大学など、より幅広い段階での金融教育の充実が期待されます。ただし、海外との格差を解消するためには、カリキュラムの改善、教員の育成、教材の開発、社会全体の意識改革など、多岐にわたる取り組みが必要となると考えられます。

いかがでしたか?日本の「お金」に関する教育の遅れは犯罪にも影響していると私は考えています。これについてはまた別の記事にしようと思ってますが、少しだけ触れておきますね。近年まだまだ増加傾向にある「SNS型投資詐欺」です。これって内容的には「高利率」を餌にしている点が挙げられます。詳細は割愛しますが、冷静に考えればあり得ない話に何故か引っかかる人が多いのは・・・「マネーリテラシー」が薄い日本人が多い表れなのではと感じます。皆さんも気をつけて下さいね。

それではまた別の記事でお会いしましょう

🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」

🗓 5月4日:みどりの日(日本の祝日)
「自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心を育む日」として制定された国民の祝日です。
もともとは昭和天皇の誕生日(4月29日)にちなんで、自然を愛した天皇の思想を引き継ぐ意味もあるんです。
ゴールデンウィーク真っ只中、自然とふれあうにはぴったりな日ですね🍃