皆さんは、普段どこにお金を預けていますか?
郵便局や銀行を利用している人は多いと思いますが、「信用金庫」を利用している人もいるのではないでしょうか。
銀行も信用金庫も、お金を預けたり、振り込みをしたり、住宅ローンやマイカーローンを利用したりできる金融機関です。
普段の生活で利用するサービスは似ていますが、実は組織の成り立ちや経営の目的、融資の仕組みなどに違いがあります。
では、銀行と信用金庫は何が違うのでしょうか?
今回は、それぞれの特徴から利益を生み出す仕組み、信用金庫の会員制度まで、分かりやすく解説していきます!
銀行と信用金庫は何が違う?
銀行と信用金庫の大きな違いは、組織の形態と、どのような目的で運営されているかという点です。
銀行は株式会社として運営される営利法人で、株主の利益も重要な経営上の目的となります。
一方、信用金庫は地域の人々や事業者が会員となり、互いに支え合う「相互扶助」を基本理念とする協同組織の金融機関です。
どちらも預金や融資、振り込みなどの金融サービスを提供していますが、その成り立ちには大きな違いがあるのです。
銀行と信用金庫の主な違い
| 比較項目 | 銀行 | 信用金庫 |
|---|---|---|
| 組織形態 | 株式会社 | 協同組織の金融機関 |
| 根拠となる法律 | 銀行法 | 信用金庫法 |
| 基本的な考え方 | 営利事業として金融サービスを提供 | 相互扶助と地域社会の発展 |
| 主な取引先 | 個人、中小企業、大企業など | 地域の個人、中小企業など |
| 営業地域 | 全国規模や海外展開も可能 | 原則として一定の地域に限定 |
| 預金 | 会員資格などの制限なし | 会員でなくても利用可能 |
| 融資 | 法令などの範囲内で幅広く対応 | 原則として会員が対象。一部例外あり |
※信用金庫の融資は、会員以外にも一定の条件で認められる場合があります。
このように、銀行と信用金庫では組織の仕組みが異なります。
それでは、具体的な違いをもう少し詳しく見ていきましょう。
① 組織の目的が違う!営利法人と協同組織
まずは、銀行と信用金庫の成り立ちについてです。
銀行は株式会社として運営される
銀行の多くは株式会社として運営されています。
株式会社は、株主から出資を受けて事業を行い、利益を生み出すことを目指す組織です。
銀行も例外ではなく、融資による利息収入や各種手数料などから利益を得ています。
そして、利益の一部を株主への配当などに充てることがあります。
もちろん、銀行も預金者の保護や金融の円滑化など、社会的な役割を担っています。単に利益だけを考えて運営されているわけではありません。
信用金庫は地域を支える協同組織
信用金庫は、地域の人々や事業者が会員となり、出資して成り立つ協同組織の金融機関です。
基本理念は「相互扶助」。
簡単にいえば、地域の人々がお互いに支え合い、地域経済の発展を目指す仕組みです。
例えば、地元で小さな飲食店を開業したい人がいるとします。
開業するためには、店舗の賃貸費用や設備費、仕入れ資金などが必要です。しかし、事業を始めたばかりでは、十分な実績がなく、資金調達に苦労することもあります。
こうした地域の中小企業や個人事業主を金融面から支えることも、信用金庫の重要な役割です。
信用金庫は利益を出すこと自体を否定しているわけではありません。健全な経営を続けながら、地域の発展に貢献することを目指しているのです。
② 営業できる地域や取引先が違う
銀行と信用金庫では、営業地域や取引先にも違いがあります。
銀行は幅広い地域や企業と取引できる
銀行は、法令や必要な認可などの範囲内で、全国各地の個人や企業と取引できます。
大企業への融資や全国規模の事業、海外との取引などにも対応しており、幅広い金融ニーズに応えられることが特徴です。
もちろん、実際の融資やサービスの提供範囲は、各銀行の方針や取り扱い商品などによって異なります。
信用金庫は地域密着型
一方、信用金庫は営業地域が一定の範囲に限定されています。
例えば、ある地域を営業基盤とする信用金庫なら、その地域に住んでいる人や、地元で事業を営む中小企業などが主な取引先になります。
信用金庫は、地域で集めた資金を地域の企業や住民への融資などに活用し、地域経済の発展につなげる役割を担っています。
地元の企業と継続的に関係を築き、事業の状況や経営者の考えを把握しながら支援することも、信用金庫の特徴です。
地域に根差した金融機関だからこそ、地元の事業者にとって身近な相談先になることもあるでしょう。
③ 信用金庫からお金を借りるには会員になる必要がある?
ここで気になるのが、信用金庫の会員制度です。
「信用金庫を利用するには、会員にならなければいけないの?」
このように思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、預金や振り込みなどの利用に、原則として会員資格は必要ありません。
信用金庫は会員以外の人からも預金を受け入れています。
ただし、融資については原則として会員が対象となるため、お金を借りたい場合には会員資格が関係してきます。
信用金庫の会員になれる人
個人の場合、一般的には次のような条件があります。
- 信用金庫の営業地域内に住んでいる人
- 信用金庫の営業地域内で働いている人
- 信用金庫の営業地域内に事業所を持つ人など
事業者の場合には、従業員数や資本金などの条件も関係します。
一般的な会員資格では、営業地域内に事業所がある事業者について、従業員300人以下、または資本金9億円以下という基準が用いられます。ただし、個人事業主や法人では条件の適用方法が異なるため、詳細は利用する信用金庫に確認する必要があります。
また、会員以外への融資が認められる例外もあります。
つまり、信用金庫は誰にでも自由に融資できるわけではありませんが、会員以外の人が一切お金を借りられないというわけでもないのです。
④ 信用金庫は非営利なのに、どうやって経営しているの?
ここまで読むと、こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「信用金庫は地域のために運営されているのに、どうやって利益を出しているの?」
確かに、非営利という言葉から、利益を出さずに運営している組織をイメージする人もいるでしょう。
しかし、信用金庫にとって非営利とは、利益を出してはいけないという意味ではありません。
信用金庫も利益を確保し、経営を安定させる必要があります。違いは、利益を生み出すことそのものよりも、組織の目的や利益の活用方法にあります。
信用金庫が利益を得る仕組み
信用金庫も銀行と同じように、主に次のような方法で収益を得ています。
1.融資による利息収入
預金などで集めた資金を企業や個人に貸し出し、その利息を収益の一部とします。
例えば、預金者に支払う利息と、融資先から受け取る利息には差があります。この差は「利ざや」と呼ばれ、金融機関の重要な収益源の一つです。
ただし、実際の利益は、資金調達にかかる費用だけでなく、貸倒れに備える費用や人件費、店舗の維持費などにも左右されます。
2.各種手数料
振込手数料やATM関連の手数料、投資信託などの金融商品の取り扱いによる手数料収入も、収益の一部になります。
このように、信用金庫も金融サービスを提供することで収益を確保し、事業を継続しているのです。
銀行と信用金庫では利益の使い方が違う
銀行では、利益の一部を株主への配当などに充てることがあります。
一方、信用金庫には株主がいません。
信用金庫は会員の出資によって成り立つ協同組織であり、利益は経営基盤の強化や事業の継続、地域への貢献などに活用されます。
また、信用金庫でも、業績や規定などに応じて会員に出資配当が行われる場合があります。
つまり、信用金庫は利益を出さずに運営されているわけではなく、健全な経営を維持しながら、地域社会や会員の利益につなげることを重視しているのです。
地域のために活動することと、事業として利益を確保することは、決して矛盾しないというわけですね。
⑤ 信用金庫の会員になるには?出資金の仕組み
信用金庫の会員になるには、基本的に出資を申し込み、信用金庫の承諾を受ける必要があります。
ここで登場するのが「出資金」です。
出資金とは?
銀行では、株式会社が株式を発行して出資を受けます。
一方、信用金庫では、会員が出資金を払い込むことで組織の運営を支えます。
出資金の金額や申込方法は信用金庫ごとに異なるため、具体的な条件は各信用金庫の案内を確認しましょう。
会員になる際には、一般的に次のような流れで手続きを進めます。
- 自分が会員資格を満たす信用金庫を確認する。
- 窓口などで会員加入・出資の申し込みについて相談する。
- 必要書類を提出し、所定の出資金を払い込む。
- 信用金庫による審査や承諾などの手続きを経て、会員となる。
必要書類には本人確認書類などがありますが、具体的な書類や手続きは各信用金庫によって異なります。
なお、信用金庫を利用するためだけに、必ずしも会員になる必要があるわけではありません。預金や振り込みなどを利用するだけなら、会員にならずに利用できる場合があります。
出資金は預金とは違う
ここは特に注意したいポイントです。
信用金庫の出資金は、普通預金や定期預金とは異なります。
- 預金のように、ATMで自由に引き出すことはできない。
- 預金保険制度による保護の対象ではない。
- 会員をやめる際の払い戻しは、所定の手続きや規定に従う必要がある。
- 払い戻しの時期や金額が、必ずしも希望どおりになるとは限らない。
信用金庫を脱退する場合、出資金の払い戻しには時間がかかることがあります。また、払い戻し額は信用金庫の財産状況などに基づいて決まる仕組みであり、元本の返還が無条件に保証されているわけではありません。
出資配当についても、毎年必ず受け取れるわけではなく、業績や各信用金庫の方針などによって変わります。
出資金は預金とは性質が異なるものなので、会員になる場合には、こうした仕組みを理解しておきましょう。
⑥ 銀行と信用金庫、どちらを選ぶべき?
ここまで、銀行と信用金庫の違いを紹介してきました。
では、実際に口座を作ったり、ローンを利用したりするときには、どちらを選ぶのがよいのでしょうか?
これは、利用する目的によって変わります。
銀行が向いている人
- 全国各地の店舗やATMを利用したい人
- 全国規模の事業や海外取引など、幅広い金融サービスを必要とする人
- オンラインサービスや各種金融商品を比較して選びたい人
ただし、店舗数やATMの使いやすさ、オンラインサービスの充実度は銀行ごとに異なります。銀行というだけで、すべてのサービスが信用金庫より優れているわけではありません。
信用金庫が向いている人
- 地元で起業や独立を考えている人
- 地域の中小企業や個人事業主
- 地域に根差した金融機関に経営や資金繰りを相談したい人
- 住んでいる地域や勤務先の近くで、長く付き合える金融機関を探している人
信用金庫は地域の企業や住民との関係を重視しているため、地元で事業を営む人にとって、身近な相談先になる可能性があります。
もちろん、銀行にも中小企業向けの融資や経営支援を行うところがあります。相談への対応や融資条件は、金融機関や個別の事情によって異なります。
そのため、どちらが優れているかというよりも、自分の目的に合っているかどうかで選ぶことが大切です。
普段の預金や振り込みなら、どちらでもいいの?
一般的な預金や振り込みを利用するだけなら、銀行と信用金庫のどちらも選択肢になります。
選ぶ際には、次のような点を比較してみるとよいでしょう。
- ATMの設置場所や利用手数料
- 振込手数料
- インターネットバンキングの使いやすさ
- 自宅や職場から店舗までの距離
- 住宅ローンなど、今後利用したいサービスの条件
なお、銀行と信用金庫のどちらも、対象となる預金は預金保険制度によって保護されます。
一般預金等は、原則として預金者1人につき1金融機関ごとに、元本1,000万円までとその利息等が保護されます。ただし、預金の種類によって保護の仕組みは異なり、信用金庫の出資金は預金保険制度の対象外です。
お金を預ける際には、預金と出資金を混同しないようにしましょう。
まとめ:銀行と信用金庫は、似ているようで目的が違う!
今回は、銀行と信用金庫の違いについて紹介しました。
どちらも預金や融資などの金融サービスを提供していますが、組織の成り立ちや経営の目的には違いがあります。
銀行は株式会社として営利事業を行い、株主の利益も重視します。
一方、信用金庫は会員の出資によって成り立つ協同組織の金融機関であり、地域社会の発展や相互扶助を基本理念としています。
また、信用金庫では預金と融資で利用条件が異なり、融資は原則として会員が対象となります。会員になる際には出資金が必要ですが、これは預金とは異なる性質を持つものです。
普段の生活で銀行と信用金庫を使い分ける機会は、あまり多くないかもしれません。
しかし、地域で起業したり、住宅ローンを検討したりするときには、それぞれの特徴を知っておくと、金融機関を選ぶ際の参考になるでしょう。
筆者も、銀行と信用金庫はどちらも同じような金融機関だと思っていました。しかし、調べてみると、組織の仕組みや地域との関わり方など、さまざまな違いがあることが分かりました。
普段何気なく利用しているサービスでも、その仕組みを調べてみると新しい発見がありますね。
皆さんは、銀行と信用金庫の違いを知っていましたか?
普段利用している金融機関についても、ぜひ一度調べてみてはいかがでしょうか。
それではまた別の記事でお会いしましょう
参考
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
10月31日
【ガス記念日】
由来と歴史
- 日付の理由: 1872年10月31日(明治5年旧暦9月29日)、神奈川県横浜市の馬車道(ばしゃみち)に日本で初めてガス燈(がすとう)が灯り、日本の都市ガス事業が始まったことに由来します。
- 制定の経緯: 事業開始から100周年を迎えた1972年(昭和47年)に、日本ガス協会によって制定されました。
主な意味と目的
- ガスの普及とPR: ガスの利便性や安全な使い方を広く知らせ、理解を深めることを目的としています。
- 時代の変化: 当初は「明かり(ガス燈)」として文明開化を象徴していましたが、電灯の普及にともない、現在では料理・給湯・暖房・冷房・コージェネレーションシステムなど、暮らしや産業を支えるクリーンなエネルギーとして活用されています。