生活保護費減額は“自己責任”なのか?――物価高の時代に問われる『生きる権利』

生活保護費減額の波紋――「生きる権利」は守られているのか

生活保護制度は、日本国憲法第25条に明記された「すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」に基づく制度です。
国が生活に困窮する人々へ必要な支援を行い、最低限の生活を保障しながら自立を助ける――それが制度の根本的な目的です。

しかし近年、「生活保護費を減額すべき」という動きが再び浮上しています。
物価が上がり続ける今の時代に、支給額を引き下げることは現実的なのでしょうか?
この記事では、減額の背景と影響、そして「減額は本当にアリなのか?」を一緒に考えてみましょう。


減額の理由:個人要因と国の制度改定の2パターン

生活保護費が減る理由は、大きく分けて2つあります。

① 受給者本人の状況変化によるもの

生活保護費は「厚生労働大臣が定める最低生活費」から「世帯全体の収入」を差し引いた差額が支給される仕組み。
そのため、収入や家族構成が変われば、支給額も変動します。

具体的には――

  • 収入の増加:給与・年金・手当・援助・資産売却などの収入増加分が差し引かれる
  • 世帯構成の変化:同居・別居、家族数の変化による算定基準の変更
  • 資産の保有:預貯金や不動産など、活用可能な資産がある場合は減額や停止の対象
  • 不正受給:収入や資産を申告しなかった場合は返還・減額措置

② 国による基準そのものの見直し

もう一つの理由は、国が制度全体の基準を変更するケースです。

過去には以下のような理由で減額が実施されました。

  • デフレ調整:物価下落を理由に「生活扶助費」が引き下げられた(2013〜2015年)
     →しかし算定過程に誤りがあったとして、後に最高裁で違法と判断されました。
  • 一般低所得層との均衡:生活保護世帯の水準が低所得層を上回らないようにする調整

このように、制度的な「見直し」は時代ごとに行われますが、そのたびに「生活できなくなる人が出る」との懸念が生じています。


減額で「生活できない人」が出る可能性は?

答えは――十分にあり得ます。

生活保護費は、「生きるために必要な最低限度の金額」として算定されています。
つまり、もともと“余裕がない前提”の中で支給されているのです。
そこからさらに引き下げられれば、日常生活に直結する深刻な影響が出ます。

主な影響は以下の通りです。

  • 最低生活の侵害:食費や光熱費が削られ、「健康で文化的」な暮らしから遠のく
  • 他制度への波及:生活保護基準は、就学援助や非課税判定など多くの制度の基準にも連動
  • 健康リスクの増加:医療費が払えない、栄養不足などによる健康被害
  • 社会全体の貧困化:最低賃金や低所得層の生活水準にまで影響が波及

過去の事例:2013〜2015年の減額は「違法」判決に

2013年から2015年にかけて国が行った生活扶助費の引き下げ。
その影響は全国で約160万世帯に及び、各地で「生存権侵害」として訴訟が起こりました。

そして2025年6月、**最高裁判所は「国の算定は裁量権の逸脱・濫用にあたり違法」**と判断。
この統一判断は、国の恣意的な基準設定が憲法の理念に反することを明確にしました。
現在、政府は対象者への補償措置を検討中です。

この判決は、生活保護が“国家の恩恵”ではなく“国民の権利”であることを再確認させる重要な一歩となりました。


「最低限度の生活」って実際いくら?

生活保護費は、地域や家族構成によって異なります。
おおよその目安は次の通りです。

地域単身世帯(概算)
東京23区など(1級地-1)約13万円前後
地方都市(2級地)約10〜12万円
郡部(3級地)約8〜10万円

これに「住宅扶助」や「障害者加算」「児童養育加算」などが加わる場合もありますが、全体として“ギリギリの生活”であることに変わりはありません。


扶助の内訳

生活保護は、以下の8種類の扶助から構成されています。

扶助の種類内容支給形態
生活扶助食費・光熱費など日常費用現金
住宅扶助家賃や地代(上限あり)家主へ代理納付など
医療扶助医療費・治療費現物給付
介護扶助介護サービス費用現物給付
教育扶助学用品・給食費など現金または現物
出産扶助出産費用必要時支給
生業扶助就労準備や職業訓練費必要時支給
葬祭扶助葬儀費用必要時支給

「ギリギリの額」と言われる理由

  • 一般低所得世帯の水準を基準に設定
  • 資産や収入は1円単位で認定
  • 趣味や交際費など「文化的生活の余裕」は含まれない
  • 予期せぬ出費への備えがない

このため、物価高騰やエネルギー費上昇が続く今、現行基準では到底追いつかないという現実があります。


減額は本当に「アリ」なのか?

物価が上昇し、家計が圧迫される時代にあって、
「国がまず削るのが生活保護費でいいのか?」という問いが生まれます。

もちろん、制度の公正性を保つことも大切です。
しかし、生きることそのものを脅かす減額が正当化される余地はあるのでしょうか?

生活保護は「怠けた人がもらうお金」ではなく、
**誰にでも起こり得る“生活困窮の最後のセーフティネット”**です。

いま、国が見直すべきは「どこを削るか」ではなく、
「どうすれば誰も取り残さない社会を維持できるか」ではないでしょうか。


まとめ

いかがでしたか?
生活保護制度は、支給額だけでなく“人として生きる権利”そのものを映し出す鏡です。
物価高騰が続く今こそ、私たちは「減額」ではなく「再設計」の議論を始めるべき時期に来ているのかもしれません。

あなたはどう思いますか?
生活保護費の減額――それは本当に“仕方のないこと”なのでしょうか。

それではまた別の記事でお会いしましょう


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🥖11月28日

【フランスパンの日】

フランスパンの日は、「いい(11)フランス(2)パン(8)」という語呂合わせに由来しており、「日本フランスパン友の会」によって制定されました。 

この記念日は、日本におけるフランスのパン食文化の浸透や、おいしいフランスパンを多くの人に味わってもらうことを目的としています。制定されて以来、毎年この時期には、多くのベーカリーでフランスパンに関連するイベントやキャンペーンが実施されています。