なぜ日本では5Gミリ波が広がらないのか?
〜高速通信の影にあるリアルな事情〜
スマホの通信が「4G」から「5G」に進化してしばらく経ちます。
しかし実際のところ、「通信速度が劇的に速くなった!」と体感している人は、どのくらいいるでしょうか?
筆者も5G対応スマホを使っていますが、正直「4Gとそんなに変わらない」と感じています。
実はこの「違いを感じない理由」のひとつが、日本では5Gの“本命”である『ミリ波』がほとんど使われていないからなんです。
今回は、このミリ波とは何か、そしてなぜ日本で普及しないのかを分かりやすく解説します。
🔹5Gミリ波とは?
5G通信には大きく分けて「Sub-6」と「ミリ波」という2種類の周波数帯があります。
このうち**ミリ波(24〜100GHz帯)**は、波長がミリメートル単位の高周波電波。
理論上は10Gbpsを超える超高速通信が可能で、「5Gの本当のポテンシャル」を引き出す鍵とも言われています。
✅ ミリ波のメリット
- 超高速・大容量通信:Sub-6の数倍の速度。映画を数秒でダウンロードできるレベル。
- 超低遅延:リアルタイム性が求められる自動運転や遠隔医療にも活用可能。
- 多数接続:人が密集する場所でも通信が安定。スタジアムや駅などで有利。
⚠️ ミリ波のデメリット
- 障害物に弱い:壁・ガラス・雨・人体でも遮られてしまう。
- 電波の届く範囲が極端に狭い:100mごとに基地局が必要なレベル。
- コストが高い:インフラ整備に莫大な費用がかかる。
📱なぜiPhoneは日本でミリ波に対応していないのか?
実は、アメリカ版のiPhoneはミリ波に対応しています。
それに対して日本版のiPhoneは非対応。この違いには明確な理由があります。
理由①:エリアが狭すぎる
日本では、ミリ波の基地局が都市部の一部にしかありません。
たとえば東京の中心でも、対応エリアは「特定の交差点」や「駅前」などわずか。
これでは、ミリ波対応の恩恵を受けるユーザーがごく一部に限られます。
理由②:コストに見合わない
ミリ波対応には専用アンテナを複数搭載する必要があり、製造コストが上がります。
しかし利用できる場所が少なければ、そのコストを回収するのは難しい。
Appleとしては「使えない機能にコストをかけるのは無駄」と判断したと考えられます。
理由③:設計上の制約
ミリ波用アンテナは端末の内部スペースを圧迫します。
特に日本仕様のiPhoneでは、他の通信・電波要件を優先するため、ミリ波搭載は見送られた可能性があります。
🏗️日本でミリ波が普及しない本当の理由
では、なぜ日本全体でミリ波の展開が遅れているのでしょうか?
その背景には、技術的・経済的・社会的な複合要因があります。
1️⃣ 技術的な課題
- 電波が直進的で障害物に弱い
- 屋内や地下で届きにくい
- 安定通信のために大量の基地局が必要
つまり「便利だけど扱いづらい電波」なのです。
2️⃣ コスト問題
- ミリ波基地局は、100m間隔で設置する必要がある
- 1基あたり数百万円〜数千万円のコスト
- 利用者が少ないため採算が合わない
結果として、通信各社は「まずSub-6を全国に広げる」方針を優先しています。
3️⃣ 需要の不足
超高速通信を活かす「キラーコンテンツ」がまだ少ないのも現実。
VR・AR・eスポーツ・自動運転などは注目されていますが、一般ユーザーの利用頻度は限定的。
そのため、投資に見合う利益を見込みにくいのです。
4️⃣ 悪循環が止まらない
- ミリ波エリアが狭い
- 対応端末が少ない
- 利用者が少ないため、キャリアが投資を渋る
- さらにエリアが広がらない
このループが続いており、普及が進まないのが現状です。
🚀今後ミリ波はどうなるのか?
日本では現在、主要キャリア(NTTドコモ・KDDI・ソフトバンク・楽天モバイル)がそれぞれ都市部を中心にミリ波のテスト運用を続けています。
特に自動運転・工場の自動化・医療現場の遠隔通信といった産業用途では、ミリ波の活用が少しずつ進んでいます。
しかし、一般ユーザーが「ミリ波の速さ」を日常で実感できるようになるには、まだ時間がかかりそうです。
おそらく**5Gの次(6G)**が登場する頃になって、ようやく「全国的な超高速通信」が実現するかもしれません。
💭まとめ:5Gの本領発揮はまだこれから
5Gは「高速・大容量・低遅延」をうたう次世代通信ですが、
その本当のポテンシャルを引き出す“ミリ波”は、まだ限られた場所でしか使えません。
技術的には素晴らしいものの、コストと需要のバランスが取れていないのが現実です。
私たちが真に5Gの恩恵を受けるのは、ミリ波のインフラが整ってから。
それまでは、Sub-6が日本の主役として活躍を続けることになるでしょう。
あなたはどう思いますか?
「本当の5G」を体感できる未来を、楽しみに待ちたいですね。
それではまた別の記事でお会いしましょう
🟡 おまけコーナー:「明日って何の日?」
11月6日
【アパート記念日】
「アパート記念日」は、11月6日を記念日とするもので、1910年(明治43年)のこの日に日本初の本格的な木造アパート「上野倶楽部」が完成したことに由来します。
上野倶楽部の特徴
- 場所: 東京・上野
- 構造: 5階建ての木造
- 戸数: 70室
- 背景: 当時、日本の賃貸住宅は長屋が主流でしたが、急増する人口に対応するため、この近代的な集合住宅が建てられました。
この記念日は、日本の集合住宅の歴史と、人々の暮らしの変化を振り返る日となっています。