なぜ緑を「青」と呼ぶのか?日本語に隠された色の不思議

私たちが普段、何気なく口にしている「色」の言葉。
でも、よく考えてみると「不思議だな」と思うことってありませんか?

例えば「青リンゴ」。実際に目にするのはどう見ても“緑色”です。
また「青信号」も、誰が見ても緑色のライト。

なのに、なぜ“青”と呼ばれるのでしょうか?
今回は、日本語における「青」という言葉の歴史と、色と表現のズレについて深掘りしてみます。


◆ 古代日本の色彩感覚

実は古代日本では、現代のように「赤・黄・緑・青・紫…」と細かく色を区別していたわけではありません。

  • 基本の色は 赤・黒・白・青 の4種類。
  • その中で「青」という言葉は、空や海の色に加えて、植物の若葉や果実の未熟な色=緑色も含んでいました。

その名残は、現代の言葉にも残っています。

  • 青葉(緑の葉)
  • 青竹(若い竹の色)
  • 青野菜(ほうれん草、小松菜など緑の野菜)

つまり「青」という言葉は、“若々しさ”や“みずみずしさ”を象徴する意味を持ち、緑のニュアンスを内包していたのです。


◆ 青信号が「青」と呼ばれるようになった理由

信号機が日本に導入された当初、法令上は「緑色信号」とされていました。
しかし一般には「青信号」という呼び方が広まり、最終的には法律でも「青」と表記されるようになりました。

その背景にはいくつかの理由があります。

  • 新聞の影響:信号設置のニュースで「青信号」と表記され、人々に広まった。
  • 三原色との対比:「赤・黄・青」の三原色に合わせて分かりやすかった。
  • 法改正:1947年の道路交通取締法で正式に「青色の灯火」と規定された。

さらに面白いのは、日本だけ「青信号」の表現に合わせて、実際の信号の色味も やや青みがかった緑 に調整されていること。文化と言葉が、現実のデザインに影響を与えた珍しい例です。


◆ 世界的にはなぜ緑なのか?

信号の色は国際的に定められており、「赤・黄・緑」の3色が基本です。
これは視認性の高さに関係しています。

  • :もっとも注意を引く波長の長い色。
  • 黄色:警告色として視認性が高い。
  • :青よりも人間の目に見やすく、安全性を確保できる。

つまり“緑の方が実用的”だから採用されたわけです。
ただし日本では「青信号」という呼び名が強かったため、国際基準の緑に近づけつつ、わずかに青みを残す工夫がされたのです。


◆ 言葉と実際の色がズレる例

日本語だけでなく、言葉と色のズレは日常の中にたくさんあります。

  • 顔が真っ青
    実際の色は白っぽいが、体調不良を表す表現として「青」と言う。
  • 赤土
    実際は茶色っぽい土でも「赤み」を感じれば「赤土」と表現される。
  • 白い砂浜
    本当はベージュや灰色に近い砂でも、「白」と言われることが多い。
  • 印刷物とモニターの違い
    RGB(光の三原色)とCMYK(色の三原色)の違いで、同じデータでも見え方が変わる。
  • 照明による違い
    室内の蛍光灯と、屋外の自然光では同じ服の色が全く違って見える。

こうしたズレは、文化的背景や慣習だけでなく、光や視覚の錯覚も関係しています。


◆ まとめ

  • 「青リンゴ」や「青信号」が青と呼ばれるのは、古代から続く日本語の色彩感覚の名残。
  • 日本語の「青」は緑を含む幅広い概念を持ち、若々しさや未熟さを表現する言葉だった。
  • 青信号は言葉が文化に定着し、法律やデザインまでも動かした特別な例。
  • 言葉と実際の色のズレは日常に多く、文化・慣習・錯覚・物理的条件などが影響している。

私たちが「青」と呼んでいる色は、本当に青ですか?
もしかすると、それは文化や歴史が見せている“青”かもしれません。

それではまた別の記事でお会いしましょう


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豆腐の日とは、「とう(10)ふ(2)」の語呂合わせから、日本豆腐協会が1993年に制定した記念日です。また、同様の理由で毎月12日も「豆腐の日」とされています。この記念日を通じて豆腐をより多くの人に食べてもらい、親しみを持ってもらうことを目的としています。